全国旅行支援クーポンで「転売ヤー」が横行?今月10日から再開も問題続出

全国旅行支援クーポンで「転売ヤー」が横行?今月10日から再開も問題続出

  • MONEY TIMES
  • 更新日:2023/01/25

2022年10~12月に実施された政府の「全国旅行支援」が、2023年1月10日に再開された。旅行代金の割引率は40%から20%に引き下げられ、交通費込みの割引上限額も1人1泊当たり8,000円から5,000円に縮小したが、現地での飲食や買い物に使える地域共通クーポンは配布される。

しかし今、このクーポンをめぐる問題が起こっているのだ。一体どういうことなのだろうか。

■クーポンの転売が横行

中断前の全国旅行支援では、平日に1人1泊当たり3,000円分、休日は同1,000円分のクーポンを配布していた。再開後は平日が2,000円分に引き下げられたが、休日は中断前と同じ1,000円分となっている。

クーポンは、旅行先の飲食店や土産物店などで使ってもらうことが目的であるのはいうまでもない。しかし、2022年に問題となったのがクーポンの用途。つまり、転売されてしまうケースが後を絶たなかったのだ。

一部のフリマアプリやオークションサイトには全国各地のクーポンが続々と出品され、大半が売り切れた。

■有効期限の延長も裏目に

クーポンは発行された都道府県内でしか利用できないため、旅行中に使い切れなかった都道府県外からの観光客が額面より安い価格で売りに出したというわけだ。「捨ててしまうくらいなら、安くても売ったほうがいい」という考えは、金券ショップに商品券などを持ち込むのと同じ理屈だろう。

もっとも、クーポンの有効期限を旅行期間中に限定せず、大幅に延長して再訪を期待した都道府県が少なくなかったのも事実。有効期限が長ければ転売しやすくなるため、「リピーターを獲得したい」という思惑が裏目に出てしまった格好だ。

■Go Toトラベルでも「転売ヤー」対策

こうした経緯を見ると、クーポンの転売は予想外だったように思える。しかし、2020年に政府がスタートした「Go Toトラベルキャンペーン」でも、金券類の扱いをめぐる問題が取りざたされたのを覚えているだろうか。

キャンペーンが始まる前、ホテルなどでは宿泊にクオカードやギフトカードなどの金券類を付帯させる「3万円クオカード付き4万円プラン」といった商品がビジネスマンらの人気を集めていた。

ところが、このプランにGo Toトラベルの割引(2020年当時)などが適用されると、3万円分のクオカードだけでなく、キャンペーン割引と地域共通クーポンで2万円分が還元されることになる。つまり、宿泊料金として負担するのは4万円なのに、1万円相当の利益が出るのだ。

Go Toトラベルを使って集めた金券類を換金すれば、「合法的」にボロもうけができる。こうなると、いわゆる「転売ヤー」が目をつけないわけがない。

結局、観光庁がクオカードなど換金性の高い金券類をプラン内容に含む旅行・宿泊商品は支援の対象外とすることを明示したため事なきを得た。もちろん、全国旅行支援の割引対象も換金性の高い金券類を含むプランは除外されている。

■クーポンの電子化で新たな混乱も

全国旅行支援のクーポンを管理する各都道府県の事務局は、クーポンと現金の交換や第三者への譲渡・転売を禁止している。2022年はオークションサイトなどのクーポン出品者に取り下げを依頼し、サイト側に掲載しないように求める動きも見受けられた。

再開後のクーポンは、有効期限を短縮して転売防止を図る都道府県が目立ち、多くは旅行最終日までとなる。発行形態も原則として電子クーポンに統一されたため、転売のリスクは下がったといえる。

しかし、クーポンの急な電子化は旅行客にも観光施設にも新たな混乱を生んでいる。電子クーポンは利用者自身が専用サイトに登録しなければならないが、スマートフォンを使い慣れていない高齢者などからは戸惑いの声が上がっている。

施設側も決済に用いる2次元コードが届かない、決済のシステムが端末に対応していないといったトラブルが相次いでおり、全国では1月下旬まで紙クーポンを代用する動きも広がっている。

■何よりお得なのは「使い切る」こと

とはいえ、全国旅行支援の再開を歓迎する声が多いのは確かだ。割引率などが縮小した中、独自のクーポン券などを上乗せして配布する都道府県も相次いでおり、本来なら冬場の閑散期であるはずの温泉地などにも異例のにぎわいをもたらしている。

各都道府県は3月末までの実施期間を設定しているが、割り当てられた予算の上限に達した時点で順次終了する。観光需要のさらなる喚起を期待する業界団体からは「できる限り長く継続してほしい」との要望も聞かれる。

2023年度以降の継続は不透明だが、割引率がさらに縮小されたとしても、お得な制度であることに変わりはないだろう。しかし、合法か非合法化は別として、クーポンを額面以下の価格で転売してしまえば、せっかくの恩恵が半減してしまうことになる。

旅行者本人にとって何よりお得なのは、クーポンを自分でしっかり使い切ることであるのは間違いない。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加