米大統領交代でも改善せず?ベネズエラから移民を再開した人々の窮状

米大統領交代でも改善せず?ベネズエラから移民を再開した人々の窮状

  • アゴラ
  • 更新日:2020/11/22

ベネズエラのマドゥロ大統領は、米国次期大統領に就任予定のバイデン氏に早速祝電を送った。新たな交渉の道が開けて、ベネズエラの深刻な経済危機と物資不足を招いている制裁が僅かでも解除されるのではないかと期待しているようだ。

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JeanUrsula/iStock

しかし、既に多くのベネズエラ市民は生活の窮状から逃れるべく、外国に職と食料を求めようとしている。過去に一度出国したものの希望が叶えられず帰国していた約10万人が、生活苦が倍増している現状を前に再度出国しているというのである。

平和ボケの国、日本では想像できないことが今もベネズエラで日々起きているのだ。

電子紙『CNN Español』(10月22日付)は再び移民することに決めたナイロ・カレロさんのことを紹介している。彼女はカラボボ州からコロンビアとの国境ククタ市まで歩いての移動だという。ククタ市までの距離はおよそ700キロ。郷里に一旦戻ったが毎日の食事さえ事欠く状態だったということで、今回は7人の子供の内の6人を連れての移動となった。

コロナパンデミックの真っただ中での移動で、コロンビアは現在国境での入国を認めているのはコロンビア国籍を持っている人か、あるいはベネズエラ人でも在住許可を持っている人しか入国させないことになっているという。だから彼女の場合は違法ルートを使っての入国しかできない。通常のルートでは軍隊または警察が警備しているコントロール地点がある。そこでは彼らに何か賄賂をやらないと通過させてくれない。それを彼女は前回経験している。だから尚更、別のルートを選らばねばならないというわけだ。子供を連れての山道などを通っての移動になる。彼女が連れている子供で一番の幼少は年齢が僅か2歳だという。

移動中は殆ど野外で寝たそうだ。屋根の下で寝られる機会に恵まれなかったという。しかも、何度も雨が降る中で寝たそうだ。

彼女と子供たちはコロンビアとの国境からおよそ35キロの地点カパチョ市で一息つくことになった。取材はこの地点で行われたようだ。これから彼女はコロンビアに入るのにまた違法ルートを使ってのこととなるのは必至だ。

そこにはラファエル・ムヒカさんも到着していた。彼はポルトゥゲサ州から一般道路を3日歩いてそこまで辿りついたそうだ。途中、ひとり道案内を買って出た者がいたが、「私から何か盗もうと狙って違った方向を案内していたのに気がついた」と取材で語った。

今回は一人で行くことに決めたという。「クリスマスを愉しめるためのお金を稼ぐためだ。息子のこと、息子の服、お年玉、家内のことなど思っていた。靴の一足も買えないのが今の我々だ」と取材に答えた。

地元の電子紙『LaPatilla』(10月9日付)はエレアサル・エルナンデスさん夫婦のことを伝えた。彼らは夫婦はコロンビアの第2都市メデジンに向かっているという。同都市まで480キロ余りを残す小さいな町パンプロナに到着した時に手持ちのお金が尽きてしまったという。

バスのチケットも買うこともできない。夫人は妊娠7か月で殆ど歩けない状態だということで通過するトラックの荷台に乗せてもらうことを期待した。そうすれば途中海抜4000メートルの高地も通過できるようになると考えた。しかし、コロナの影響で通過する車の運転手は感染を恐れて以前のように容易には乗せてくれない。しかも、移民が休息できるところも閉まっているということで移動は容易ではない。

それでもエルナンデスさんは「赤ん坊が空腹の状態で寝かさねばならないような場所(ベネズエラ)で生まれることを許すわけにはいかない」と取材に答えている間に救済グループが食べ物の入った袋と寒さを凌ぐのに頭から被ることのできる頭巾のようなものを配っているのを受け取ることができた。

彼らが一時休息しているこの町パンプロナには200人を収容できる休息宿があったがコロナの影響で室内で休息してもらうことができない。そこを運営しているダグラス・カベサさんは今では体操する時に使うマットを配って野外で休息してもらうようにしているそうだ。彼は「満足させるものを提供できなくなっているが、彼ら移民を助けるための小さな協力をさせてもらっている」と取材に答えた。

同紙でも指摘しているが、現在のコロンビアはコロナの影響もあって失業率が12%から16%に増加している。しかも、現在コロンビアにはおよそ170万人のベネズエラ人が在留しているとされている。それは2900万人の人口を抱えたベネズエラから現在まで550万人が出国している内の30%に相当する数である。

だから、彼らがコロンビアに密入国しても容易に職を見つけることは以前以上に難しくなってなっている。現在のコロンビアでの最低賃金は260ドルとなっている。闇で働いて最低賃金よりも低い収入し得られないとしてもベネズエラでの給与2ドルの数十倍も稼げるはず。しかも食料も手に入れることができる。だから、ベネズエラ人は、再度コロンビアを目指すのである。

白石 和幸

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