『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪

  • 文春オンライン
  • 更新日:2017/11/12

子供のころ、あなたは“It(それ)”をとても恐れていた。でもある日、仲間と力を合わせて“It”をやっつけ、大人になった。そして若い日々を夢中で過ごし、気づけばもう中年だ。

ゆっくりと穏やかに老いていくあなた。だが、そんなあなたのもとに、ある日“It”は戻ってくるだろう。

“It”とは――子供のころ怖かったアレやコレのこと。たとえば、死の恐怖、圧倒的な孤独、未来が見えないこと……。あぁー、また奴がやってくるのか!!!

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この作品は、スティーブン・キングの小説『IT』(文春文庫刊)を映画化したものだ。原作では、1957~58年を舞台にした過去編と、1984~85年を舞台にした現在編が交互に描かれている。過去編では少年少女が力を合わせて怪物と戦う。そして現在編では、再び現れた怪物を倒すため、大人になった彼らが町に戻ってくる。

映画のほうでは過去編のみ描かれている。現在編は製作中の続編で観られるらしい。

過去編の見どころは、ピエロに赤い風船など、いかにもアメリカンな怪物の出血大サービス! それに、開拓、町の発展、KKKなど、新大陸の土壌が怪物を生んだことがわかるワクワク感もある。キングの作品は“新世界アメリカの民俗学”なんだなぁ。

さて、この過去編で、主人公たちは通過儀礼的な戦いを終えて大人になるのだが、現在編のほうでは、中年になり、ミッドライフ・クライシス(中年の危機)を迎えている。そのため、再び怪物を倒す(=二度目の通過儀礼)必要に迫られて集まるのだ。

原作で、オッサンになった元少年たちが、「また(怪物を)やっつけられるよ」「そうとも、ビル」と気弱に励まし合うシーンが、わたしは妙に好きだった。人生のリスタートには気の合う仲間が必要なのだ、と。

個人的には、映画→原作→映画の続編の順番で嗜むのがお勧めです。続編も楽しみ~。

INFORMATION

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開中
http://wwws.warnerbros.co.jp/itthemovie/

(桜庭 一樹)

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