元宝塚歌劇団トップ娘役【夢咲ねね】女優としての今の私。『東京ラブストーリー』への想い

元宝塚歌劇団トップ娘役【夢咲ねね】女優としての今の私。『東京ラブストーリー』への想い

  • VOCE
  • 更新日:2022/11/25

元星組トップ娘役として、娘役の一時代を築いた夢咲ねねさんが、満を持して元タカラジェンヌ特集に登場! 宝塚が誇るトップ・オブ・トップスターと言われた元星組トップスター・柚希礼音さんの相手役として6年間トップ娘役を務めるなど、圧倒的な存在感で当時の宝塚歌劇団人気を牽引した一人です。

そんな夢咲さんも、劇団を卒業して早7年。退団直後から大きなミュージカル作品への出演が続き、順風満帆な女優人生を送っている夢咲さんに在団中や卒業してからの紆余曲折、そして、現在まさにお稽古中というミュージカル『東京ラブストーリー』についてもお話を伺いました。記事の最後には夢咲ねねさんの美しすぎる未公開カットもたっぷり! 最後までご覧ください。

トップ娘役だった6年間はあっという間!

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VOCE編集部

退団されて7年ですが、退団後はいかがでしたか?

夢咲ねねさん(以下、夢咲さん)

山あり谷ありですね。いろいろありましたが、今は少しずつ自分が見えてきたかなと思っています。在団中は目の前のことに追われる日々だったので、自分に厳しくなってしまい、欠点しか見えないという時期があったんです。自分のことが嫌いになってしまって……。なので、辞めてからしばらくは心を整えるのに時間がかかりましたが、ようやく見つめ直せている気がします。

VOCE編集部

宝塚ではトップ・オブ・トップのコンビを務められていましたから。お忙しかったと思います。

夢咲さん

やはり柚希さんは本当にすごい方でした。その方の相手役を務めていたので、ちえさん(編集部注:元星組トップスター・柚希礼音さんの愛称)のお相手をするのに足りないところとずっと向き合う日々だったんです。自分の中では6年間があっという間だったというか、本当に一瞬にして過ぎ去ってしまいましたね。私が相手役として組ませていただくことが決まったときは、柚希さんがどれくらいトップを務められるのかは知らなかったのですが、「必ず柚希さんと一緒に卒業したい」と思っていたので、6年間、ひたすらついていかせていただいた、という感じでした!

VOCE編集部

素敵な作品が多かったのを覚えています! 個人的には『ロミオとジュリエット』がとても印象的でした。

夢咲さん

宝塚ではちょっと先進的な作品だったかなと思います。実は私、研2のときにウィーンで観ているんですよ。当時『エリザベート』を月組で上演することが決まっていて、その時私は月組にいて新人公演でエリザベート役をいただいたので、ぜひ本場で観たいなと思い明日海りおと一緒にウィーンへ旅行に行き、『エリザベート』を観劇したんです。そしたら、そのときにちょうど『ロミオとジュリエット』も上演されていて。

VOCE編集部

ご覧になったんですか?

夢咲さん

最初は全然興味がなかったんです(笑) 『ロミオとジュリエット』はクラシカルだと思っていたので。でもこれも縁かもしれないからと観ることにして、ウィーン初日に『エリザ』、翌日に『ロミジュリ』、その次の日に『エリザ』を観て帰国というスケジュールだったんですけど、開演と同時に『ロミジュリ』の作品に圧倒されてしまい……。とにかくカッコいい、この作品はすごすぎる!と思っていたら、ときめきすぎて熱を出してしまったんです(笑) 本当は出待ちもしたいくらいだったんですけど、なんとかCDだけ購入してホテルに戻り、翌日の『エリザ』は体調不良で観られずじまい。

VOCE編集部

大変な観劇旅行になりましたね。

夢咲さん

帰国してからもずっと『ロミジュリ』のCDを聞き続けていて、いつか日本でも上演してほしいと思っていたところ、年月を経てからですが、星組で上演することになり。「こんな奇跡があるんだ!」と夢が叶った瞬間でした。

VOCE編集部

素敵な思い出ですね。退団されてからの外の世界はどうですか?

夢咲さん

私が人見知りということもあり、卒業した当初は毎回新しい現場で芝居をするときに“自分をさらけ出していくこと”がとても難しくて、そこを突破するのが自分の中では大変だなと思っていたんです。でも7年も経つと以前共演したことのある方も増えてきて、お芝居のことで相談もできるようになったりもしています。“新しい現場”が刺激的だなと思えるようになりました。

VOCE編集部

夢咲さんの「舞台に立つのが楽しい!」という気持ちが伝わってきます。

夢咲さん

退団前後は、舞台に立つのを怖いと思ったときもあり、このまま“舞台に立つ”ことを続けてよいものか悩んだときもあったんです。でもそのときにお声をかけていただいたのが『サンセット大通り』というミュージカルだったのですが、そのオファーをいただいたのが在団中で。劇団の方からも「一度やってみてから決めたらいいんじゃない?」と言われて、確かにそうだなって思ったんですよね。しかも、初日が誕生日だったんですよ(笑)。

VOCE編集部

これまた、すごい、しかも嬉しい偶然ですね!

夢咲さん

はい! これもご縁かなとも思ったので、まずは1作だけでもチャレンジしてみようと思って舞台に立ったら、この作品がめちゃくちゃ楽しくて! 在団中は組を背負っているんだという気持ちや、柚希さんに恥じないようにという思いなど、自分で自分自身をがんじがらめにしていた部分がすごく大きかったと思います。宝塚を辞めて自分という一人の女優として舞台に立つという新しい責任感も生まれるのですが、自分の責任は自分でという具合に管理できるようになってきたかなと思っています。

偶然観ていた『東京ラブストーリー』に出演することに

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VOCE編集部

そして、いま絶賛お稽古中なのが、ミュージカル『東京ラブストーリー』ですね。

夢咲さん

実はこのお話をいただく前なんですが、偶然サブスクで『東京ラブストーリー』のドラマを全話観ていたんです! コロナ禍で家にいる時間が増えていたときに、「『東京ラブストーリー』ってどうしてあんなにみんなに愛されて、未だに名場面だとか言われているんだろう」と思い、とりあえず1話目を観てみたら面白すぎて一気に観てしまったくらいにハマってしまい(笑) 面白かったと思っていた作品なので、このお話をいただいてすごくびっくりしたんですけど、「あの作品を3時間におさめるのは大変!」と、まさに今カンパニー全員で試行錯誤しているところです。

VOCE編集部

夢咲さんは、関口さとみを演じられるとか。

夢咲さん

そうです! ドラマを観ていて、どう思いましたか?

VOCE編集部

『おでん女』という異名をもらってしまった関口さとみですよね……。ドラマを観ていた女性たちからはかなり非難殺到だった記憶があります。

夢咲さん

ですよね(笑) 私自身も唇を嚙みしめながら観ていましたから。なんで今来るの、しかも、なんでおでん持ってくるの!って(笑) 最初は非難を浴びる役だと思っていたのですが、いざ演じるとなったときは、そこをとことん楽しもうと思っているところです。でも今回はドラマではなくマンガ原作をベースにしているので、多少設定が異なっています。ミュージカル版という感じですね。

VOCE編集部

どんな気持ちを持って、さとみを演じていらっしゃいますか?

夢咲さん

私はそこまで“あざとさ”を前面に出そうとかはあまり考えずに、台本に沿って演じているんですが、その後の(赤名)リカの気持ちを思うと、(永尾)完治とリカの恋愛に対してさとみの存在がすごくスパイスになっているのは確かなんですよね。さとみが何かやってしまったあとの完治とリカの場面を観ると、思わず「なんか、ごめん……」と思ってしまうというか(笑) でも、さとみはさとみなりに自分の愛を模索して、成長しようとしているのかなと思います。

VOCE編集部

なるほど。夢咲さんのお話を伺うと、また違う気持ちでさとみを観られますね。

夢咲さん

ありがとうございます。作品の中で「完治にとってリカは東京だった」と語る場面があります。愛媛という田舎から出てきた完治は、都会的で自立した、自由な自分自身をちゃんと愛せる女性=リカを東京の象徴として捉えているんでしょうね。さとみはさとみで愛媛から出てきて、三上健一という同じ出身はあるけれど、どこか自分とはかけ離れたおしゃれな存在で、ひとつ先を行っている大人の男性に“東京”を重ねているんです。でも最終的には、いつもそばにいて優しく見守ってくれていたのが完治だったと気づく、さとみの成長物語でもあると思っています。

VOCE編集部

ドラマとはまた違った気持ちで舞台を観ることができそうです。

夢咲さん

3時間しかないのが惜しいくらい! どのキャラクターにも悩みや影があり、共感できるところがたくさんあるので、それを観ていただけたら嬉しいです。

VOCE編集部

今回の舞台は、2グループのキャストに分かれて上演されるんですね。夢咲さんは空キャストでのご出演で、永尾完治が柿澤勇人さん、赤名リカが笹本玲奈さん、そして三上健一が廣瀬友祐さんというキャスティングですが、皆さんとは初共演ですか?

夢咲さん

柿澤さんとは『サンセット大通り』でご一緒しました。玲奈ちゃんとは初めてなんですけど、廣瀬くんとは『1789 -バスティーユの恋人たち-』と『グレート・ギャツビー』で一緒でしたね。『グレート・ギャツビー』でも夫婦役だったんですけど、浮気されて傷つけられるという関係性だったんです(笑) 今回は空キャストと海キャストでお稽古も上演日程も完全に分かれているので、普段はこの4人でいることが多くて。作品も初演なのでみんなでイチからつくっているという感覚です。同志みたいになっていて(笑) この3人に会うと安らぐというか、ホッとできるんです。キャラクターもそれぞれ、もう本当にピッタリですし。

いちばん幸せな時間は「舞台の上にいるとき!」

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VOCE編集部

さらに来年は『ファインディング・ネバーランド』の上演も控えています。

夢咲さん

そちらもすごく楽しみなんです! またお話しできるタイミングが来たときに、ぜひ色々とお話ししたいです!!

VOCE編集部

素敵な作品ばかりで楽しみです。夢咲さんは、これから女優としてどんなふうになりたいと思っていらっしゃいますか?

夢咲さん

まずは、本当にありがたいという感謝の気持ちが第一にあります。そして、そのうえでやっぱり舞台の上にいるときがいちばん幸せだと思っています。その気持ちは宝塚の初舞台を踏んだときからずっと思っていること。もちろん仕事として責任を持ってやらなくてはいけない、お客様にチケット代を払っていただいて観に来ていただいているので、それに恥じないように舞台を務めなくてはいけないという責務があるのも確かです。

VOCE編集部

舞台は生ものですから、日々の体調コントロールなど、本当に大変だと思います。

夢咲さん

はい。ただ、それ以上にお客様が作品を観てハートフルな心が温かくなる作品が私は大好きなので、お客様には舞台を観ている間だけでもその作品の中にいて、幸せを感じてほしいと思うんです。そのためには自分自身が誠実に作品と向き合っていかなければいけないと思いますし、何よりも自分自身が楽しんでいきたいですね。

VOCE編集部

自分自身が楽しむ、というのは素敵ですね。

夢咲さん

海外の演出家の方の作品にも何度か出演させていただいていますが、彼らは舞台の幕が上がる瞬間に「楽しんで!」と声をかけてくださるんです。その一言で少し肩の荷が下りるというか、「うまくやらなきゃ」「失敗したらダメだ」とがんじがらめになりそうなところを、その一言でほぐしてもらえることが多く、やっぱり楽しむことが重要だなって改めて思ったんです。自分の心に嘘をつかないようにしたいなって思います。

VOCE編集部

では、最後に『東京ラブストーリー』を観にきてくださるお客様にぜひメッセージを!

夢咲さん

有名な『東京ラブストーリー』です。私としては恋敵だと思っているので、唇を噛み締めていただいていいんですけど(笑) 最終的にはさとみも幸せになれたということを納得していただけるように“さとみ”の人生を生きたいと思います。ぜひ劇場に足を運んでください。お待ちしております!

お稽古中というハードスケジュールの中、早朝からのインタビューと撮影に応じてくださった夢咲ねねさん。満面の笑みで「舞台に立つのが本当に楽しい!」とおっしゃっていたのが印象的でした。このインタビュー、次回はサロンコンサートを12月に控えた仙名彩世さんにバトンタッチ。さらに大の仲良しという夢咲さんと仙名さんお二人の対談も公開予定です! お楽しみに!

夢咲ねねさんの美しすぎる未公開カット!

宝塚ファン必見! 元タカラジェンヌ特集一覧はこちら!

【夢咲ねねさん・プロフィール】

夢咲ねね(Nene Yumesaki)
富山県富山市出身、1984年7月4日生まれ。2003年に89期生として宝塚歌劇団に入団。月組公演『花の宝塚風土記/シニョール ドン・ファン』で初舞台を踏み、その後月組に配属。2008年に星組へ組替え、2009年4月27日付で星組トップ娘役に就任。『太王四神記 Ver.Ⅱ』で柚希礼音とのトップコンビお披露目を果たす。『オーシャンズ11』や『ロミオとジュリエット』、『眠れない男・ナポレオン-愛と栄光の涯に-』など、多数の話題作でヒロインを務める。退団は2015年5月10日。退団後は『サンセット大通り』、『1789 -バスティーユの恋人たち‐』、『グレート・ギャツビー』『ポーの一族』など、大作へのオファーが引きも切らない。

<Information>

ミュージカル『東京ラブストーリー』
2022年11月27日(日)~12月18日(日) 東京建物 Brillia HALL
チケット料金(全席指定・税込)S席/11500円 A席/9000円 B席/6000円

空キャスト
柿澤勇人(永尾完治)
笹本玲奈(赤名リカ)
廣瀬友祐(三上健一)
夢咲ねね(関口さとみ)

撮影/嶋田礼奈 取材・文/前田美保

三好さやか

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