株を購入すると自社製品や金券などが届く株主優待。興味はあるけれど知識ゼロの50代ライターが、専門家に学びながら優待株投資にチャレンジします。第2回目は、株はいつどこで購入すればよいのかなど、優待を得るために必要なステップを教えてもらいます。

教えてくれたのは……五十嵐修平(いがらし・しゅうへい)さん

IFA法人バリューアドバイザーズ代表取締役社長。2013年に資産運用コンサルティングを専門とする会社を設立。海外視察の際に欧米の手法に感銘を受け、独自のコンサルティング手法を考案。IFA(独立系ファイナンシャ ルアドバイザー)として、お客様目線で価値ある提案を常に心掛けている。著書に『55歳からでも失敗しない投資のルール』(クロスメディア・パブリッシング刊)。
優待株投資を始めるなら!最初のステップ3つ

連載第1回では株主優待とは何か、株主優待が50代以上におすすめの理由などを学びました。今回は優待株投資を始めるにあたって最初にこれだけは押さえておきたい3つのステップを紹介します。
ステップ1:何はともあれ「証券口座」を開く

「株の取引をするにはまず証券会社で証券口座を開設しましょう。株を買うときは証券口座に資金を入金してから注文し、株を購入した後の管理もすべてこの口座で行います」(五十嵐さん)
銀行口座とは別物なのでちょっと手間にも思えますが、多くの証券会社がインターネットでの口座開設に対応。すぐに手続きができます。
(証券会社の中にはインターネットの口座開設に対応していないところもあります)
ステップ2:まずは1銘柄100株分の購入資金を用意
証券会社では基本的に100株単位で株を売買するため※、100株から株主優待が受けられる銘柄が多くなっています。
※ネット証券など1株で購入できるミニ株もあるが、株主優待は100株以上の購入が必要なことが多い。
つまり1株1000円の銘柄なら、優待を受けるためには1000円×100株分、少なくとも10万円が必要ということ。

「株主優待を受けるための最低投資金額は銘柄によって異なります。低いものだと5万円ぐらいから、高いものだと50万円以上に上りますが、ボリュームゾーンは20万円~30万円くらいです」(五十嵐さん)
前回教わった投資予算の出し方を参考に試算したら、最初に投資する資金を用意しましょう。
また企業によっては200株以上必要だったり、1年以上の継続保有などの条件がついたりすることもあります。「どうすればもらえるのか、優待内容と条件は購入前にしっかり確認しましょう」
ステップ3:「権利付き最終日」までに株を購入する
「株主優待を受けるには、優待の権利が得られる『権利確定日』までに企業の株主名簿に名前が記載される必要があります。名簿に登録されるのは株の購入から3日後。つまり優待を得るためには「権利確定日」の2営業日前の「権利付き最終日」までに株を購入する必要があります」(五十嵐さん)

「権利付き最終日」は優待を得るための締め切り日のようなもの。土・日・祝日は営業日にカウントされないので要注意です。
「『権利付き最終日』に株を購入しておけば名簿に名前が載るため、翌日に売却しても株主優待品はもらえます。そのため株価は『権利付き最終日』に近づくほどに値上がりし、『権利付き最終日』の翌日に値下がりする傾向があります。なお優待品は権利確定後の2~3カ月後に届くのが一般的です」(五十嵐さん)
そのため、優待狙いとはいえ「権利付き最終日」の直前の株購入は高値掴みとなり、あまり得策ではないそう。
「時間的に余裕があるのなら、一回優待を見送って株価が下がったタイミングで購入してもいいでしょう」
50代以上が狙うべき優待株のジャンルとは?
その1:使わずに期限切れ…は悲しい。狙い目は生活必需品!

50代以上のハルメク世代におすすめしたいのが「飲料や日用品、お米などの生活必需品」だと五十嵐さん。
「株主優待投資家の桐谷広人さんが、優待券を使用するために自転車で東京中を駆け巡る様子がバラエティ番組で放映されて、とても話題になりましたよね。株主優待の一つに買い物優待券や割引券がありますが、近くに店舗がなかったり時間的に余裕がなかったりして優待を受け損ねてしまう……というのは、株主優待あるある。まずはご自身やご家族にとって“使えるもの”を選ぶことが第一です」(五十嵐さん)
確かに、生活必需品なら無駄なく使えますね。さらにトイレットペーパーなどかさばるものであれば、買い物の手間も省けて一石二鳥です。
その2:時間に余裕がある人は旅行・レジャー関連もおすすめ

「50代に入り仕事や子育てが一段落した世代こそ、ホテル、乗り物、旅行といったレジャー関連の優待を狙ってみてはいかがでしょうか。現役世代だと優待をもらったものの、使わずに終わってしまうということも多いんです。その点、時間に余裕がある世代なら楽しみながら使えそうです。また、60、70代ならお孫さんが喜ぶテーマパークなどを探してもいいかもしれません」(五十嵐さん)
とりわけ割引率が高いのがゴルフレジャー券。ゴルフに行く人におすすめだそう。
その3:資産運用のプロ・五十嵐さんは生活圏内で優待券をフル活用!
五十嵐さんご本人は、生活圏内にある商業施設の優待券や割引券を活用しているんだとか。中でもお得だと感じているのはビックカメラ!
「100株以上なら年間で3000円分、500株以上なら年間で5000円分の買い物優待券がもらえます。現在一株1100円くらい※なので、11万円分の株を持っていれば3000円分の優待が受けられる計算です」(五十嵐さん)

五十嵐さんがゲットしたビックカメラの株主優待(お買物優待券)
※ビックカメラの株価については2023年9月時点のものとなります。
五十嵐さんの話を聞いて、筆者も近所の家電量販店や愛用しているコスメブランドなど、株主優待をしているかどうかさっそくチェックしてみることにしました!
次回は優待株投資の第1ステップである証券口座の開設に進みます。証券会社も店舗型とネット型があるけれど、どこがいいの? 申し込むには何が必要?など、またしてもおんぶに抱っこで指南してもらいます。
取材・文:中澤夕美恵 構成・編集:ハルメク365編集部
ライタープロフィール

中澤夕美恵(なかざわ・ゆみえ)
1973年生まれ。育児、教育、健康系を中心に取材・執筆、ライトノベルなどの編集を手がけるフリーライター。投資経験はほったらかしのiDeCoを少々。老後に向けて優待株生活を夢見る。
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ハルメク365編集部