「X-E4」レビュー(前編) 操作性を大胆に変更した中堅モデル、印象は?

「X-E4」レビュー(前編) 操作性を大胆に変更した中堅モデル、印象は?

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/02/23
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魅力的なミラーレスを多数ラインナップする富士フイルムのXシリーズ。具体的にその魅力を述べれば、コンパクトであること、メカニカルダイヤルを多用していること、フィルムの描写を意識した隙のない絵づくりであること、そして写りのいい交換レンズ群が揃っていることなどでしょう。特に、コンパクトであることは、APS-Cサイズのイメージセンサーの採用で実現したもので、ローエンドモデルからハイエンドモデルまで“ウエアラブル”と言ってよいと感じます。その最右翼とも言えるのが、上位モデルと同じキーデバイスを小型軽量なボディに搭載するX-Eシリーズのように思えます。今回は、その最新モデル「X-E4」を紹介します。

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グリップを省いたフラットなボディに一新

まずX-E4のボディを見てみましょう。先代モデル「X-E3」もコンパクトでシンプルなボディでしたが、X-E4はさらに磨きがかかりました。ボディ前面と側面は、グリップや指がかりのような目立つ凹凸はなく、これまで以上にすっきりとしたフラットなボディに。トップカバー周りの直線を基調としたエッジの効いたデザイン処理も巧みで、よりスマートな雰囲気を醸し出しています。

同社のホームページを見ると、“レンジファインダースタイル”とうたっていますが、メカニカルダイヤルの存在やファインダーアイピースの位置などを含め、まさにシンプルなつくりであった往年のレンジファインダー機を思い起こすものです。おそらく、多くの人から好意を持って迎え入れられるのではないかと思います。

ただ、ユーザーによってはカメラをホールドしたとき、グリップや指がかりがないため心もとなく感じられるかもしれません。メーカーもそのことは十分理解しているようで、別売のメタルハンドグリップ「MHG-XE4」(実売価格は税込み11,500円前後)に加え、ボディ上部にあるアクセサリーシューに差し込んで使用する金属製のサムレスト「TR-XE4」(実売価格は税込み8,700円前後)が本機と一緒に発売されます。今回のレビューでは、どちらも装着してトライアルしてみましたが、とても快適にカメラをホールドできました。ただし、スマートなボディシェイプのデザインは若干損なわれてしまいますが。

ボディサイズは121.3×72.9×32.7mm(幅×高さ×奥行き)、質量は364g(バッテリー、SDカード含む)。先代のX-E3は121.3×73.9×42.7mm、337gでしたので、X-E4はX-E3よりもサイズ的にわずかに小さくなったものの、質量は反対にちょっとだけ増したことになります。それでも軽量なカメラなので、より安定してカメラをホールドするには、前述したハンドグリップMHG-XE4(86g/実測値)を装着するのがよさそうです。

操作部は細かな変更が多く、既存ユーザーは戸惑うかも

操作部材のレイアウトは“基本的に”これまでに準じています。トップカバーには、シャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルが備わり、シャッターボタンと電源レバーは同軸としているところも従来と同様です。背面も、先代モデルと同じく十字キー(十字ボタン)はなく、フォーカスレバーでメニューなどの設定を行うのも同様です。ただし、細かく見ていくと、いくつか変更されていることが分かります。

まず、背面上部にあったリアコマンドダイヤルが廃止されました。そのため、Q(クイック)メニューによる操作などは、フロントコマンドダイヤルで行うようになっています。廃止された正確な理由は不明ですが、前述のサムレストを装着したときにリアコマンドダイヤルが使えなくなってしまうことも考えられそうです。他のXシリーズのミラーレスと併用するときなどは、操作に戸惑うかもしれません。ちなみに、従来背面にあったQボタンはトップカバーへ移り、フォーカスレバーはなぜかこれまでとは若干下がった位置となっています。

シャッタースピードダイヤルの脇にあったオートモード切り替えレバーもなくなっています。アドバンスドSRモードと絞り優先AEなどの応用撮影モードに素早く切り替えられたのですが、このカメラを使うユーザーには不要との判断だと思われます。フルオートで簡単に撮影を楽しみたい初心者などは、カメラの扱いに戸惑うことがあるかもしれません。

フォーカスモード切り替えレバーも廃止されてしまいましたが、これは私自身非常に残念に思えてならない部分です。これまで、同レバーはカメラの前面に備わり、素早くしかも直感的にAF-S/AF-C/MFを切り替えられたため、スナップ撮影などではたいへん重宝していました。ですが、X-E4ではメニューの中に移ってしまい、フォーカスモードを切り替えるのに一手間かかってしまいます。フォーカスモード切り替えレバーの廃止は、ボディシェイプをシンプルに見せるためなのかもしれませんが、これまでXシリーズのよき部分と思っていただけに、廃止はいささか本末転倒のような気がしてなりません。

その他の変更点としては、新たにシャッタースピードダイヤルにP(プログラムAE)ポジションが備わりました。これまでは、レンズの絞りダイヤルとシャッタースピードダイヤルをどちらも「A」(オート)にセットするとプログラムAEとなっていましたが、このPポジションにセットすると、レンズの絞りダイヤルがAにセットされていなくてもプログラムAEが機能します。プログラムAEをよく使うユーザーは便利に思える部分です。

チルト式液晶モニターの搭載も注目したい部分です。ハイアングル、ローアングルの撮影を容易としているほか、上方向へは180度可動し、セルフィー撮影にも対応しています。

センサーやエンジンは上位モデルと共通に、手ぶれ補正機構は内蔵せず

キーデバイスを見てみましょう。イメージセンサーは、待望の有効2610万画素「X-Trance CMOS 4センサー」に、画像処理エンジンも「X-Processor 4」となりました。これは、上位モデル「X-T4」などと同じで、必然的に生成する画像も同様となります。デフォルトのフィルムシミュレーションである「PROVIA/スタンダード」をはじめ、「Velvia/ビビッド」や「ASTIA/ソフト」に関して言えば、階調の豊かさ、絵づくりの艶やかさなど、フィルムメーカーらしいこだわりを感じさせるものです。また、ローパスフィルターレスということもあり、解像感の高い写りが得られるのも特徴です。ちなみフィルムシミュレーションには、このX-Eシリーズとしては初となる「クラシックネガ」「ETERNA/シネマ」「ETERNA/ブリーチバイパス」が追加されています。

連続撮影可能枚数はメカシャッター時で最高8コマ/秒。これは先代モデルと同じです。ただし、電子シャッターの場合は大きく向上しており、先代モデルの最高14コマ/秒から最高30コマ/秒となっています。ベース感度はISO160、最高感度はISO12800で、拡張機能によりISO80相当のL80からISO51200相当のH(51200)での撮影も可能としています。高感度でのノイズレベルはよく抑えられており、こちらもキーデバイスを共通とする上位モデルと同じと述べてよいものです。

気になっている方も多いかと思いますが、センサーシフト方式の手ブレ補正機構の搭載は見送られています。これは、コストとボディサイズの制約によるものと思われますが、搭載されていたら本モデルの完成度はより高まったのも事実。もっとも、Xマウントの交換レンズの場合、もっとも手ブレ補正の恩恵を受ける望遠系レンズは、ほとんどの製品にレンズシフト方式の手ブレ補正機構が搭載されていますので、未搭載であることにさほど落胆する必要はないのではと思えなくもありません。私自身としては、あったらうれしいけど、ボディが大型化したり価格的に高くなってしまうのであればなくてもよいかな、と思っています。

EVFについては先代と共通です。0.39型236万ドットで、必要にして十分な見え具合と解像感ですが、そろそろこのクラスにも0.5型369万ドットのEVFが搭載さればなぁと思えてなりません。いつしかお目見えするであろう“X-E5”には期待したいところです。アイピースの光学系もおそらく先代モデルと同様ですが、画面周辺部までしっかりと解像しており、見にくく感じることはありません。願わくなら、視度調整の範囲がもう少し広いと、強い老眼や近視の人に優しいかなと思います。

液晶モニターは解像度がアップしており、3インチ104万ドットから3インチ162万ドットと進化しています。ライブビューでも撮影した画像でも、解像度の高さからさほど拡大しなくてもピントの状態など把握しやすく感じます。

最後に動画機能について。4K(3840×2160ドット)に加え、より解像度の高いDCI4K(4096×2160ドット)での撮影も可能なりました。最高フレームレートはいずれも30pとなります。さらに、ビットレートはこれまでの100Mbpsから、より高品質の写りの得られる200Mbpsが選択できるようになったことも注目しておきたいところ。前述のとおり、フィルムシミュレーションには「ETERNA/シネマ」や「ETERNA/ブリーチバイパス」が新たに搭載されているので、あたかもフィルムで撮影したような動画が楽しめます。ちなみに「ETERNA」とは同社の映画用フィルムの名称です。

操作性の変更は気になるが、X-E3からの置き換えを決断

フラットなボディは好みの分かれるところですが、スマートな印象がより強くなった「X-E4」。同時に発表されたパンケーキタイプの単焦点レンズ「XF27mm F2.8 R WR」がよく似合うように思えますし、この組み合わせで撮影を楽しみたいと考えるXシリーズユーザーも少なくないと考えられます。上位モデルと同じキーデバイスを搭載しながら比較的に手に入れやすい価格も注目点でしょう。

私自身の話で恐縮ですが、「X100V」と望遠ズームを装着した「X-E3」の2台を日常的に愛用しています。理由は、操作部材の位置やそれに伴う操作性がほぼ同じであることなどからですが、X-E4はX100Vとまったく同じキーデバイスを搭載するため、今後X-E3から置き換えるつもりでいます。フォーカスモード切り替えレバーの廃止はちょっと痛いですが、このカメラが発売される日を楽しみに待ちたいと思います。

著者 : 大浦タケシ おおうらたけし 宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。日本写真家協会(JPS)会員。 この著者の記事一覧はこちら

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