「わろてんか」111話。素直じゃない男たちの面倒くさいドラマが、視聴者の度量を試す

「わろてんか」111話。素直じゃない男たちの面倒くさいドラマが、視聴者の度量を試す

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  • 更新日:2018/02/14

連続テレビ小説「わろてんか」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第20週「ボンのご乱心」第111回 2月13日(火)放送より。
脚本:吉田智子 演出:鈴木 航

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110話はこんな話

キース、アサリ(大野拓朗、前野朋哉)がコンビ別れすることになった。

ときどき、揺さぶりをかけてくる

唐突にシリアスな雰囲気ではじまった。

風太「おまえらコンビ別れしてくれ」
カチカチカチ・・・と時計の音だけが小さく聞こえ・・・
キース、アサリ「えーー」の声に従業員たちがズッコケ。
てん「どないしたん?」
松たか子の主題歌。
すごい流れだ。ズッコケはこれで3回目か。
「わろてんか」、こんなふうにときどき、揺さぶりをかけてくる。

風太は真面目に100年先の漫才のことを考えて、大阪と東京にキースとアサリ、ふたりを分けて、客倍増を狙っていた。
てん(葵わかな)はそれに反対するが、マンマンで北村笑店の歴史をみんなで振り返ると(ちょうど、万丈目〈藤井隆〉が会社の25年史を編纂中)、藤吉は常に改革してきた人だったことが思い出され、てんも迷い出す。さらに、栞(高橋一生)にまで風太の判断が正しいと言われ・・・。

あれれ、リリコとシロー(広瀬アリス、松尾諭)コンビを作り上げたてんが藤吉のような改革派で、風太が保守派かと思っていたら、
うでもなかった。
どうやら、このふたりはガッチガチに生き方の指針を決めているわけではなく、そのときそのときの状況や感情で、改革派のようになったり保守派のようになったりしながら生きている。それをひとは設定が定まっていないと思うかもしれないが、人間、そんなにしっかりしているものでもない。たいてい迷いながらより良い道をみつけていくものだ。
それに、どっちに転ぶかわからないほうが面白い。とくに朝ドラはだいたい落とし所は決まっているから(今回の場合、コンビ別れ反対!といったってコンビ別れすることになる流れは見えている)、そこに行き着くまでは、のらくらとよくわからないほうがいい。「わろてんか」は予定調和にならないように、定まらずに揺さぶりをかけようと努めているドラマなのだと思う。

予定調和に終わらなかったことはこれ。
いつもは土曜日の視聴率が低いが、先週10日は20%台だった。逆に月曜日が17%台に(これは祝日だったからだろう)。
そして、火曜日に、キースとアサリの漫才をたっぷりめにやって、まとめに入るのも意外な感じだ。

やっぱり濱田岳は黙っているほうがいい

なんも言わずに哀愁を漂わせるのが濱田岳の魅力だ。
冒頭、一生に一度のお願いと苦渋をにじませた表情といい、アサリにつれなくされてしまったときの困り顔といい、コンビ別れを承諾したキースとアサリに、頭を下げるときの涙目といい、引きつける。
ところが、「わろてんか」では、111話のような表情は珍しく、毎日、ほぼ怒鳴ってばかりだ。なんでやねんと思うが、得意のちょっと悲しげを封印し、怒鳴りつづけるのは、ほんとうに大変だと思う。だからこそ、ただの怒鳴る人ではなくて、無理して虚勢を張っている男のしょうもなさが滲むのだろう。

去勢を張る男たち

コンビ別れを拒否していたアサリだったが、キースにも説得されてしぶしぶ受け入れる。
そのとき、キースに「飽き飽きしてたとこや」とか「願ったり叶ったりや」とかうそぶく。
キースもおわかれ漫才の日に「今度はもうちょっとましなやつに決めたわ」と笑い飛ばす。
素直じゃない男たちが愛らしい。
こうすればすっきりまとまるのに・・・と思うところを、我々視聴者の思うように決して進まない「わろてんか」も、じつに素直じゃない面倒くさいドラマなのだと思う。それをいかに受け入れるか、視聴者の度量が試されている。あ〜しんど。
(木俣冬)

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