Amazon、アリババ、JPモルガンなど大手企業でAI活用が加速

Amazon、アリババ、JPモルガンなど大手企業でAI活用が加速

  • ZUU online
  • 更新日:2018/01/12

「IBMワトソン」「Google Deep Mind」など大手IT企業によるAIシステムから、スタートアップが提供するAIソリューションまで、様々な分野へのAI進出が始まっている。

三菱東京UFJ、みずほ、三井住友、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスなど国際大手金融機関、Amazonやアリババといった小売業者、英国の医療機関などの事例とともに、企業によるAI活用の展望と課題を探ってみよう。

■広範囲な分野で利用されているAIソリューションの代表格「IBMワトソン」

他分野にわたる企業が採用しているAIソリューションの代表格として、「IBMワトソン」が挙げられる。

日本では三菱東京UFJ、みずほ、三井住友といった大手銀行やJAL、ケイ・オプティコム、楽天などが、自社のカスタマーサービスにIBMのAI「ワトソン」を導入し、対話型の自動応答サービスを提供している。

AIカスタマーサービスは24時間365日稼働している上に、顧客とのやり取りから学習し続けるという利点がある。顧客は営業時間を気にすることなく好きな時に問い合わせでき、企業にとっては人件費の節約につながる。

さらに進化した活用例として、パナソニックの「デジタル版コンシェルジュサービス」 が挙げられる。これはホテルの鏡にコンシェルジュ機能を持たせ、宿泊客に情報提供するというもの。

IBMワトソンは外部だけではなく、組織内部の効率化にも貢献している。あいおいニッセイ同和損害保険や朝日信用金庫、西原商会は、組織内部の問い合わせにAIを活用。

ソフトバンクは新卒採用の一次選考のエントリーシート評価に、かんぽ生命保険は保険金支払い査定に、ステイプルズは自動発注に、東京大学医科学研究所はがん研究にと、知識拡張や調査分野でも幅広く活用されている。

■AIで生まれ変わる金融産業 ロボアド、分析、投資、不正取引監視ほか

IBMワトソンの活用例は、「AIが影響をあたえる職業分野」の氷山の一角にすぎない。金融産業はAIによる大量の人員削除が懸念されている分野として、取り上げられることが多い。ほかの産業同様、その利用領域はボットによる顧客サービスから組織内部業務の効率化、コスト削減、動向分析、投資まで広範囲にわたる。

JPモルガン・チェースは借入契約書の処理に「COiN(コントラクト・インテリジェンス)」を採用。わずか数秒で人間の労力36万時間分に値する作業を処理できるだけではなく、不注意によるミスなども著しく減ると期待されている。同社は人間140人相当の労力を要する業務に対応可能な、簡易作業ボットも導入している。

USバンクやバークレイズ銀行は顧客関係管理(CRM)ソフト大手、セールスフォースのAI技術を、顧客動向の分析やサービスの向上に利用している。米国の機械学習スタートアップ、クラウデア(Cliudera)との提携で実現したもの。

チャットボット・スタイルのAI利用も盛んだ。バンク・オブ・アメリカはチャットボット型のファイナンシャル・アドバイス、ソシエテ・ジェネラルはエクイティ・ファンド・アドバイスを提供している。

またFacebookのメッセンジャーとチャットボットを融合させ、ウェルズファーゴは顧客黄体、トランスファーワイズはAI送金サービスを提供している。

ロボットアドバイザーの人気もますます伸びている。人気の火付け役となったベターメントやウェルスフロントに加え、近年はウェルズ・ファーゴ、チャールズ・シュワブ、ブリッジウォーター・アソシエーツ、ブラックロックといった大手が、続々とロボアド市場への参入を狙っている。

ゴールドマン・サックスは為替取引業務や市場分析のAI化、モルガン・スタンレーはAIによるファイナンシャル・アドバイザーのパフォーマンス強化、ナスダックは不正取引監視システム「コグニティブ・コンピューティング・プラットフォーム」の開発など、金融産業は急速に変化を遂げている。

■流通・小売業――よりサプライチェーン管理からパーソナルな顧客サービスまで

AIは流通・小売産業でも基幹テクノロジーとなる可能性を十分に秘めている。ほかの産業同様、よりパーソナルなサービスを求める消費者が増えている近年、小売業者にとってもAIを活用したデータ分析や各顧客の需要に合わせたマーケティング、サービス提供が激化する競争を生き残るカギとなりそうだ。

在庫・発注管理など、業務効率化に重点を置いた日本の事例では、コンビニストア大手のローソンやアパレルのユニクロが、AIベースの発注システムや在庫管理システムを採用している。

次世代顧客サービスの領域では、昨年AmazonがAIを活用した決済不要の無人ストア「Amazon Go」を開店させ、話題となった。英国の大手スーパーマーケット、テスコも同様のAI無人ストアをテスト中だと報じられている。

またアリババは昨年12月、「ファッションAI」と称するまったく新しいリテールサービスを開始した。これは実際の店舗の試着室に持ち込まれた商品をセンサーが認識。設置された液晶スクリーン上に、コーディネートに適した商品をAIが提案してくれるというもの。
ほかにもパリ発の世界最大規模のオンライン・コスメ・セレクトショップ「セフォラ(SEPHORA)」 が、AIアプリを導入。顔分析とバーチャライゼーション技術を併用したサービスで、利用者は自分の写真を読み込むだけで似合う色味や商品を勧めてくれる。メイクが好きな女性にとっては究極のパーソナルな顧客サービスとなっている。

■慢性化した資金・人手不足に悩む英国医療機関が提携するGoogle「Deep Mind」

コスト削減や人手不足の圧力に押されている健康・医療サービスは、多岐にわたるAIの応用が可能と期待されている分野だ。

深刻な資金および人手不足の解決に迫られている英国の国民保健サービス「NHS」が、分かりやすい例だろう。

最初の課題は過去何十年にもわたり蓄積された膨大な量のデータの組織化だ。患者のカルテや検査結果、スキャン画像、将来の診察および検査予約など様々な情報は、AI学習の絶好の材料にもなる。

NHSファンデーション・トラスト(医療機関を経営する国の独立行政法人)の運営下にあるロンドンの眼科センター、ムーアフィールド・アイホスピタル やユニバーシティ・カレッジ・ロンドン・ホスピタル(UCLH)は、従来は専門家が担当していたスキャン画像のチェックなどの定型業務をアルゴリズム化することで、専門医の負担を軽減。専門医は節約した時間を、患者への対応やほかの業務に回せるようになる。

2016年中旬からDeepMindと提携関係を結んでいるムーアフィールド・アイホスピタル曰く、現在英国では200万人が視力障害に苦しんでいるとされ、そのうち35万人が盲目または弱 視と認定されている。高齢化にともない「加齢黄斑変性(加齢とともにダメージを受けた黄斑という組織が視力低下を引き起こす病気)」の患者数は2020年までに250万人に達する見込みだ。

そこでこれらの患者の目のスキャン画像や症状に関する情報をDeepMindのソフトウェアに入力し、スキャン画像から眼疾患を特定可能な方法を学習させることに挑戦している。

またUCLHでは頭部やけいぶのがんのスキャン画像から、DeepMindが「セグメンテーション」の可能性を探りだす。セグメンテーションとはスキャン画像に基づいて、放射線治療で照射する部分、しない部分を特定する作業だ。DeepMindの技術は通常4時間を要するプロセスを1時間に短縮できるという。

■NHS患者データ流出騒ぎで浮き彫りになった「適切なガバナンス」の必要性

しかしここで一点、顧客や患者の個人情報へのAI利用に関して「データ機密」という課題が浮上する。

前述したDeepMindとNHSの提携では、患者データの流出が大きな論争を呼んだ。DeepMindは提携関係が終了した時点で患者データを破棄する義務が課せられているなど、「患者データの最終的な統制権はあくまでNHSが維持している」と主張していたが、過去にデータ保護法違反を犯した汚名が根強く残っている。

これはロイヤル・フリーNHSトラスト運営下にある3つの病院が、HIVや麻薬中毒、中絶などを含む広範囲な症状の患者データへのアクセスをDeepMindに許可していたというものだ。

本来の提携目的は「ストリームス(Streams)」というアプリを用いて急性腎臓障害のリスクが高い患者を洗いだし、DeepMindのシステムでこれらの潜在的リスクを秘めた患者のデータを監視することだった。ここでの問題は、これらのデータへのアクセス権がロイヤル・フリーとDeepMindの合意書に含まれていた―つまり国民保健サービスがIT企業に、本来の意図とは無関係の患者情報を流した事実にある(ニュー・サイエンティストより )。

こうした事例から見るかぎり、データの取扱いに適切なガバナンスが必須となることは疑う余地がない。患者データが細心の注意をもってやり取りされる環境が整えば、英国だけではなく世界中の医療機関がAIの恩恵を最大限に受けることも可能になるだろう。

■高齢社会にAIは欠かせない?認知症早期発見や生活支援など

「いずれ人間の知能を超える」「人間の仕事を奪う」といった懸念も根強い反面、「ロボットと共存する幸せな未来」への期待も高まっている。特に多くの国・地域で高齢化が進んでいる近年、AIやIoTといったテクノロジーは人間の生活の質を高める上で、そして持続的な経済成長を維持する上で欠かせないテクノロジーとなりそうだ。

2025年には世界で700万人を超えると予想されている認知症患者の生活支援や予防にも、AIが役立つと期待されている。イタリアのバーリ大学のニコラ・アモロソ教授らが発見した、機械学習技術を応用して脳内の変化を早期に感知する方法がその一例だ。これらの方法によって、症状が発生する数年前に変化に対応し、予防策を講じることができる(ニューサイエンティストより )。

また大阪工業大学では仮想空間を現実のように経験させる仮想現実(VR)技術や、AIを活用した認知症患者の生活支援ツール開発が進められている。

近年のAI動向を示した以上の事例から推測できるように、AIの社会普及は国境や分野の境界線を超え、今後ますます本格化していくだろう。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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