数少ないエレベータに大量の住人が押し寄せるせいか、朝の出勤時には電車に乗り遅れそうになり、休日は階上の住民に小馬鹿にされ、高すぎるローンを抱えて生活苦で往生してしまう――。
昨今よく見る“タワマン記事”は、どれもこれも不幸にまみれていて、縁のない庶民としては胸がすく思いであるが、実際のところそうした話はどこまでリアルなのか。本当に住みづらいところなのか。
豊洲に在住して5年目の筆者が、湾岸タワマンのリアルを語らせてもらいます。今回のテーマは、「エレベーター事情」についてです。

画像はイメージです
◆2018年に豊洲のタワマンに引っ越す
私が豊洲のタワマンに引っ越したのは2018年秋のことです。
湾岸エリアの幼稚園に子供が通っていて、それ以前は、隣町の勝どきで賃貸暮らしをしていました。45平米、月13.5万円の家賃だったので、マンションカーストで言えば最下層の部屋といえます。
夜、寝るときに窓の外を見ると、晴海の高級タワマン「ドゥ・トゥール」の青い光が部屋に差し込んできて、「これがタワマンか……」とぼんやり眺めていたことを今も鮮明に覚えてます。
私は中小の出版社に勤務しており、妻が外資系企業勤め。割と異色な組み合わせが珍しがられてか、今でも幼稚園のパパ友・ママ友と繋がりがあり、子どもたちもよく一緒に遊んでます。
◆エレベーターで「待たされことがない」
その縁で「勝どき・晴海・豊洲」の湾岸タワマンには、もう何十回と足を運んでいますが……記事でよく見る「エレベーターで長時間待たされる」ってのは経験したことありません。
基本的に大きなビルって「1~24階」「25~50階」というように、エレベーターの止まる階が区切られているじゃないですか。一棟まるごと同じところを使うわけじゃない。
タワマンも同じシステムのところが多く、自ずと利用人数の上限は決まってきます。
まぁ、問題は朝の通勤時ですよね。
◆月曜の午前中は「スポーツジムが混雑で入れない」
確かに勝どき駅近のタワマンなどでは「朝が激混み!」という話を聞いたことがあります。しかし、この2~3年で状況はかなり変わりました。コロナ禍を経て、在宅ワークなどが増え、密集時間が緩和されたんですね。
晴海の某高級タワマンなんて、月曜の午前中はエレベータではなく「スポーツジムが混雑で入れないことすらある!」とママ友が怒っていたぐらいで。
彼女いわく「土日に食べ過ぎたパパたちが、在宅仕事サボって運動してる!」らしいです(笑)。
コロナは5類になったけど、Zoomなども引き続き利用されていることですし、完全に以前の状況には戻らないんじゃないでしょうか。
◆多少待っても「誰も気に留めてない」
ちなみに私の住むタワマンは小型の36階建てで、エレベーターの区切りはありません。全住民が3つの同じエレベーターを使い、この4年半で長く待たされた経験は一度もありません。
記憶にあるのは、休日の夕方に家族同士の一団とカチ合ったときぐらいですかね。
ベビーカーを押していたり、子供がキックボードに乗っていたりするとスペースを取るので、「お先にどうぞ」という感じで、譲り譲られるケースは時々あります。次のエレベーターにすぐ乗れるので、誰も気に留めてないと思います。
ゴミ捨てなんかも、各階にダストボックスがあるタワマンが多く、わざわざ階下に降りたりしませんから。
<TEXT/とりとん>
―[住民が語る「タワマンの真実」]―
【とりとん】
中堅出版社に25年勤務の編集者。妻、子供の3人暮らしで世帯年収は1,450万円ほど。2018年秋に豊洲のタワマンを6,000万円で購入し、現在の債務はフラット35で4,500万円を切る。Twitter:@tritonsakura