
ビスケットの箱や扇子、香水瓶などにもミュシャの華麗なデザインが施されている(京都市下京区・美術館「えき」KYOTO)
優美な女性像のポスターで知られる画家、アルフォンス・ミュシャ(1860~1939年)の多様な仕事を紹介する「ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者」が、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開かれている(京都新聞など主催)。従来紹介の少なかった油彩画や素描、宝飾作品などで、ミュシャの多才ぶりをひもとく。
アイリスをデザインした香水瓶、真ちゅうの切手箱、華麗な装飾文のビスケット箱など、小物類の展示が充実している。ミュシャが活躍した当時は産業革命による大量消費社会が到来し、売り手は魅力的なデザインで他社商品との違いを出そうとした。ミュシャのデザイン力が市場の要求に合致していたことが伝わってくる。
学生誌「オー・カルチェ・ラタン」の表紙は意志的な女性が強い印象を残す。朝、昼、夕、夜を女性の姿で表した装飾パネルは青い色調が美しい。鉛筆とハイライトだけの素描「パンを食べる少年」「少女の肖像」などからは、人々の生活に向けたミュシャの優しいまなざしが感じられる。3月26日まで。会期中無休。有料。