頑張っている人の表情をマネするとパフォーマンスが向上する!? 表情分析の研究が明らかに

頑張っている人の表情をマネするとパフォーマンスが向上する!? 表情分析の研究が明らかに

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2021/02/22
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Ryan McGuire via Pixabay

◆どうしても頑張れないときってありますよね?

こんにちは。微表情研究家の清水建二です。

就業時間が終わりに近づくにつれて、お客様の宛名ミス、書類の誤字脱字、見積書・請求書・納品書などの計算ミス、仕事の段取り忘れなどが増えてくる部下、同僚、自分自身、上司。

よくあります。活が足りない? やる気がない? 性格の問題?

色々な可能性が考えられます。しかし、自分の気持ちとしては、頑張りたいにも関わらず、ここ一番の時に頑張れない、もう少しなのに持続力が著しく低下する。こうしたことを誰しもが体験するかと思います。

本日は、こうしたときに集中力を瞬間チャージし、持続力を高める栄養ドリンクのような手軽な方法を紹介します。しかも、お金は一切かかりません。

◆休憩すら取れないとき、気合を入れる科学的な方法

よくある、そして最善の方法は、ひとまず休憩し、再開するというものです。しかし、休憩をとることが出来ず、どうしても続けなくてはならないときがあるでしょう。そんなとき、集中力や思考力を高めるための方法があります。至って単純な方法です。

それは、頑張っている人の表情のマネをする、です。気合を入れた表情と言った方が正確かも知れません。

表情フィードバック仮説というものがあります。

特定の表情筋を動かすことによって、その動きに関連する感情が生じるという説です。例えば、ペンを横にして、歯でくわえた人と唇で挟んだ人とを比べると、前者の人の方が楽しい気分になるということがわかっています。ペンを歯でくわえると幸福表情に関連する大頬骨筋が動きます。私たちの身体には、楽しいから笑うだけでなく、笑うから楽しくなるというメカニズムも備わっているのです。

◆スポーツ選手の表情のマネをすると認知力が上がった

この表情フィードバック仮説について、笑顔以外で検証したのがRichesinら(2020)です。

実験参加者をランダムに二つの条件にわけます。スポーツ選手が気合を入れた瞬間の顔を見せ、その表情をマネしてもらう条件と表情について何の指示も与えない条件です。それぞれの条件の実験参加者に二つのタスクをしてもらいます。

一つのタスクでは、摂氏4~6度の冷水に手首まで入れてもらい、出来るだけ耐えてもらいます。身体ストレスレベルを測る目的のタスクです。もう一つのタスクでは、実験用のパズルを解いてもらいます。認知力を測る目的のタスクです。

タスク実行中の実験参加者の表情、心拍数、皮膚コンダクタンス反応(発汗を測定する) を計測します。

実験の結果、身体ストレスレベルを測るタスクでは、条件間で実験参加者の成績に違いがないことがわかりました。一方、認知力を測るタスクでは、表情について何の指示も与えない条件の実験参加者に比べ、気合の入ったスポーツ選手の表情をマネしてもらう条件の実験参加者の方が、成績が良くなることがわかりました。この差は最大で19.6%となりました。

身体ストレスレベルのタスクでは、特定の指示を与えていない実験参加者も自然に気合を入れた表情になってしまい、条件間の違いがなくなってしまったことが実験結果に影響を及ぼしたのではないかと考えられています。身体的苦痛に対して、私たちは自動的に頑張る表情が生じ、頑張れるように身体を整えるようです。

◆集中力をチャージしたいときは、眉間にしわをつくり、唇を一文字に結ぶ

一方、認知力のタスクでは、気合の入ったスポーツ選手の表情をマネしてもらう条件の参加者の皮膚コンダクタンス反応は低下し、この頑張る表情は、集中力を高め、作業記憶を促進する可能性があると考察されています。

頭を使う作業を行うとき、意識を集中することは言うまでもありません。この集中力導入が表情を通じて出来る、ということです。集中力を高める呼吸法などと併用してみる価値があると思います。

ところで、スポーツ選手が気合を入れた瞬間の顔とは具体的にどんな表情でしょうか?実はこの研究、その表情を具体的に書いてくれていません。しかし、これまでの研究から気合を入れた瞬間の顔、つまり、集中しているときの顔とは、「眉間にしわをつくる」「唇を一文字に結ぶ」動きだということがわかっています。

よくミスする部下・同僚・上司に、書類の最終チェックのときに、この表情をして取り組んでもらいましょう。ご自身がよくミスをしてしまう、頑張りたいけど頑張れないー書類チェックや就業中の最後の業務だけでなく、長時間の資格試験の最後の問題回答中などーそんなとき、この表情をして、頑張れる力を身体に注入してみて下さい。

ちなみに私自身は、学生時代―この論文が発表れれるはるか前ですがーTOEIC(英語の試験の一種)の問題回答の終盤、自然にこの顔になっていたことが思い出されます。最近では、カフェで文献などを読んでいる最中、周りがガヤガヤして集中できないとき、眉間にしわを寄せ、集中力を引き上げています。結構、使えます。

<文/清水建二>

参考文献

Richesin MT, Oliver MD, Baldwin DR, Wicks LAM. Game Face expressions and performance on competitive tasks. Stress and Health. 2020; 1–6.

【清水建二】

株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16・19」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。

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