「最高のAndroid端末という噂は本当か?」Google初の独自開発スマートフォン「Pixel XL」を徹底レビュー

「最高のAndroid端末という噂は本当か?」Google初の独自開発スマートフォン「Pixel XL」を徹底レビュー

  • ライフハッカー[日本版]
  • 更新日:2016/12/02
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MakeUseOf:Googleが独自に開発した初のスマートフォンが登場しました(日本での発売は未定)。Androidエコシステムで最高の端末との呼び声も高い「Pixel XL」モデルの価格は770ドル(今すぐ手に入れたい人は、Amazonで購入可能です)。スペックは500ドルのHuawei製「Nexus 6P」と同じくらいですが、Pixel XLは本当に770ドルの価格に見合った端末なのでしょうか?

Pixel XLの付属品

Pixel XLには、USB-Cケーブル1本、USB-A to USB-Cケーブル1本、USB-AとUSB-Cを接続するOTGアダプター1個が付属します。マニュアルでは詳しく説明されていませんが、充電にはUSB-Cケーブルを使用します。デバイスをノートパソコンまたはUSB-Aケーブルと接続する際はUSB-A to USB-Cケーブルを使いますが、その場合、電圧が5Vになるので充電にははるかに時間がかかります。

USB-AとUSB-Cを接続するOTGアダプターを使えば、他のデバイスとの間でメディアファイルを移動させられます。

スペックとデザイン

Pixelのスペックはハードウェア好きを驚かせるようなものではありません。Nexus製品では当たり前になっている画期的な仕様の多くが省かれていて、ワイヤレス充電などの機能は搭載していません。そのわりに価格はかなり高額です。代わりにPixelは、無駄をそぎ落としたデザインと実用的なハードウェアを備え、Googleの人工知能(AI)技術との統合を深めています。さらに「iFixit」がPixelを分解してくれたおかげで、内部に使われている部品の多くが明らかになりました。

注目すべきハードウェアの特色はたくさんありますが、中でも重要なのは、アンテナモデル、プロセッサ(システム・オン・チップ:SoC)、そしてスクリーンです。

Qualcommのアンテナモデル「QFE2550」

スマートフォンでもっとも重要な要素は、アンテナと無線のサブシステムだといっても過言ではありません。Qualcommの最新ダイナミックアンテナチューナ「RF360」は、携帯電話基地局とスマートフォンの間でやりとりされる信号の「チューニング」を大幅に改善します。これにより、データ通信速度と通話のクオリティ、信号の信頼度が向上します。基地局との接続がより安定すれば、信号を探す(ひいては多くの電力を消費する)時間が短縮され、バッテリー寿命が驚くほど長くなります。また、ほかのQualcomm製部品も注目に値します。

ただし残念なことに、LTEの問題が発生しているという報告がGoogleのサポートフォーラムに入り始めています。とりわけアメリカ以外の国々で発生しているようです。PixelでLTE速度に到達できないユーザーがいるとのことですが、これに関してはまだ確認が取れていません。

SoC「Snapdragon 821」を搭載

「Snapdragon 820」は、旧世代から大きな進歩を遂げたSoCです。820では、多コア化に重点を置くのでなく、コア当たりパフォーマンスの安定向上に立ち返る一方で、より小さいナノメートル製造プロセスに移行することで効率向上を達成しました。要するに、820は2012年に「Snapdragon S4」がリリースされて以来、最大の進歩を遂げたSoCになるわけです。

製造技術の改善に加え、820はアンテナデザインと回路構成にもあらゆる面で改良を施しています。しかも、その過程で犠牲にしたものは何もありません。パフォーマンスと引き換えに効率を手に入れた「Snapdragon 810」とは違います。そして今回のSnapdragon 821は全体的に見て、820に若干の変更と改善を施したものとなっています。残念なことに、パフォーマンスがわずかに向上する一方で、バッテリー効率はやや低下しましたが、それは大きな問題ではありません。820シリーズは、素晴らしいパフォーマンスと驚異的なスクリーンオン(実際の利用)時間を提供してくれるのですから。筆者は1回の充電で、8~9時間もRSSフィードを読むことができました。

Pixel XLには、このSoCと4GBのLP-DDR4メモリが1つのパッケージとして搭載されています。LP-DDR4は、デスクトップ用DDR4メモリの低消費電力バージョンです。マザーボードには、このプロセッサとRAMのパッケージのほか、Samsung製ストレージが搭載されています。サイズは32GBと128GBの2種類です。注目すべきは、Googleが最新のUFS 2.0ストレージ技術を採用している点です。これはeMMCのフォームファクタでSSD並みのスピードを実現するもので、「iPhone 7」で使われているNVMeストレージ技術にはまだ及ばないものの、Samsungが成し遂げた偉大な技術的功績と言えます。

いずれにせよPixelは、一切手抜きをしない最高水準のハードウェアを提供しています。

AMOLEDスクリーン

Pixelで使われている解像度1440×2560の5.5インチ「AMOLEDスクリーン」は、1インチ当たりピクセル数(ppi)が534と驚異的な数値を誇ります。このppiは他社のフラッグシップ機と同等です。さらに注目すべきは、このピクセル密度がNexus 6Pのディスプレイをわずかに上回っている点です。ただ実際には、Nexus 6Pの518 ppiとの違いを見分けられる人はほとんどいないでしょう。

カメラと動画撮影

Pixel XLは1080p動画撮影対応の前面カメラと、背面にはソニーの「IMX378」カメラモジュールを搭載しています。光学式手ブレ補正(OIS)には対応せず、代わりに採用したのがソフトウェアで制御する「電子式手ブレ補正(EIS)」です。電子式といっても、光学式に劣るわけではありません。EISはGoogleが宣伝したとおりの働きをします。Pixel XLで撮影した動画は、ハードウェア制御のOISを使った動画を上回るとまではいかなくとも、同じくらいブレが少なく感じられます。

GoogleのEISは、「CHRE V2」センサーハブから得たデータを使って画像のブレを補正します。撮影者が動いているのか、どの方向へ動いているのかをセンサーハブが大まかに感知したうえで、EISがアルゴリズムを用いてその動きを補正し、ブレを解消あるいは軽減するわけです。正直なところ、この技術とOISでは、全体的な手ブレ補正の出来にさほどの違いはありません。ほとんどの光量条件において、スローモーションでもフルモーションでも、あらゆる動画がすべて問題なく補正されているように見えます。けれども、かなりの後処理が施されるため、手動で画像編集するのが好きなユーザーの多くは、画像の彩度と歪みの程度にがっかりするかもしれません。とはいえ、9割方のユーザーはAppleやSamsungよりGoogleの技術に軍配を上げるでしょう。スティーブ・ジョブズ風に言えば「It just works(とにかくちゃんと動く)」仕上がりです。

背面が一部ガラス製

Pixelを裏返すと、カメラのレンズがある上部にガラスが使われています。何だか奇妙ですね。しかも、ガラスはメタル製ボディに組み込まれているわけではなく、上に直接重ねられています。一度でも落とすとガラス部分が割れてしまいそうですが、機能への影響としてはカメラが使えなくなるだけでしょう。伝えられるところでは、GoogleがPixelの設計からリリースまでにかけた期間は1年足らずで、ボディデザインは台湾のスマホメーカーHTCのものをそのまま使ったとのことです。ガラスは熱を遮断しますから、Pixelの背面を持つユーザーの手に熱が伝わりにくくなります。

ソニーのIMX378カメラの技術的詳細を知りたい方は、「XDA」が基盤技術について詳しく伝えている(英文記事)ので、画素サイズの大きさやPDAF(像面位相差オートフォーカス)などについてぜひ読んでみてください。

「Google Assistant」

Androidユーザーの多くは、自分のスマートフォンに「Google Now」という機能が隠されていることを知りません。たいていのAndroid端末なら、Googleアプリから設定を有効にして、ほしい情報などをカスタマイズすれば、このデジタルアシスタントを利用できます。

GoogleのハードウェアはSamsungやAppleの端末を上回るほどではないかもしれませんが、ソフトウェアの面では負けていません。でも、これは別に驚くことではありませんね。「Google Assistant」は、Google Nowのサービスをほんの少し進化させたものです。中でも、Google Assistantは質問のコンテキスト(状況、背景)を理解します。例えば、2016年の大統領選挙で勝利したのは誰かと尋ねたら、Google Assistantは「ドナルド・トランプ」と答えるでしょう。

続けて「彼の奥さんは誰?」と質問すれば、Google Assistantは「彼」がトランプだということをコンテキストから理解します。Appleの「Siri」もコンテキストを認識しますが、Google Assistantの能力には及びません。この点に関しては、ネット上でもほぼ意見が一致しています。下の動画は「MKBHD」がSiriとGoogle Assistantを比較したものです。

より詳しいテストでも同様の結果が出ています。例えば「Business Insider」は、Google AssistantがSiri、Amazonの「Alexa」、Microsoftの「Cortana」の能力を大きく上回ったと伝えています。ただし、たとえそれが事実でも、AppleやMicrosoftのエコシステムにどっぷり浸かっている人は、SiriやCortanaのほうが自分のニーズに合っていると思うかもしれません。

今のところ、人工知能によるコンテキスト処理はまだ初期の段階です。機械学習がさらに進化すれば、近い将来、人間と機械のやり取りは恐ろしいほどに向上するでしょう。Pixelユーザーはそれを最前線で体験できるかもしれません。

VRヘッドセット「Daydream View」

Androidユーザーの多くは、自分のスマートフォンに秘密が隠されていることを知りません。お手頃価格のVR(仮想現実)ヘッドセットがあれば、スマホがVR端末に早変わりするのです。Googleは同社の最新VRヘッドセットを「Daydream View」と名付けました。

新しいVRプラットフォーム「Daydream」(Googleの「Cardboard」アプリの後継となるもので、またこれに伴い同名のAndroidスクリーンセーバー機能「Daydream」は単に「スクリーンセーバー」と呼ばれることになったようです)では、OSがVRヘッドセットに対応します。このようなVR対応機能に加え、低残像かつ高ppiのAMOLEDスクリーンを備えたPixelは、VRアプリを動かす端末として屈指のスマートフォンとなるでしょう。今のところ、Daydreamを楽しむにはDaydream対応スマートフォンとDaydream専用ヘッドセットが必要です。前世代であるCardboardヘッドセットはDaydreamとは互換性がありません(さらにはDaydream用のリモートコントローラーも必要です)。

しかし、旧来のAndroid向けVRとDaydreamにそれほど違いはありません。使い方はまったく同じで、ヘッドセットの中にスマートフォンをセットしてVRコンテンツを見るようになっています。またコンテンツの大半は、ビデオゲームと、Googleの「YouTube VR」アプリが提供するわずかな動画に限られます。とはいえ全体としては、Pixelの高ppiスクリーンのおかげで、旧来のAMOLEDパネルで生じていた「スクリーンドア・エフェクト(網戸効果)」が解消され、どのVRコンテンツもかつてないほどリアルで迫真的に見えます。ただし、筆者が試したのはCardboard用アプリのみで、使用したのは少し前のVRヘッドセットです。

Pixel XLの持ちやすさは?

Pixel XLは、縦横の寸法は5.5インチ端末にしては小さめですが、厚みはiPhone 7や「LG V20」、その他のフラッグシップ機に比べてかなり分厚くなっています。横幅は大半のスマートフォンを超えませんが、縦の寸法は長めです。「Moto X」と比較すると、Pixelはわずかに長くて重いように感じます。それでもNexus 6PやMotorolaの「Nexus 6」のような巨大な端末と違い、Pixel XLは片手で楽に扱えます。

ただ、手の中に収まるサイズではあるものの、Pixel XLはかつてないほどつるつるした端末で、Nexus 6Pの次に滑りやすい印象です。Googleはどうやら、滑り止め加工まで気が回らなかったようです。Pixelを買う時は、ケースとスクリーン保護フィルムの購入をお忘れなく。

保証・修理・ファームウェアの更新は?

スマートフォンで何より気がかりなのは、「信頼性」と「セキュリティ」です。セキュリティ全般に関して一番の判断材料となるのは、ファームウェアの更新が提供される期間とその迅速さです。またPixelハードウェアの信頼性については、保証条件と修理のしやすさでわかります。

Pixelの保証期間は1年限りで、他社と変わりありません。もっと長期にわたって保証すべきです。大手メーカーでスマートフォンに2年の保証期間を提供しているところはなく、恐ろしく高額なハイエンド機でも同様です。全体として、保証に対するGoogleの姿勢はまったく平均的なものです。一方、ファームウェア更新の対象期間は2年で、ほとんどのメーカーより1~2年長くなっていますが、Android OSを管理するGoogleにはもう少し頑張ってほしいところですね。とはいえGoogleのPixelでは、Nexusシリーズと同様、比較的簡単にroot権限が取得できます。それはつまり、今後数カ月以内に、Pixelのエコシステムに多くのカスタムROM(ユーザーによって改変された非公式のAndroid)が登場する可能性があるということです。

筆者の総合的な印象では、Pixel XLの品質レベルはiPhoneおよびSamsungの「Galaxy」の下といったところでしょうか。もっとも不具合が出そうなパーツはガラス製ディスプレイとリチウムイオンバッテリーの2つですが、iFixitのPixel分解レポートによると、新しいものに交換するのはかなり大変そうです。バッテリーはケーブルに囲まれ、粘着テープで固定されています。良い点として挙げられるのは、ガラス製ディスプレイがAMOLEDパネルと容易に分離することです。大半のスマートフォンはディスプレイとパネルが接着されているため、修理代が高くつきます。また、Pixelのバッテリーには電池交換がしやすいようにプルタブがついています。

iFixitはPixel XLに対し、10点満点で7点という総合評価を下しました。これはiPhone 7と同点ですが、LG V20よりは低い評価です。

まとめ

長々としたレビューは読みたくないという人のために、Pixel XLについて簡単にまとめてみました。

満足できる点

バッテリー寿命が長い。

受信感度が高い。

Google Assistantはパーソナルアシスタントとして最高レベル。

(大半のユーザーにとっては)クラス最高のカメラと動画撮影機能。

少し不満な点

焼き付きを抑えるダークテーマを実装せずに、AMOLEDスクリーンのスクリーンオン時間を向上させている。

770ドルはちょっと高い。

Pixelはフラッグシップ機であるにもかかわらず、ハードウェアに関しては競合との差別化をほとんど図っていない。Nexus 6Pと大差のないハードウェアに270ドルも余分に払うことになる。

iPhone 7をあからさまに真似ている。

筆者がこれまで手にした端末の中で一番滑りやすい。落とす可能性が高いのでケースが必要。

他社のフラッグシップ機よりも分厚い。

保証条件が他社と変わらない。

大いに不満な点

Pixel XLにひどい欠点はひとつもない。

Pixel XLのLTEモデムが、特にアメリカ以外の国々で正常に動作しないという情報がある(ただしまだ確認はされていない)。

Pixelを買うべき?

「Galaxy Note7」や「iPhone 7 Plus」に代わる端末を探している人にとっては、Pixelはうってつけです。iPhone 7やNote7ほどハードウェアのデザインが洗練されているわけではありませんが、パーソナルアシスタント機能はGoogle Assistantのほうが進んでいますし、オールラウンドカメラもより優秀です。

とはいえ、Pixel XLをAppleやSamsungの製品と比較したところで、やはり無視できないのがHuaweiのNexus 6Pです。770ドルのPixel XLは、500ドルのNexus 6Pより本当に優れているのでしょうか? その答えはもちろん「いいえ」です。Pixel XLは高品質なSoCとカメラを搭載し、アンテナのデザインも向上しています。そして最大の強みは、高度なパーソナルアシスタント機能を備えていることです。これは現段階では、Pixelでしか利用できない機能です(ただし、Android 7.0で動作するほかのデバイスにこのパーソナルアシスタント機能を取り込むことは可能です)。しかし、270ドル余分に支払う価値がそれらにあるかといえば、おそらくないでしょう。

Google Pixel XLに対する本記事の評価

Pixel XLは、5.5インチまたはそれ以上のスマートフォンの中ではもっとも優秀ですが、値段は高額です。地上に存在する最高のAndroid端末がほしい人にとっては買いでしょう。評価は10点満点で8点です。

Google Pixel XL Review and Giveaway| MakeUseOf

Kannon Yamada(訳:遠藤康子/ガリレオ)

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