アメリカは賞賛 大坂選手やセレブのBLM問題提起

アメリカは賞賛 大坂選手やセレブのBLM問題提起

  • 日刊スポーツ
  • 更新日:2020/09/15
No image

全米オープン決勝にタミル・ライスくんの名前入りマスクを着用して入場する大坂なおみ(AP)

大坂なおみ選手がテニスの4大大会の一つ「全米オープン」で黒人への人種差別に抗議するため、警察官らによる暴力の犠牲になった被害者の名前を記した7枚のマスクを用意し、プレーしながら世の中に問題提起したことは日本では賛否両論あるようですが、ここアメリカでは多くの人が賞賛しています。有言実行で7枚目のマスクを着用して優勝した大坂選手は、優勝後のESPNのインタビューで「どんなメッセージを伝えたかったのか」と問われ、「あなたはどんなメッセージを受け取ったの?」と逆質問。この動画はSNSで拡散され、多くの人がその答えを自らが考える結果へと導きました。

「7枚のマスクでは多くの犠牲者の名前をつづるのに足りないのが残念」と語っていた大坂選手ですが、今回大坂選手が名前を刻んだ7人の犠牲者についてまずは簡単に紹介したいと思います。

1回戦:プレオナ・テイラーさん 今年3月にテキサス州の自宅で恋人と就寝中だった深夜に麻薬事件の捜査で自宅を訪れた警察官によって射殺。恋人が突然の侵入に驚いて自己防衛のために先に発砲したことが原因と言われていますが、警察官がやみくもに発砲した銃弾数発が命中し、後に2人は事件とは無関係だったことが分かっています。

2回戦:エライジャ・マクレーンさん 2019年8月にコロラド州の路上で不審者として警察官に呼び止められた際に違法行為はしていないと訴えたことが抵抗とみなされ、地面に倒されて頸動脈を押さえつけられたことが原因で心肺停止に。

3回戦:アマッド・アーバリーさん 今年2月にジョージア州で近所をジョギング中に口論になった白人の親子によって撃たれて殺害された事件は、容疑者の父親が昨年引退した元警察官だったことから事件後2カ月間も逮捕されず抗議運動に発展。

4回戦:トレボン・マーティンさん 12年に自警団に所属するヒスパニック系白人に当時17歳だった丸腰の高校生が胸を撃たれて死亡。裁判で正当防衛が認められて無罪評決が下り、抗議運動へと発展。

準々決勝:ジョージ・フロイドさん ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動が世界中に広がるきっかけとなった今年5月にテキサス州で起きた白人警察官による殺人事件。「息ができない」と訴える中、8分以上に渡って膝で首を押さえつけられての窒息死でした。

準決勝:フィランド・カスティールさん 16年7月にミネソタ州で運転中にライトがついていないことを理由に停止を命じられた際に、銃を所持していることを告げられた警察官が身の危険を感じて発砲。同乗していた女性は銃は取り出していないと証言し、車内には4歳の子供も乗っていたが、発砲した警察官は裁判で無罪となりました。

決勝戦:タミル・ライスさん 市内の公園で模造銃で遊んでいた12歳の少年が通報で駆けつけた白人警察官によって射殺。現場に到着した直後に発砲する様子を捉えた監視カメラの映像が公開され、BLMの象徴的存在となっています。

スポーツ選手や芸能人が政治的な発言をすることへの批判がありますが、ここハリウッドでは大坂選手同様に自らの知名度や影響力を利用して世間にBLM問題を訴えるセレブはたくさんいます。ブラッド・ピットは6月にハリウッドで行われた約5万人もの人が参加したBLM抗議デモにバイクに乗って参加し、胸に前月に亡くなったフロイドさんの名前がプリントされたパーカーを着用していました。また、同じデモにはジェニファー・ロペスと婚約者の元ニューヨーク・ヤンキースの主砲アレック・ロドリゲスも参加していた他、アリアナ・グランデやマイケル・ジャクソンさんの長女パリス・ジャクソン、ビリー・アイリッシュやカーラ・デルヴィーニュら若者に人気のセレブたちも一般人に混ざってデモ行進で抗議の声をあげています。

また6月には黒人俳優を中心に300人以上がハリウッドのエンターテイメント業界に対し、BLM運動の支援を求める公開書簡を発表。イドリス・エルバや8月末に大腸がんで亡くなったチャドウィック・ボーズマンさん、オスカー女優ヴィオラ・デイヴィスら著名俳優も多く名を連ねていました。抗議運動は「スター・ウォーズ」シリーズのジョン・ボイエガや大坂選手もファンとして知られる「クリード 炎の宿敵」(19年)などで知られるマイケル・B・ジョーダンら黒人俳優のみならず、セレーナ・ゴメスやレディー・ガガがBLM活動家を支援するために自身のインスタグラムのアカウントを提供したり、レオナルド・ディカプリオやアンジェリーナ・ジョリーが人種差別反対運動への寄付を行うなど、多くの白人セレブにも支援されています。

こうしたセレブの声は社会を変える原動力にもなっており、Netflixやウォルト・ディズニーカンパニー、ワーナー・ブラザースなど大手企業がBLM支援を表明。スポーツ界でも多くのアスリートが人種差別をなくして社会正義を実現すること訴えており、米プロフットボールリーグ(NFL)は過去に人種差別抗議を支持しなかったことについて自らの過ちを認めて謝罪。10年間に渡って2憶5000万ドルをアフリカ系アメリカ人の不公正との戦いのために寄付することを発表した他、米プロバスケットボールリーグ(NBA)でも試合前に国家が流れる中選手や監督たちが片膝をついて抗議する場面がありました。大坂選手は批判に対して、「アスリートは政治に関与してはいけないと言われることが嫌。これは人権の問題です」とツイートしたことがありますが、自身のスポットライトを人種差別への抗議として活用した大坂選手のプレーは、犠牲になった人々について周知させ、BLM問題について考えるきっかけを多くの人に与えたことは間違いありません。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加