地方自治体は今こそDXに取り組め!

地方自治体は今こそDXに取り組め!

  • JBpress
  • 更新日:2021/04/08
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本コンテンツは、2021年2月26日に開催されたJBpress主催「公共DXフォーラム2021」の特別講演Ⅱ「公的セクターのDXへの期待」の内容を採録したものです。

株式会社日本総合研究所
チェアマン・エメリスタ(名誉理事長)
高橋 進氏

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デジタル化は事業者、国民、行政にメリットがある

日本はデジタルID、つまりマイナンバーカードの普及が遅れており、いまだに普及率が24%です。(行政サービスのデジタル化が進んでいる)エストニアとは言わないまでも、例えば、インドでは13億人の人たちが、既に生体認証を実現しています。日本は行政手続きのオンライン利用率もOECD平均利用率をはるかに下回っていて、先進国中、最低レベルということではないでしょうか。

改めて、デジタル化の遅れがあらわになったわけですが、必ずしも過去、政府は手をこまねいてきたわけではありません。政府は、何度もデジタル化を推進しようとしてきました。

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デジタル化を進めることの意義

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行政手続きをデジタル化することのメリットは、事業者、国民にとってはコストの削減、手間の削減、あるいはサービスの高度化ということがありますが、実は行政にとっても非常にメリットがあり、コストの削減、あるいは人員の再配置の余地などが挙げられます。そして、政府はデータを活用して、より高度な行政ができるということをうたってきました。しかしながら、なかなか進んでいなかったというのが現状です。

私は、手続きのオンライン化だけではなく、デジタル技術やデータの活用によって、例えば、少子高齢化、人口減少、あるいは潜在成長率の低下、社会保障制度の効率化、地方における人手不足や地方の活性化、こうした日本が直面している問題を解決するためにも、デジタル化が必要なのではないかと考えています。

コロナのことがあって、ようやく日本も本格的なデジタル化に向けての動きが始まってきたと思います。

コロナ禍を乗り切るために、実は2つのことが大きく動き出しました。

その1つが、オンライン診療の解禁です。かかりつけ医がある方がオンラインで診療を受けるということはもちろんですが、若い人など、かかりつけ医がない人も初診からオンラインで診療を受けられる。一応、時限的ですが、それが実現しました。

もう1つはオンライン教育です。日本はオンライン教育も遅れているといわれていましたが、文部科学省の決断で、今年度中に小中学校の全児童・生徒に、PCタブレットを配布するということが決まりました。

行政手続きのオンライン化を進める3つの原則

行政手続きのオンライン化を進めたいわけですが、進めるに当たっては、3つの原則があることを確認しておきたいと思います。

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行政手続きのオンライン化のポイント

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その1つがデジタルファーストということで、やっぱり手続きは基本的にオンラインで行う。もちろん、デジタルディバイドの問題がありますから、優しくオンライン化をしなくてはいけない、あるいはオンライン化できない人に向けての選択肢は残さなくてはいけませんが、まずはオンラインでやるんだということを確立していく。

それから、その下にコネクテッド・ワンストップの実現とありますが、これは要するに、どこにいても一カ所で手続きが実現できるということで、例えば、納税などは全部、自宅でスマホで手続きを済ませる。あるいは、どこか1カ所へ行けば済むというような手続きが理想だということです。

その右側のワンスオンリー。これは一回書類を出せば、二度と他の役所で同じものを出せといわれないようになるということで、非常に重要なことだと思います。これを進めるためには、バックヤード連携の整備と書いてありますが、要は省庁の縦割りを超えて、情報の連携をしなくてはいけない。そのための体制づくりがないと、ワンスオンリーはできません。

この3つの原則にのっとって、オンライン化を各省庁の手続きで進めていくこと、それを100%にすることが大きな課題だと思います。ただし、現時点では、例えば、中央省庁だけではなく、地方自治体も業務の仕方が標準化されていません。従って、システムの標準化、業務の標準化がこれから非常に重要な課題になってくると思います。

言い換えると、デジタル化というのは、単にシステムを入れるだけではなくて、業務の進め方、業務プロセスの改革を抜本的に見直すことをやらなくてはいけないということなのではないかと思います。

よくいわれることですが、役所が「うちはオンライン化を進めていますよ」と。そこで、「全部オンラインで済みますか」と聞くと、「いや、例えばですね、ちょっと複雑な手続きのときには事前に相談を頂いています」などとおっしゃる。

でも、そうしたこと自体が遅延につながってしまいます。従って、事前チェックなども要らない、あるいは不要な書類はできるだけ徴収しないという形で、オンラインで完結するような仕組みをつくることが国民にとっての優しいデジタル化ということではないかなと思います。

今後、地方では税収が減る中、サービスを提供しないといけない

地方とデジタルということを考えてみたいと思います。

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地方自治体のDXは喫緊の課題

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まず、左側の表をご覧いただきたいのですが、これはこれから数十年の間に日本の市町村がどうなっていくかを人口規模別に見たものです。細かい説明は省きますが、例えば、一番上にある人口100万人以上の都市は2040年になると1つ減ります。以下、規模別に市町村の数がどうなるかというのを見ると、なんと、人口1万人以上の市町村は全部減ります。一方で、1万人未満の市町村だけが増えている。

これは人口減少の帰結だと思いますが、その結果、何が起きるかというと、右側のグラフが表すように、住民は減る、税収も減る、しかしサービスは提供しなくてはいけないということになりますから、結局、1人当たりの歳出額、あるいは住民1万人当たりの職員数が非常に逼迫してくるということではないかと思います。

これに対処するためには、やはりデジタル化を進めていくこと、業務負担に耐えられるだけのデジタル化を進めなくてはいけない。そういう意味で、実はDXというのは地方自治体にとって、不可欠のものです。

そして最後に、デジタル化は必要ということだけではなくて、地方創生にとってもキーポイントになるんだということを申し上げたいと思います。

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地方創生、地域活性化に向けたDX の活用に向けて

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2つの図を持ってきました。まず左側ですが、これは国に先立って自治体がITを活用した例を挙げています。ちょっと古典的な例になってしまいましたが、左側のさいたま市の事例。ここでは毎年8000人の子どもたちが保育所に入ります。これを300カ所の保育所に割り振らなくてはいけない。大変な作業です。毎年、それに1500時間かかっていました。ところが、これをITにやらしたら、何とものの数秒で答えが出てしまった。いかに、ITを活用することのメリットが大きいかという例だと思います。

その隣はつくば市の事例ですが、ここはロボティックス、いわゆるRPAを導入したら、職員の作業時間が8割、9割減ったということなので、先ほど申し上げましたが、人手不足や税収不足の中で、デジタル化を進めることが攻めにつながるということだと思います。

右側は会津若松市ですが、ここではいわゆるスマートシティに向けた取り組みを進めています。私はデジタル化の最終目的はデータの利活用だと思います。町の課題をさまざまなデータを使って解決していく。そのための仕組みがスマートシティです。

会津若松市は、いち早くこれに向かって動き始めていますが、こうした体制を自治体で組んで、町の課題を解決し、そして、地方の創生につなげていく。これが私は行政の最終目的ではないかと思います。

ここはまだまだ始まったばかりですし、人手も足りませんが、こうした分野こそ、私は、官民一体になって進めていく分野なのではないかなと感じています。

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