外資系企業で働いても「メンタルを潰されない人」の3つの特徴

外資系企業で働いても「メンタルを潰されない人」の3つの特徴

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2018/02/14
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昨日公開の<産業医が明かす「外資系企業で働く人のメンタル事情」ホントのところ>で、外資系企業のタフでハードな職場環境について解説いただいたた、産業医の武神健之氏。武神氏が年間1000人以上の従業員との面談をする中で見えてきた、そのような環境で「人が潰れる理由」、「それでも元気に働ける人」の特徴を、事例を交えて語る。

外資系に特有の「人が潰れる理由」

前回の記事で、外資系企業だからといって、メンタルヘルス不調者が特別多いわけではないと述べました。9割以上はそのタフでハードな環境に適応して、パワフルに働いています。

一方で、外資系企業特有の事情で心身ともに疲弊し、潰れてしまう従業員も、しばしば見かけます。

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私は、彼、彼女らが潰れてしまった理由が、大きく3つに分けられることに気づきました。以下に、外資系企業で「人が潰れる理由」を整理しましたので、1つずつ見ていきましょう。

理由(1)初めて挫折を経験した

まず、新入社員に特有の「潰れる理由」が存在します。

有名外資系企業に入社する人は、それまで大きな失敗を経験していないことがほとんどです。幼少時からの受験戦争に勝ち残り、同学年の優秀な友人たちと暗黙の中で比べられ、"就職"という競争にも勝って入社してきた彼彼女たちには、いわば挫折の経験がありません。

しかし、とても優秀で、挫折で傷ついた経験がないのが、時に裏目に出ることもあります。

入社すると、同期はそのような優秀な人ばかりです。また、職場では30学年以上も先輩の社員達がいます。皆、自分たちよりも仕事を知っています。もう、自分が一番、という環境ではないのです。

そのような中、自分が劣っていることにショックを受ける者、その事実を認めたくない/受け入れられない者、そのような場には足が向かなくなる者、様々います。

このような反応は、落ち込み(抑うつ)、逆ギレ、引きこもり(遅刻の常習や出社拒否)という形で現れます。

この時、外資系ならではの採用方式が、問題を解決しにくくしてしまうこともあります。

外資系企業の多くは、"職種別=部署ごと"の採用です。新卒者の採用は、同じ会社でも、法務部と営業部では独立しています。日本のように4月に一括採用し、全員で研修を行い最後に配属部署が決まるとか、営業をして数年後に人事になるといった社内での横の移動はありません。ほとんどの場合、入社時から職種が決まっているのです。

仮に、為替部に入った新入社員が、優秀な先輩と自分を比べすぎて潰れても、法務部や営業部にすぐに異動とはなりません。異動を希望する部署にとっては、その部署に適した人間か、求められる能力が十分にあるのかを新たに判定します。

残酷ですが、前の部署でうまくいかなかった前例のある人をとるより、翌年度の新卒者から適任者を選ぶほうが会社にはメリットがあるのです。

理由(2)企業文化に合わなかった

また、外資系企業は転職が盛んです。ですから、中途採用も多くあります。

中途採用でも、うまくいかない人が出てきます。能力に見合った転職をできなかったケースは産業医としてもお手上げですが、時に、能力があっても転職先の企業文化にフィットできない残念な人たちもいます。

前回の記事でも述べましたが、外資系企業でやっていくには、強いプロ意識が必要で、そのためには確固たる自分への自信も不可欠です。ただ、自信がありすぎるが故に、転職先の慣習やルーチンを最初からバカにしてしまい、上手に新しい企業の文化を受け入れたり、文化に"適応"することができないケースが多々あります。

30代女性のAさんは、業界最大手から中規模の同業社に転職しました。ストレスがたまるとのことで入社2ヶ月頃に産業医面談に来られたのですが、「この会社の使っているシステムは古すぎる。働く人はやる気がない、仕事が終わってなくても帰る。みんな効率が悪くてバカ……」など、攻撃的な発言が多かったのを記憶しています。

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結局、この会社ではAさんはその能力を評価されることはなく(むしろ協調性に欠けるという評価でした)、試用期間での退職となりました。

また、40代男性のBさんは、前職の邦人企業では営業トップの売り上げを数年叩き出している体育会系上司でした。しかし、転職先の外資系では部下の指導の仕方が威圧的で言葉も汚いと、パワハラとして注意を受けること多数となってしまいました。

「生ぬるい部下指導では売り上げは上がらない」が信条のBさんは、会社の方針とご自身の長年の指導法の間に悩みメンルヘルス不調になり、最終的には当初見込まれた結果を出せず、退職となりました。

理由(3)クビになるプレッシャーが強すぎた

外資系ならではの「潰れる理由」の3つめは、いつでもクビになるかもしれないというプレッシャーの強さです。

外資系企業では、ある日の午後、隣の席の人がいなくなり、翌日に彼彼女は退職したと聞かされることも普通にあります。

しかし、そのことに喜怒哀楽するよりも先に、その人の分の業務も自分達に回って来ますので、それをこなすことで精一杯。人員の補充がなければ疲労がたまります。そして、2−3ヶ月遅れで、疲労から心身の健康障害をきたしてしまう。

リストラから逃れたら逃れたで、次は自分かもしれないという脅迫概念じみた恐怖にとらわれ、疲労を無視した労働に自分を掻き立ててしまうケースもありました。

疲労がたまり業務効率が落ちても、恐怖と不安で休むことができず、むしろ同僚の仕事をするために残業が増え、睡眠不足に陥り、さらに効率が落ちる……。

外資系では、こんな負のスパイラルが回転するのにさほど時間がかからないのです。

「それでも元気に働ける人」の特徴

以上の3つの理由を見てくると、改めて外資系企業とはタフでハードな職場だと思います。

私は産業医として10年近く働く中で、不調者に注目するだけではなく、タフでハードな環境でも不安やストレスで悩まず元気に前向きに働き続ける人たちにはどのような特性があるのか、何が共通しているのかを観察していました。

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すると、彼彼女らは、後述するような習慣や心構えを持ち、このハードな環境に適応していることがわかりました。

もともとそのような習慣や心構えの人もいたでしょうが、入社後に自ら学んだり気づいたり、時に傷つくことでそれを身につけてきた人たちもいます。

ここでは、外資系企業のタフでハードな環境においても、不安やストレスで悩まず、潰れることなく元気に働き続ける人たちに共通する特徴を3つ紹介しましょう。

これらは、どのような職場で働く人にも、参考になるはずです。

特徴(1)「辞めれば、治る」と知っている

外資系のタフでハードな職場環境でも、元気に働ける人たちの1つめの特徴。それは、単純に思われるかもしれませんが、自分の不調は、「辞めれば、治る」と知っていること。いざとなれば辞めることができる人は、潰れないのです。

外資系企業で働く多くの人は、外資系であるがゆえに給料は高いが、その代わり雇用の継続は保証されていないことを受け入れて入社します。しかし、いざ自分が辛い状況になった時に、自ら会社を辞めることができるとは限らないようです。

しばらく食いつなげる貯金がある人、配偶者に頼ることができる人、すぐに転職先が見つかる人などは、時期を遅くならずに退職し、元気に復活します。同業他社に転職し元気になっている人を私はたくさん見てきました。

一方、高給取りになってから生活水準を上げてしまった人、住宅ローン等の支払いが大きい人、会社の名刺を失うことにプライドが邪魔をする人たちは、辞められない理由を先に考え、負のスパイラルを転げ落ちるケースが少なくはありません。

以前面談した30代の男性は、産業医面談でかなり会社への不平不満を言っていたので、転職の可能性を聞いたら、生活の維持のためには給料は落とせないの一点張りでした。

彼の住所から推測すると、駐車場代だけでも、普通の働く人の家賃ほどかかる地域。案の定、最終的にはメンタル不調になり、休職、復職後も成績振るわず退職となりました。

辞めれば治る。だからこそ、いつでも辞められる自分でいておく。長期の雇用を保証していない外資系だからこそ、常に意識し、備えておきたいものです。

特徴(2)自分なりの「働く意味・意義」がある

外資系のハードな職場環境でも元気に働ける人の2つめの特徴は、彼彼女らは、「自分の働く意味・意義」を知っている、考えているということです。

高給取りだが仕事はハード、雇用の保証もない外資系に入社するにあたり、ほとんどの人は、数年間集中して働きたくさん学ぶ、キャリアアップ、留学前の資金作りなど、ある種の決意を持って入社してきます。

しかし、タフでハードな環境に耐える決意を持って身を粉にして1-2年働く中で、多くの人はその決意を忘れてしまうのです。

また、入社して数年経てば、自分の状況も変わります。婚活や妊活を意識する年齢になっていたり、自身の目標の変更や、親の介護が生じていることもあります。そのような中で、外資系のハードな仕事を続けるのは簡単なことではありません。

「どうして自分は働くのか?」「なぜ、この会社で(ここまでして)働くのか?」

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この"どうして""なぜ"への問いの答えが、「お金のため」だけの人は潰れます。答えに唯一の正解はありませんが、自分なりの働く意味、意義を持てている人は、多少のストレスにも耐えられるようです。

仕事で強いストレスがかかった時、それをどのように捉えるかは人それぞれです。

外資系に入社したこと、そのような選択をしたのは自分であること、そこで働き続けているのは自分の選択であること。そう考えられる人は、ハードな環境でも、強いストレスにも主体的に立ち向かえ潰れにくい特性を持っています。

反対に、ストレスの原因を他人のせいにする人は、特に外資系では厳しい傾向があるようです。

特徴(3)忙しい時の「マイルール」を決めている

外資系のタフでハードな職場環境でも、不安やストレスで悩まず、元気に働ける。そんな人たちの3つめの特徴は、忙しい時ほど守るべき「マイルール」や「ルーチン」を決めているということです。

彼彼女らの多くは、自分の体力の限界や、パフォーマンスが上がらなくなる限界を自分で知っています。例えば、睡眠時間3時間の日が3日続いたら必ず次の日は6時間は寝る(ように帰る)とか、忙しくなればなるほどジムには必ず行くというマイルールを作っている人は、ハードな環境でも長続きするようです。

これは、自分の状況を常に客観的に把握できていることに加え、辛い時に自分はどのような気分転換や習慣を行えば気分や気力が復活するのかを、わかっているということだと思います。

そのための1つの習慣として、私は35歳以上の人には「体力づくり」を仕事のうちに入れておくことをアドバイスしています。

20代の時は、体力の低下が仕事の判断力や効率の低下に直結することは少ないですが、年とともに体力の衰えは仕事に影響します。

40代も元気にハードワークするためには、仕事に必要な資格や知識と同じレベルで、「体力づくり」も大切だと考えます。実際、外資系のハードな環境で元気に続けている中高年には、何かしらの運動を継続している人が多いのです。

*     *     *

外資系企業の現状をお伝えすると、リーマンショック前は年俸が高かった業界でも、現在はそこまで高額の給与は出せず、40歳でアーリーリタイヤを迎えられるほどの資産を稼ぎ出すことはかなり難しくなってきました。

それにともない、ある時期まではハードに働いて知識や経験を詰め込み、一定の年齢からは邦人企業やもう少し楽な会社に転職。残りの職業人生はグライダーのように滑空飛行、持続可能(サステイナブル)なキャリアを考えているケースも増えてきました。

そのようなキャリアを築くには、やはり健康な心身が不可欠です。タフでハードな環境でも元気に働く人達の特徴に学び、不安やストレスに潰されない日々をお過ごしください。

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筆者・武神氏が産業医経験からまとめた、部下とのコミュニケーションの教科書

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