「義実家の敷地」に家を建てるという選択はアリ?苦手な義母との敷地内別居を決めた女性の場合

「義実家の敷地」に家を建てるという選択はアリ?苦手な義母との敷地内別居を決めた女性の場合

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  • 更新日:2022/01/15
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コロナ禍で義母とも会わなくなり、ホッとしている人がいる半面、近くに住んでいることで以前より緊密な関係を求められて辟易としている人もいる。

コロナ禍で義母とも会わなくなり、ホッとしている人がいる半面、近くに住んでいることで以前より緊密な関係を求められて辟易としている人もいる。

義理の関係は正面切って話しあうこともできないから、当事者はストレスにさいなまれていく。

義母とは「離れて」いたかった……

同い年の男性と結婚して12年のミユさん(41歳)。10歳と7歳の女の子がいる。結婚当初は東京都内の賃貸マンションに暮らしていたが、上の子が小学校に入るタイミングで、郊外にある夫の実家の敷地に別棟を建てて引っ越した。

「建物だけだし平屋なので建築費用がそれほどかからなかったのが大きかったですね。夫と私の収入で、都内に家を持つのはむずかしい。そんなとき、義父母が『土地はあるんだから、ここに建てればいいじゃない』と。親戚に大工さんもいるのでかなり割安で建ててくれるという。

義母が口うるさくて苦手なタイプの人だったから、私としてはものすごく悩みました。ただ、郊外で緑が多い環境は子どもたちにはいいし、夫も私も勤務先がそれほど遠くなるわけでもない。毎日、行くかやめるかと葛藤していました」

そんなとき、夫が言ったのだ。「おふくろが何か言ったら、オレはミユの味方になるから」と。その一言を信じて、彼女は義実家と同じ敷地に住むことを決めた。義実家は夫の両親がふたりきりで暮らしている。

「越したその日に、義母はごちそうを作って『ねえ、今日はみんなで母屋で食べましょう』って。その言葉に私はあれ、と思ったんです。

あちらが母屋ならこちらは離れということになる。そういう関係性なのかなと疑問がわきました。もともとある離れに越してきたわけではなく、こちらは夫婦名義でローンを組んで家を建てたんです。なのに離れと言われることに抵抗がありました。

夫に言うと、『そりゃそうだけど、そんなことでけんかを売らないほうがいいよ』って。私の味方じゃなかったのと最初に思った瞬間でした」

孫が“女のくせに”サッカーを習うのも不愉快?

とはいえ、ミユさんもフルタイムで働く身だから、残業があるときは義母に助けられた。だがここ最近は、在宅勤務も増え、以前ほど義母に頼らなくてもすんでいる。

「時間ができたので娘との会話も増えましたが長女によれば、『おばあちゃんは古い』と。『おかあさんが遅くなってあっちでご飯を食べるとき、必ず私がお茶を入れていた』と言うんですよ。女の子だからやれと言われるらしい。

夫の妹が近所にいて、ときどき息子連れで来るんですが、男の子には何もやらせないんですって。娘が『おばあちゃん、男だから女だからっていうのはもういけないんだよ』と言ったら激怒されたそうです」

男女役割に関する価値観は、もう変えようがないのかもしれないが、義母はミユさんにも、子どもにあまり勉強をさせるなと言うのだそうだ。女の子が大学に行ってもしかたがないと。

「さすがにそれはびっくりして、子どもの人生は子どものものなので、大学に行くかどうかは本人次第。今どき男女は関係ありませんとわざわざ言いに行きました。娘は今、サッカーをやっているんですが、義母はそれにも反対でした。これは夫がなんとか説得したみたいです」

だが、「孫が女のくせにサッカーをやっているのは嫁のせい」と近所に言いふらしているのが発覚した。ミユさんはサッカーファンなのだ。

「今どき、そんな嫁の悪口は、さすがに近所の人だって同意はしません。それでも昔からの義母の友人は、私にこっそり『あんまり義母さんを刺激しないほうがいいわよ』と言っていました。こういう人間関係もめんどうですね」

さらに義母は、ミユさんを全面否定する言葉を繰り返す。

「もともと私は結婚に反対だった、仕事ばかりして子どもの面倒も見ない嫁なんて、何の価値もない。跡継ぎの男の子も産めないくせに、と。

あなた、仕事が家族より大事なの? 私は子どもが自分の命より大事だと思いながら育てたけどねと嫌味を連発。私に対する完全否定ですよね。さすがにこれは堪えました。こっちだって、たいした家柄でもないのに跡継ぎって何よ?と言ってやりたかった」

こうなってくると、夫もうかうか「ミユの味方になる」と言ったことを実践できなくなっていく。何が気に入らないのか、義母が自分の妻を排除しようとしているのだから、夫にはもうちょっと真摯に対応してほしかったとミユさんは不満をためていった。

「土地は広いんだから使ってちょうだいと言った義母ですが、今になって『庭は大きいまま手入れしながら使えばよかったわね。家庭菜園だってできたでしょう』と義父に言うんです。

今になって思うけど、苦しくても中古のマンションでも買ったほうがよかったかもしれない。義実家の土地に家を建てるのは経済的には助かるけど、義父母は家を貸しているくらいの感覚でいるみたいだから」

あー、疲れた!とミユさんは突然、立ち上がった。義母からの言葉が針のように胸をチクチク刺してくる。たまの休日に娘たちとふざけていると、義母はすぐに電話をかけてきて『野中の一軒家じゃないんだからね』って。彼女は結局、うちの娘たちがいいなりにならないのを怒っているんだと思います」

じわじわと義母の嫌味がミユさんを追い詰めていく。このままずっとここで暮らすのは無理かもしれない。先日、夫にそう言ってみたら夫はあわてふためいていた。だからといって事態が変わるわけでもない。

実際、夫がビシッと両親にものを言ったことはないのだ。いつも言いそうで言わない。ことを起こすのが嫌なのだろう。だからといって妻に我慢を強いるのも違う。彼は彼なりに悩んでいるのかもしれない。

「義母は、義父とも仲がいいわけではないし、寂しいんでしょうね。かまってほしいんです。まだ70代なのに、趣味もないし出かけようともしない。外で楽しい思いをすれば、気持ちも明るくなると思うんですが、そうしようとはしませんね」

膠着状態のまま、同じ敷地に住んで3年。関係が好転することはないだろうとミユさんは思っているそうだ。

亀山 早苗プロフィール

フリーライター。明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(恋愛ガイド))

亀山 早苗(恋愛ガイド)

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