SixTONESやØMIなど手がける音楽クリエイターJoe Ogawa×Toru Ishikawa 異色のルーツが生み出す制作スタンスとシーンへの目線

SixTONESやØMIなど手がける音楽クリエイターJoe Ogawa×Toru Ishikawa 異色のルーツが生み出す制作スタンスとシーンへの目線

  • Real Sound
  • 更新日:2022/01/19
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「FIRE」(三代目 J SOUL BROTHERS form EXILE TRIBE)をはじめ、w-inds.、iScreamなどの楽曲を手がけているJoe Ogawa、そして、「Nobody Knows」(ØMI)、「Lonely」(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、「NANANA」(King & Prince)などの楽曲制作で知られるToru Ishikawa。最新のヒップホップ、R&B、エレクトロなどを取り入れた作風によって注目を集めている、気鋭のクリエイターだ。

「S.I.X」(SixTONES)、「UNDER THE MOONLIGHT」(ØMI)で共作している両者に、音楽的なルーツ、クリエイターとして活動をはじめた経緯、制作時に意識していることなどについて聞いた。(森朋之)

曲作りにおいて中心は自分のテイスト

ーーまずはお二人の音楽ルーツとこれまでのキャリアを教えてもらえますか?

Joe Ogawa:中学のときにDEFTONESなどのヘヴィメタルにハマったのが最初ですね。ギターを弾き始めて、すぐに曲を作るようになって。理論などはまったくわからなかったんですが、とにかく作るのがおもしろかったんです。高校のときにバンドを組んで、20歳すぎまで都内で精力的に活動して。当時はボーカルと作曲をやってました。一時期、MY FIRST STORYのSho(Gt、無期限活動休止中)ともバンドを組んでたんですけど、結局上手くいかず。その後、ロンドンに行って、クラブミュージックに触れて。2000年代後半くらいなんですが、オールド・ストリートのクラブをまわって、「これはめちゃくちゃカッコいいな」と思い、DJとトラックメイクをはじめたんです。帰国した時期にSkrillexなどのダブステップが流行り始めて、DJ・プロデューサーとして活動し始めたという流れですね。

ーーちょうどEDMの全盛期ですね。

Joe Ogawa:そうですね。EDMのピークはたぶん2016年前後なので。自分もDJとしてもいろんな国を回らせてもらったんですが、じつは飛行機が苦手で(笑)。あまりにも嫌すぎて、楽曲提供にシフトしたところもあるんですよ。

ーーToruさんの音楽の入り口は?

Toru Ishikawa:高校まで台湾、中国に住んでいて、日本の民放テレビは映らないのでまったく観てなかったんです。まだYouTubeもなかったので、MTVばっかり観ていて。ちょうどBackstreet Boys、’N SYNC、ブリトニー・スピアーズの全盛期でしたね。その後、ヒップホップやR&Bを知って。あと、父がスピーカーの製造会社を経営していてその関係で自宅に高価なスピーカーやサウンドシステムがあったのでよくCDを買って聞いていました。その頃に自分も音楽をやりたいと思うようになりました。

ーーその頃はクリエイターではなく、アーティスト志向だった?

Toru Ishikawa:はい。当時は自分が表に出てやりたいという思いが大きかったので。高校で日本に帰って、意気投合した友人達とヒップホップグループを組んで音楽活動を始めました。それが2000年代前半ですね。その後、韓国の事務所の日本支部に入って、今でいう練習生みたいな感じでダンス、ラップ、楽曲制作などをやったんですけど、そのときに曲作りっておもしろいなと思って。クリエイターを目指し始めたのはそこからです。

ーーなるほど。制作に関して、こだわっている部分は?

Joe Ogawa:基本的に頭を浮かんだものを形にしてるだけなんですよ。リファレンス楽曲を提示されたときも、1回聴いてテイストや質感だけを確かめたら、その後は聴かないようにしていて。そうしないとコピーになってしまうし、自分の個性やバックグラウンドを出せなくなってしまうので。

Toru Ishikawa:今はトラックメイクもしていますが、楽曲の制作を始めた頃は、トップラインと歌詞を作ることが主だったんです。Joeさんもそうですけど、身近に優秀なトラックメイク出来るソングライターがいたし、トップラインと作詞を頼まれることが多かったので。

Joe Ogawa:彼にしか作れないトップラインがあるので、替えがきかないんですよ。

Toru Ishikawa:ありがとうございます。

Joe Ogawa:独特なんですよね、Toruくんのフロウは。洋楽的なカッコ良さを抽出してトップラインに乗せることに長けているし、日本語であっても、海外的な譜割りを自然に作れるんです。

ーー幼少期にJ-POPを聴いてなかったことも影響してるのかも。

Toru Ishikawa: 海外にいたので環境的にそこまでがっつり聴いてなかったですね。僕が住んでいた台湾ではK-POPが流行るのも日本よりだいぶ早かったんですよ。H.O.T.、神話(シンファ)、1TYMなどが90年代後半にデビューして、台湾でもすごく流行って。ラップ、歌、ダンスが揃っているグループの形がすでにできていたし、すごくカッコいいなと。その影響もあると思います。

ーー日本のアーティストに楽曲を提供するときは、国内のマーケットも意識しますよね?

Joe Ogawa:ある程度は意識しますが、曲作りにおいては自分のバックボーンが7割、求められるものが3割という感覚なんです。バックボーンの成分は毎年変わってるんですけどね。トレンドも取り入れますけど、中心は自分のテイストなのかなと。

Toru Ishikawa:僕は流行ってるものをどんどん取り入れたいタイプなんですよ。ラップのフロウもトップラインもサウンドも、そのときにカッコいいなと思うことをやるというか。たぶん、あまり深く考えてないんでしょうね(笑)。提供するアーティストに合うクオリティが高い楽曲であれば何でもいいんだと思います。

ーーなるほど。初めて世に出た作品は?

Joe Ogawa:w-inds.の楽曲が最初だったと思います。慶太くんからリミックスの依頼を受けたんですが、彼自身がクリエイターだし、「マスタリングを含めて作曲」という共通認識が最初からあったので、すごくやりやすかったですね。

Toru Ishikawa:僕はØMIさんの「UNDER THE MOONLIGHT」です。Joeさんとコライトさせてもらった曲なんですけど、採用になったときはビックリしました。

Joe Ogawa:あまり期待してなかったからね(笑)。その頃は千本ノック的にデモをどんどん作っていて。トラックをToruくんに送ってトップラインを乗せてもらうことも何度があったんですけど、「UNDER THE MOONLIGHT」もそのなかの一つです。LDHのスタッフから「こういう感じの曲ないですか?」と言ってもらって、7曲くらい送って。そのなかにご本人に刺さった曲があって、「ぜひ使わせてください」という流れです。

Toru Ishikawa:ØMIさんが歌うことになって、多少、手直ししました。最初はがっつりラップが入ってたんだけど、そこを歌っぽくして。トラックダウンにはご本人にもいらっしゃって、直接やり取りさせていただきました。

アジアの音楽シーンはこれからさらに大きくなる

ーー「UNDER THE MOONLIGHT」は、2019年に行われた台湾公演(『HIROOMI TOSAKA 台北演唱會 2019 SUPERMOON〜UNDER THE MOONLIGHT〜』)のタイトルにもなりました。

Toru Ishikawa:台湾に住んでいたこともあるので、嬉しかったですね。ツアー告知の動画を観たときに「やべえ!」ってテンション上がりました(笑)。

ーーJoeさん、ToruさんはSixTONESの「S.I.X」でも共作しています。

Joe Ogawa: SixTONESのスタッフサイドから「LIVEでクラップでお客さんと一体化できる曲。LIVEでの煽りのセリフをそのままリリックにしたようなラップ曲」という依頼があって。それを基にトラックの土台を制作し、Toruくんに来てもらったんです。その場でトップラインとリリックを書いてくれました。

Toru Ishikawa:Joeさんのトラック自体、かなりヒップホップ色が強くて。好きなジャンルだったし。

Joe Ogawa:しかも三連符のビートだったから、得意な感じだよね。

ーーかなり攻めたヒップホップチューンですよね。

Joe Ogawa:ジャニーズのファンの方が聴いても楽しめて、ハコ鳴りというか、会場の盛り上がりもイメージして。

Toru Ishikawa:SixTONESのメンバーはラップも上手いですね。特に田中樹さんは自分でラップも作るし、すごくスキルがあるなと思いました。他のメンバーもそうですけど、歌わされてる感が全然なくて、歌を自分たちのモノにしているなと。

Joe Ogawa:ファンのみなさんからも「ありがとうございます」みたいなコメントをたくさんいただいて。自分たちの音楽がアーティストを通して世に出て、いろんな人に影響を与えて。この仕事をやっていて良かったと思う瞬間でしたね。

Toru Ishikawa:リスナーの方に「カッコいい曲」と言ってもらえるだけで本当に嬉しいので。個人的にもジャニーズのアーティストの曲をやりたいと思ってたんですよ。近年のジャニーズのアーティストはキラキラしたJ-POPだけではなくて、洋楽的なテイストに振り切った曲もあるので、「自分にもチャンスがあるんじゃないか」と思ってたんですよ、じつは。特にKing & Princeの「Magic Touch」はカッコ良くて、MVを観たときに「ついにここまできたか!」と。メルビン・ティムティムの振り付けもすごくいいいなと。

SixTONES “1ST” digeST movie  [S.I.X.は3:11~]

ーー実際Toruさんは、King & Princeに「NANANA」を提供していて。あの曲もゴリゴリのヒップホップですよね。

Toru Ishikawa:そうなんです。コンペだったんですけど、先方が求めている楽曲がまさにそういうテイストで。しっかり狙って作れたし、採用されたときは「よっしゃ!」という感じでした(笑)。

ーーアーティストの求めているものをしっかり汲み取って作った楽曲なんですね。Joeさんもやはり、シーンやアーティストの動向をチェックしてるんですか?

Joe Ogawa:チェックしつつ、それに沿わないような曲を作ることが多いですね。ヒネくれてるのかもしれないけど(笑)、「このアーティストがこういう曲をやったらカッコいいんじゃないか」と提案させてもらう感覚もあるんですよ。そこで上手くいけば両方にとっていい結果になるし、違ったとしても「合わなかった」というだけなので。

ーーJoeさんが参加した三代目 J SOUL BROTHERSの「FIRE」の場合はどうだったんですか?

Joe Ogawa:もともとはSTYさんが制作していたんですけど、「トラック作ってみない?」と連絡をいただいて。LDHさんのアーティストと仕事をするのはそのときが初めてだったんですけど、時期的にいろんなジャンルが入り乱れていて、何が新しくて、何が古いのかわからない状況だったので、テイストをどう絞るかを考えていましたね。本人たちの歌とダンスをシンプルに際立たせたかったし、やっぱりライブも思い描いてました。振り付けもメンバーがやっているし、ダンスが付けやすい、ライブの流れのなかでイメージしやすい曲がいいのかなと。

ーーToruさんもLDHのアーティストに楽曲を提供していて。「Lonely」(GENERATIONS from EXILE TRIBE)はメロウなミディアムチューン。白濱亜嵐さん、SLAY HIROKIさんとの共作ですね。

Toru Ishikawa:はい。SLAY HIROKIはLDHの作家なんですが、古くからの友人で。白濱さんと制作するときに、僕に声をかけてくれたんです。白濱さんはトラックの作り方も上手くて、いい流れのなかで作れましたね。

GENERATIONS from EXILE TRIBE / Lonely (Lyric Video)

ーーさきほど名前が挙がったw-inds.の慶太さんもそうですが、クリエイターとしての資質を備えたアーティストも増えてますね。

Joe Ogawa:そうですね。慶太さんはほんとうにすごくて、やりたいことが明確だし、デモ音源に対するリアクションも具体的なんですよ。「これはOK、これはできない」というラインもハッキリしているので、こちらとしても「じゃあ、こうしよう」と対応しやすくて。

Toru Ishikawa:ØMIさんもSUNNY BOYさんやUTAさんと一緒に作業してますよね。

ーーToruさんもØMIさんに「Nobody Knows」を提供してますね。

Toru Ishikawa:「UNDER THE MOONLIGHT」のあとですね。「Nobody Knows」はコンペだったんですけど、ØMIさんが歌うところをイメージして、しっかりフォーカスを絞って作れたのかなと。採用されたときはすごく嬉しかったです。

ーーそしてJoeさんは、iScreamの「Scream Out」など、女性アーティストの楽曲も手掛けています。

Joe Ogawa:自分のなかでは男性アーティスト、女性アーティストの壁はないし、ジャンルにもこだわってないんですよね。ダンスミュージックがメインですけど、ピアノ1本で歌えるバラードなども作っているので。

ーーお二人は海外のクリエイターとのセッションも経験してますよね。

Toru Ishikawa:2019年くらいまではかなりやってました。ただ、コロナ禍になってからはオンラインでやるようになって。

Joe Ogawa:海外のクリエイターとのセッションに関しては、実際に会ったほうがいいんですよ。オンラインだとノリでやれないというか。

Toru Ishikawa:めっちゃわかります。時差もあるし、オンラインはやりづらいですね。

Joe Ogawa:初対面だと特にそうだよね。もちろん海外のクリエイターとのセッションは今後もやっていきたし、海外アーティストへの楽曲提供にもトライしたいと思ってます。

Toru Ishikawa:僕は中国、台湾などのアジア圏を狙いたいですね。中国に関して言えば、ヒップホップのレベルがかなり上がっていて。ヒップホップ系のオーディション番組で発掘されたラッパーが、あっという間に億万長者になったり(笑)。

Joe Ogawa:ヤバイね。

Toru Ishikawa:経済的に豊かな人が増えて、子どもたちを海外に出すことが増えて。海外で音楽に触れた世代が、中国でアーティスト活動をはじめるケースが増えてるみたいなんですよね。88rising所属のHigher Brothersがアメリカでバズったことも大きかったんじゃないかな。アジアの音楽シーンはこれからさらに大きくなるでしょうし、我々にもチャンスはあると思ってますね。

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■Joe Ogawa
Joe Ogawa SMP オフィシャルサイト
https://smpj.jp/songwriters/joeogawa/

Joe Ogawa Instagram
https://www.instagram.com/joeogawa_music/

■Toru Ishikawa
Toru Ishikawa SMP オフィシャルサイト
https://smpj.jp/songwriters/toruishikawa/

Toru Ishikawa Instagram
https://www.instagram.com/toru.ishikawa_/

森朋之

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