菅新総理「ショボい記者会見」に見た日本の不安と暗闘。参謀不在で危機に

菅新総理「ショボい記者会見」に見た日本の不安と暗闘。参謀不在で危機に

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  • 更新日:2020/09/16
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圧倒的な強さで自民党総裁選を勝ち抜き、71歳にして総理の座を射止めた菅義偉氏ですが、識者の目には「ほころび」が見えているようです。米国在住作家の冷泉彰彦さんは今回、自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、総裁就任会見やインタビューへの菅氏の「準備不足」を指摘するとともに、パブリックスピーチの重要性を熟知しているはずの菅氏がなぜ準備不足に追い込まれたのか、その裏事情を推理しています。

菅総裁就任、1つの疑問

衆参両院議員票だけでなく、地方票でも圧勝だった菅義偉氏は、自民党総裁に就任し、早速記者会見や、NHKのTVインタビューなどを受けています。この会見やインタビューに関しては、あくまで、この時点での第一印象ですが、どうしても疑問が残るのです。

問題は会見の姿勢についてです。例えば、今回の会見やインタビューでは、いきなり世論と向き合うパブリックスピーチとなったわけですが、しっかり破綻していました。言葉足らずな部分も多く、言い淀んだり、黙り込んだりということで、官房長官としてのスムーズな進行とは雲泥の差でした。それは、菅という人が、特に密室トークの専門家であって、パブリックスピーチには不向きということでは「ない」と思います。

そもそも現代の日本で総理大臣の職責を全うするために、パブリックスピーチ抜きでというのは、全くあり得ないわけで、仮に苦手であってもそこから逃げる事はできません。

問題は菅氏が苦手とかそういうことではありません。まず想定問答を作って、徹底的に総裁を鍛えるスピーチのコーチがいなかった、あるいはそのコーチングの時間がなかったということであり、また、戦略から戦術に下ろしてパブリックなコミュニケーションに一つ一つ「勝ち抜いていく」作業を、徹底的に菅氏とやっていく参謀が不在だということです。

政治のイロハというべき、パブリックなコミュニケーションのブレーンがまだ起動していないということですと、政策そのものもあくまで菅氏個人の脳内イメージに過ぎない可能性があり、それではこの大国日本の政府は一歩も進みません。

安倍政権を通じて、そのことを徹底的に理解し、しかも自分が回していた菅氏が、その必要性を知らないはずがありません。また、十分な準備なしで会見やインタビューに臨むことの危険性も誰よりも熟知しているはずです。

もしかしたら、菅氏は自分の能力を過信していたとか、安倍氏のことを見下していて、あの安倍氏にできるのだから、自分はガチンコのアドリブで乗り切れる、そんな甘い考えを持ったのかもしれません。ですが、その可能性は低いと思います。

可能性として考えられるのは、人事が暗闘になっているという可能性です。三役人事もイマイチ不自然でしたし、急にここへ来て官房長官人事の新聞辞令が飛び交っていますが、その顔ぶれは1週間前とは全く異なっています。何かが激しく動いているという印象です。

暗闘というのは、河井夫妻問題をどう政治的に処理するのか、コロナ対策と財政規律の間でどういった判断をするのか、といった問題も含んでいます。少なくとも、財政規律については「10年は消費税は上げないが、その後は上げるかもしれない」という菅氏の発言が一種の玉虫色であったことから、その切迫度が伝わって来るようです。

相当に根深い暗闘があるということは、総裁選勝利の代償として、ポスト面などで相当に各派に譲歩をした可能性があり、そんな中で、人事の全体像がカオスになっているのかもしれません。もっと言えば、総裁に圧倒的多数で選出されたことで、強大な権力を手にしたわけではなく、菅氏としては、逆にこの間のプロセスで相当な消耗を強いられた可能性もあります。

それにしても、改革という旗印を掲げたのは良いのですが、話を聞くと、日本経済を再建するための産業構造改革ということではなく、あくまで行政改革と規制改革による既得権益との闘いということにとどまっている印象があります。その辺も含めて、非常に大雑把で、しっかり準備した形跡の薄い会見でした。

仮にそうした「弱さ」を克服して、党内外における求心力を確保するためには、やはり早期解散に踏み切って、政治的ライバルの動向を封じつつ、総選挙に勝って権力基盤を固める必要は大きなものとして、菅氏を縛っていると思います。

ということで、悪しき挙党内閣がまず出来上がり、その上で、意外なほど早期に解散があるのでは、そんな見立てをした次第です。

image by:自由民主党- Home | Facebook

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冷泉彰彦『冷泉彰彦のプリンストン通信』

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