「辺野古」めぐり一騎打ちへ 賛否言わぬ現職、新顔陣営は反対訴え

「辺野古」めぐり一騎打ちへ 賛否言わぬ現職、新顔陣営は反対訴え

  • 朝日新聞デジタル
  • 更新日:2021/11/25
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"名護市長選や辺野古移設を巡る経緯"

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事が進む辺野古を抱える名護市の市長選まで2カ月を切った。移設への賛否を語らず自公政権の支援を受ける現職と、反対する「オール沖縄」勢力が推す新顔による一騎打ちとなりそうだ。今後の移設工事や、来秋の知事選の行方を占う選挙として注目が集まる。

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21日夜、オール沖縄側の新顔で立候補を予定している岸本洋平・名護市議の事務所に、稲嶺進・前市長ら陣営幹部が集まった。

陣営内には10月末の衆院選のショックが残る。名護市を含む沖縄3区で、移設反対を掲げた立憲前職が自民新顔に敗れ、比例復活もならなかった。

陣営内では「移設反対をより明確に打ち出すべきだった」という声が大きいが、「コロナ禍で経済や生活への関心が高まるなか『辺野古』ばかりで勝てるのか」と慎重な意見も根強い。来年1月23日投開票の市長選でどう訴えるか、方針はまとまっていない。

政策チラシの目立つ場所には、学校給食費や保育料の無償化など現職の渡具知武豊(とぐちたけとよ)市長が取り組んでいるものを掲げる。陣営幹部の一人は、移設計画は重要争点とした上で「反対だけ強調しても空回りする。いかに具体的な訴えができるかが鍵だ」と話す。

一方、再選をめざす渡具知氏。移設を進める安倍政権の支援を受けて2018年に反対派の稲嶺氏を破った。当時も今も移設への賛否は明言せず、「国と県の裁判を見守る」として黙認している状態だ。

稲嶺氏が10年に市長に就任後、政府は移設への協力を前提に市町村に払う米軍再編交付金を停止。防衛省の試算ではその後の8年間で交付されなかった額は約135億円にのぼるという。代わりに15~17年度、市の頭越しに、辺野古など3地区の自治会組織に補助金計約2億2200万円を直接払う異例の手法をとった。地区には倉庫や集会所が建った。

18年に渡具知氏が就任すると政権は再編交付金を再開し、計約60億円を支払った。渡具知氏はこれを財源とした学校給食費や保育料の無償化を実績に掲げて今回の選挙戦に臨む。

公明党県本部は今回も渡具知氏を推薦し、全面支援する見通し。移設を推進する公明党本部に対し、県本部は反対の立場だが、前回の市長選で「辺野古」に触れない政策協定を渡具知氏と結んで支援した。

8月末現在、埋め立て予定地への土砂投入量は計画の7・8%。ただ、海底で軟弱地盤が見つかり、国が県に申請した地盤改良のための設計変更が承認されなければ工事は進まない。それでも渡具知氏の陣営幹部は「工事はもう進んでおり、市民の関心は辺野古から暮らしに移っている」とみる。

■知事選見すえ「命運占う大勝負」

1996年に日米両政府が普天間返還に合意して以降、名護市長選は移設問題を争点に6回行われた。岸本氏の父、故・建男氏ら条件付きを含む移設容認派の候補が3勝した後、2010年と14年には移設反対の稲嶺氏が当選し、18年は渡具知氏が稲嶺氏を破った。

移設計画をめぐっては、14年の知事選で反対を訴えた故・翁長雄志(おながたけし)氏が初当選。その後も、国政選挙や知事選でオール沖縄の候補の当選が続いた。

翁長氏の後継として18年に初当選した玉城デニー知事は今回、岸本氏を全面支援する。ただ、足元では20年の県議選で自民が議席を増やし、翁長氏のころからオール沖縄を支えた経済人が離れた。来秋の知事選を前に、玉城氏周辺は「名護市長選で今の流れを止めたい。オール沖縄の命運を占う大きな勝負だ」。

移設を強硬に進めた安倍・菅政権に続き、岸田政権も移設を進める方針だ。渡具知氏の陣営は、菅義偉氏主導で早期完成させた国道「名護東道路」のような地域振興策が維持されるか気をもむ。菅氏は今月、自民党の沖縄振興調査会の特別顧問に就いており、「引き続き配慮してくれるはず。そうでないと、今後の市長選に影響する」。一方、政府関係者の一人は「菅政権が異常に熱心だっただけで新政権の熱量は高くない。これまでほどの特別扱いはないはず」とみる。(寺本大蔵、福井万穂)

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