ハイブリッドITとIoTエッジ - HPE誕生から1年、CEO Whitman氏が戦略を語る

ハイブリッドITとIoTエッジ - HPE誕生から1年、CEO Whitman氏が戦略を語る

  • マイナビニュース
  • 更新日:2016/12/01

●HPEスタートから1年、売却と買収の後のフォーカスは?

Hewlett Packard Enterprise(HPE)は、英ロンドンで「Discover London 2016」を開催。11月29日(現地時間)のオープニングでCEO Meg Whitman氏は、「デジタルトランスフォーメーションを回避できる業界はない。すでに進んでいるか、今始まったか、これから始まるかだ」と語った。

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HPE CEO Meg Whitman氏

同社はアプリケーションとデータが燃料となるデジタル時代に向けて、ハイブリッドITとIoTエッジコンピューティングで支援するという。

HPEとしてスタートして一年

Hewlett-Packardの分社化によりHPEとしてスタートしてちょうど一年。Whitman氏はまず、これまでの経過について説明した。

「この1年は研究開発にフォーカスし、サーバ、ストレージ、インフラ管理、コンバージシステム、クラウドなどの分野ですばらしい製品を投入してきた」とWhitman氏。この中には、1年前のDiscover Londonで発表したコンポーザブルインフラ「HPE Synergy」、ネットワークエッジの「Edgeline IoT Systems」、それに2016年春のDiscover LasVegasで発表した「Edgeline Converged IoT System」などがある。

また同社は、買収と売却も継続して行ってきた。買収では、8月に計画を発表したSGIがある。

「リアルタイム分析向けに最高のデータ管理技術を提供できる。HPC市場におけるリーダーシップの地位を確実なものにする」とWhitman氏はその狙いを説明した。

売却では、5月に発表したエンタープライズサービス事業のスピンオフ、9月に発表したソフトウェア事業のスピンオフ計画がある。それぞれ、CSCとMicro Fucusが吸収する。中でもソフトウェア事業については、「Micro Focusは急成長しており、成熟したソフトウェア、新しいソフトウェア資産を持ち、顧客にバリューを提供している。取得した事業を閉鎖したことはない」とし、HPEのソフトウェアに投資した顧客に向かって、「安心してください」と呼びかけた。

ただ、すべてのソフトウェア事業を捨て去ることはしないという。

「ハイブリッドIT環境に重要なインフラソリューションの差別化につながるソフトウェア機能には投資を継続する」とWhitman氏。そして、「HPE OneView」を例に挙げ、「HPEのソフトウェア定義製品に重要な管理機能であり、安全かつ統一された形でアプリの管理ができる」と続けた。

リソースを動的に配分できるコンポーザブルインフラHPE Synergyやコンバージドシステムも中核をなす重要な製品で、2013年にローンチして以来、累計で50万のライセンスを販売した。同時に、Docker、Chefなどとの提携を通じてエコシステムの拡大も図っている。

これに加えて、財務サービスも紹介した。消費に応じて課金する柔軟な課金モデルを導入しており、これによりIT投資戦略に柔軟性をもたらすという。

その後、Whitman氏は企業が置かれている環境に対し、HPEがどのように支援できるのかを説明した。

現在、あらゆる業界で起こっているのが、デジタルトランスフォーメーションだ。実際、HPEが今年行った世界800人のITとビジネス幹部を対象とした調査では、約8割が「デジタルトランスフォーメーションは今現在、自社の事業にとって現実の課題だ」と回答したという。

デジタルトランスフォーメーションの手段としては、顧客体験の強化や合理化、革新的な方法でのサービスや製品の提供、コア事業の速度と効率化を通じた強化などがある。ここでの「燃料」となっているのが、「データとアプリケーション」だとWhitman氏は説明する。

アプリケーションは顧客、サプライヤー、パートナー、さらには従業員がインタラクションする場所として普及しており、その重要性は高まる一方だ。アプリケーションが企業やブランドの顔になっているといっても過言ではない。だが、そのアプリケーションはさまざまなソフトウェアやAPIに依存しており、ほぼ毎日のように更新、変更される。これは開発、テスト、運用にプレッシャーとなっている。

データでは、IoTに代表されるようにデータの爆発が起こっている。例えば、2015年のパリ航空ショーで披露された新しい航空機は5000のセンサーを搭載し、毎秒10GBのデータを生成している。2基のエンジンを搭載する航空機の場合、12時間のフライトで生成するデータの量は864TB。自動運転カーの場合、現在のプロトタイプは平均して毎秒1GBを生成し、年間に2PBを生み出す成するといわれている。

「25台の自動運転カーがたった一年で生成するデータの量は、人類がこれまで生成したデータに匹敵するレベル」とWhitman氏。これらはほんの一部であり、Gartnerによると、接続したデバイスの数は64億台としており、2020年には210億台になると予想している。

だが、データだけでは不十分だという。Whitman氏は、「成功の鍵を握るのは、データからビジネスの価値となる洞察や情報を得られるかだ」と強調。そして、データを洞察に、洞察をアクションに変える必要があり、これには膨大な処理能力が要求されるとした。

ここでは、エッジ部分でのパワーが重要になるが、Whitman氏は「HPEはアプリとデータが燃料となる新しい世界への橋渡しをする」と説明した。

具体的には、

(1)ハイブリッドへのトランスフォームを支援する
(2)デジタルエンタープライズの保護を支援する
(3)データ主導の企業をエンパワーする
(4)ワークフォースのプロダクティビティを改善する

の4つの柱で進めていくという。

同氏は中でも(1)は要であり、自社のビジョンを「業界をリードするハイブリッドITのプロバイダ」とした。

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「Discover London 2016」会場風景

複雑なITをシンプル化する

ITではコスト、時間、セキュリティ、生産性、顧客体験の改善、新しいトレンドの検証と取り入れなど、プレッシャーが多い。そのため、HPEの役割は「シンプル化する」ことだという。

そして、シンプル化の鍵を握るのがハイブリッドだ。ハイブリッドITを受け入れるには、まず自社にとっての”正しいミックス”を定義することから始まる。すなわち、データセンター、パブリッククラウド、プライベートクラウド、インテリジェントなエッジを適宜用途に合わせて組み合わせ、ビジネスの変化、環境の変化に応じて変更することが必要だ。

これについてWhitman氏は、「アプリケーションの中にはこれまで通りデータセンターにあるものもあれば、パブリッククラウドのようなメリットを持ちつつ管理制御とカスタマイズが可能なプライベートクラウドにあるもの、マネージド環境にあるもの、パブリッククラウドにあるものがある。HPEのソフトウェア定義インフラはこのようなマルチクラウドを支援する」と語った。

そして同社は同日、コンポーザブルインフラのHPE Synergyでパブリッククラウド対応を明らかにしている。

エッジでは、店舗、工場などの現場で情報を集めて処理して分析することで、リアルタイムの意思決定を支援する。

「インテリジェンスがキーワードだ。クラウドやデータセンターまで移動することなくエッジでこれらの処理を行うことで、遅延を抑え、価値をすぐに得られる。HPEはIoTにおけるITになる」とWhitman氏。

これに加えて、同社はさまざまなツールの提供と、コンテナのDocker、パブリッククラウドのMicrosoft Azure、クラウドネットワーキングのAristaなどとの提携も進めている。そして、ベンチャー投資・支援プログラムのHPE Pathfinderも展開、データセンターOSを提供するMesosphereなどに投資をしている。

Whitman氏は「(IoTにより)全ての人、全てのモノが接続される。これまでとは全く違う世界になる。全てがコンピュートする時代だ」と予想し、「シリコンバレーの最新技術をキュレーションしてエンタープライズに届ける」と説明。そして、これらすべてを通じて、ハイブリッドITによるシンプル化を実現していくとした。

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