旅行業界が専門の米コンサルタント会社、ロングウッズ・インターナショナルの調査によると、旅行を予定している米国人の32%は、計画を立てる際に「ChatGPTを利用したい」と考えているという。
同社のエミール・イロン社長兼CEOは「初期の自動予約システムからインターネット、ソーシャルメディアまで、旅行業界は新たなテクノロジーに適応することにおいて、常にリーダーの立場を維持してきた」と指摘。さらに、次のように述べている。
「旅の計画と意思決定にAI(人工知能)を取り入れることの潜在的なメリットに関して、旅行業界とそのサービスの利用者はどちらも、アリーアダプター(初期採用者)になると考えています」
だが、一方で同社の調査結果によると、旅行を予定している人の45%は、このチャットボットを使用する可能性は「低い」と回答。さらに、27%は「ChatGPTを知らない」と答えている。
情報の信頼度は?
ここ数カ月の間に、多くの人たちがChatGPTを利用して旅行の計画を立てようとした。だが、満足する結果は得られなかったという人も多い。米CNBCのトラベルエディターは、数々の事実誤認を指摘している。
また、コンデナスト・トラベラー誌のライターは「この話題のチャットボットは特殊性に欠け、さらに事実誤認が多い」として、情報収集に使えば「疲れてしまうだろう」と評価している。
とはいえ、AI(人工知能)に関心がない旅行者たちも、実際にはもう何年も前からそうとは知らないうちに、旅行のプランニングにAIを使用している。例えば、プランニングツールの「 グーグルトラベル(Google Travel)」は、AIを利用して航空便の遅延を予測したり、最安値のチケットやお得な料金で利用可能な宿泊先を紹介したりしてくれている。
また、北米で人気のトラベルアプリ「ホッパー(Hopper)」は、機械学習アルゴリズムに基づき、航空運賃や宿泊料金を予測している。航空券を今すぐ購入するべきか、より手ごろな料金になるのを待つべきかといったことも教えてくれる。
米オンライン旅行会社エクスペディアのピーター・カーンCEOは先ごろ行った収支報告で、自社のモバイルアプリがいかに迅速にChatGPTを導入したかについて、興奮気味にこう語っている。
「このスピード、この能力は、過去の世界では実現不可能だったでしょう。そして、これは将来に実現されることのごくわずかな一部に過ぎません」
もちろん、エクスペディアがAIを初めて導入したというわけではない。同社での顧客経験はその大半が、AI(と機械学習)を利用して提供されたものになっている。
同社と競合する米オンライン旅行大手、ブッキング・ドットコムも同様だ。同社のグレン・フォーゲルCEOはAIについて、次のように語っている。
「もう何年も前から幅広くAIを使用してきた私たちは、この分野においては安定した状況にあると考えています」「AI技術を活用することで、よりパーソナライズされた予約の経験を提供できれば、私たちはより魅力的な、差別化されたサービスを提供することができるでしょう」
以前から、パーソナライゼーションは旅行サイトが「究極の理想」として掲げてきたものだ。バケーションレンタルサービスのエアビーアンドビー(Airbnb)も、その実現の鍵を握るのは、AIだと考えている。
同社のブライアン・チェスキーCEOはAIについて「私がシリコンバレーに来て以来、旅行業界、あるいはテクノロジーにおける最大の革命であることは間違いない」と述べている。