金属製ナノフィルムの上に塩水が流れるだけで発電可能なシステムが開発される

金属製ナノフィルムの上に塩水が流れるだけで発電可能なシステムが開発される

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  • 更新日:2019/08/24
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byRodolfo Clix

近年では風力や太陽光といった再生可能エネルギーによる発電や、核融合発電などの他にも、「チーズ作りの副産物」や「マッシュルームとバクテリア」など、さまざまなものを使った発電方法が考案されています。ノースウェスタン大学の化学教授であるフランツ・ガイガー氏らの研究チームは、金属コーティングを施したガラスやプラスチックの板の上に、「塩水」を流すことで発電するという方法を開発しました。

Energy conversion via metal nanolayers | PNAS

https://www.pnas.org/content/116/33/16210

Run Saltwater Over This Nanofilm To Make Electricity IEEE Spectrum - IEEE Spectrum

https://spectrum.ieee.org/energywise/green-tech/geothermal-and-tidal/a-saltwater-river-runs-through-it

ガイガー氏らの研究チームは、プラスチックまたはガラス板の上に鉄やニッケルの非常に薄い膜を蒸着させ、その表面に海水などが流れることで金属膜に電流を発生させる仕組みを考案しました。

ガイガー氏はこの発電方法を使った装置を、ありふれた素材を使った非常に安価な方法で製造できると主張しています。広い面積を持つ薄い金属膜を単体で製造するのは困難であるため、ガラスなどの板の表面に膜を貼り付ける方法が容易だとのこと。「しっかりと断熱されていれば、このシステムは上手く動作するでしょう」とガイガー氏は述べています。

基本的な考え方としては、塩水に含まれるナトリウムイオンが金属膜中の自由電子に働きかけ、水滴が流れる動きと同期して自由電子が金属膜中を移動することで電流が発生するというもの。ガイガー氏によると、金属膜表面にある酸化物の層により、ナトリウムイオンが自由電子を受け取ることはないだろうとのこと。

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byronymichaud

もちろん水滴1つが動かせる金属膜中の電子は非常に少なく、発生する電流もほんのわずかです。しかし、記事作成時点では実証実験が行われていないものの、計算上ではこの発電方法で1時間あたり数キロワットもの電力を生み出すことができると示唆されています。

10メートル四方の薄いプラスチック板100枚に金属膜コーティングを施し、大量のイオンを含む水を流してやることで、実に1時間あたり2~5キロワットの電力を発電可能だとガイガー氏らは考えています。「100枚の発電板を作ることができるならば、スケールを100万枚にまで拡大することもできます」とガイガー氏はコメントしました。

また、板の表面を流れる液体は必ずしも塩水や海水である必要はなく、原理的にはイオンが含まれているならば、人間の血液でさえガイガー氏らのシステムを使って発電することが可能。実現にはほど遠い技術ではありますが、もしも血管内に発電装置を埋め込むことができれば、体内で動作する機械の電力を血液から生み出すこともできるとのこと。

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byqimono

研究チームは体内に埋め込まれたマイクロデバイスの動力の他に、海水中を推進するシステムなどにも考案した方法が有効だと考えています。ガイガー氏らの論文の資金提供者にはアメリカ海軍研究局も名を連ねており、再生可能エネルギー分野以外からも大きな注目を集めているようです。

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