「常に夫の付属品のように感じた」キャリア絶頂期で専業主婦に…シンガポールに移住した鈴木ちなみ(33)が語る、“駐在妻の孤独”から続く
2022年6月、生後9ヶ月の赤ちゃんと共にシンガポールに移住したモデル・タレントの鈴木ちなみさん。キャリア絶頂期での出産、そして海外移住で感じた日本の子育ての不思議など、激動の日々の裏側を聞きました。(全2回の2回目/最初から読む)
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鈴木ちなみさん
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「夫にはいつも怒っています(笑)」
――去年の6月からシンガポールに移住されて、海外での子育ての様子をYouTubeで発信されています。赤ちゃんと飛行機で帰省した際の動画では、徹夜明けの姿を披露されていました。
鈴木ちなみさん(以降、鈴木) すっぴんだし、ヤバいですよね。でも、お母さんってみんな大変ですよね……。
――子育てYouTuberでもメイクや髪型がバッチリな人を見ると「自分はなんてダメなんだ……」と思いがちだったので、鈴木さんのお姿を見て親近感と安心感を持ちました。
鈴木 私もお母さんYouTuberの方の動画を見るのでわかります。お子さんのケアも自分のケアもできるなんてすごいですよね。私も本当はキレイに動画に収まりたいんですけど、Vlogを撮るのが自分の気分転換にもなっているので、そこはせめぎ合いで、結果、自分のことはできないまますっぴんで出ている感じです(笑)。
――今日のこの取材中、お子さんはどうしていらっしゃるのでしょうか。
鈴木 普段は保育園に通っていますが、今日はシンガポールの祝日でお休みなので、夫がみています。でも、かなり前から「今日は取材が入るから子守お願いね」と言っておいたのに、取材の15分前まで自分のミーティングが入っていたのでハラハラしました(笑)。彼はマイペースなんです。断乳のときもそうでした。
――断乳のときというのは?
鈴木 「この日に断乳するから夜は空けておいてね」と数日前から伝えておいたのですが、当日になって「今夜は会食で遅くなるね」と言われて。困ってしまいますよね。
――鈴木さんは怒らないんですか?
鈴木 怒ります。いつも怒ってます(笑)。この前も、「シンガポールの祝日は日本の祝日じゃないから」と言って働いて、私が子どもを1人で見ることになったので、プリプリしていました。私があまりにも言うから子どもを早めに保育園に入れてくれた、というのはあると思います。そうやって意見を尊重してくれるのは有り難いですね。
日本とは違うシンガポールの保育園事情
――日本とシンガポールの保育園、大きな違いはありますか?
鈴木 朝7時から夜7時まで預けられて、朝ごはんも保育園で食べさせてくれるシステムがあるのですごいな、と思いますね。あと、日本だとおむつの1枚1枚まで名前を書かないといけない園は少なくないようですが、シンガポールの保育園では持ち物に名前の記入はいりません。保育士の配置が子ども3人につき先生1人と決まっていて持ち物の管理も徹底されているので、紛失や他の子の持ち物が紛れ込んでいた、みたいなことも一度もありません。
――シンガポールでは中国語と英語が使われていますよね。保育園ではどちらの言語を使うのでしょうか?
鈴木 保育園では英語と中国語で子どもに話しかけているようです。先生にオーダーができるので、うちの子には英語で話しかけてね、とお願いしています。
――では1歳のお子さんは日中、基本的に英語に触れているわけですね。
鈴木 それもあって今、子どもは英語の方が出るようになっているので、逆に日本語をどう教えようかと悩んでいます。学校で英語に触れているお子さんは、両親が日本人でも第一言語が英語になるというケースも聞いたことがあります。
ただ、全般的に働くお母さんをサポートする環境が整っているなと感じるので、子育てはすごくしやすいです。
――前回、ナニー(乳幼児教育の専門家として家庭訪問型の保育サービスを提供する人)をお願いしている家庭が多いというお話もありましたが、社会全体で子育てする雰囲気があるといいますか。
鈴木 日本にいると、バスとか電車でベビーカーを引いてると周りの目が気になって、「すいません」のスタンスを取ってしまうことってあると思うんですが、シンガポールでは子連れで公共交通機関に乗っていても周りの目が暖かいですし、いい意味で“人目”が気にならなくなりました。移民の国なので、まず人と違うことが普通なんですよね。
宗教や文化の違いもあって、「人と違うことが当たり前」という共通のコンセンサスがあるので、「あの人はあの人、自分は自分」と考えられるんです。
――身近な方も、いろんなバックグラウンドを持つ方が多いですか。
鈴木 たとえば建設現場で働く方やナニーさんの多くはインドネシアやフィリピンといった外国から出稼ぎに来ている方が多いです。お友だちは“産褥ナニー”をお願いして、産後1ヶ月間住み込みで掃除や料理といった身の回りのお世話をしてもらっていました。
「代わりにミルクをあげておくから、お母さんは寝てね」みたいなお母さんにゆっくり過ごしてもらえるサービスで、1ヶ月10万円ほどと聞きました。日本に比べるとかなり頼みやすい金額ですよね。
世界一物価が高い国、鮭の切り身の値段は…
――一方で、シンガポールは世界一物価が高いと聞きますが。
鈴木 東京もいろんなところでマンションとか都市開発をしていると思うんですけど、シンガポールは感覚的にその倍くらいあちこちで工事が行われていて、バブルを肌で感じます。年末年始に日本に帰った時はスーパーの安さに驚きました。
――例えばどんなアイテムの値段に驚きましたか。
鈴木 日本のスーパーで鮭の切り身を買ったら500円くらいだったんですけど、シンガポールだと10ドル(およそ1000円)近くします。
――日本の2倍ですね。じゃあ帰省の際には日本で食材を買い占めたり?
鈴木 お蕎麦とそうめんをどっさり買いました。シンガポールだと倍の値段するので、乾麺だけはなんとしても手に入れるぞ、と(笑)。手軽に和を感じられる食材なので助かるんです。毎日暑いですしね。
あとは教育費、医療費も高いです。子どもが熱を出して病院を受診したら2万円かかりました。医療保険に入っているので後から申請したら返ってくるんですけど、それでもやっぱり風邪もひけないな、という感じです。ただ、駐在で来ていらっしゃる方は会社が全額負担する場合もあると聞いています。
――駐在といえば、「駐在妻」みたいな言葉がありますけど、セレブが集まるキラキラしたコミュニティは存在するのでしょうか?
鈴木 駐在妻コミュニティはあるみたいですけど、キラキラするのが好きな人もいれば、静かに暮らすのが好きな人もいるという感じで、人それぞれですね。
――鈴木さんのような有名人だと、コミュニティへの勧誘があるのでは?
鈴木 ないですないです(笑)。「あの人いるね」みたいな感じで、いい距離を保ってくださる、節度のある方ばかりですね。
――では今後、改めてシンガポールでやりたいことは?
鈴木 移住してから今までは、日々をこなすのにいっぱいいっぱいで、シンガポールという環境を心の底から楽しめていなかったので、今後はもっと謳歌したいなと思っています。
シンガポール国内でいろいろ行きたいところは調べてあるし、Googleマップで気になったところはチェックしているので、ピンはすでにいっぱい立っているんですよ。人種や文化の違いを持った人たちが過ごすダイバシティが広がっている場所で、たくさんの人と交流していきたいです。
(小泉 なつみ)
小泉 なつみ