持続可能な場に!スタイリストの私が「こども食堂」を始めるまで

持続可能な場に!スタイリストの私が「こども食堂」を始めるまで

  • コスモポリタン
  • 更新日:2023/01/26
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ファッション雑誌や広告など、幅広く活躍しているスタイリストの木津明子さん。2人の子どもの母親でもある木津さんは、2021年8月から神奈川県横浜市で「こども食堂レインボー」をはじめました。

そこでは子どもたちに食事を無料で提供するために、“支援チケット”という形をとっていたり、スタッフはボランティアではなく給料制だったり、と持続可能なこども食堂の運営のためのシステムを導入しています。

今回は木津さんに「こども食堂レインボー」を始めたきっかけや、実際に運営して感じたこと、今後の目標などをインタビュー。“ハッピーの連鎖”を大切にしている木津さんが考える、長く続けることの必要性とは――。

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自分にできる“フェア”な場所づくり

――「こども食堂レインボー」を始めた経緯を教えてください。

「こども食堂レインボー」を始めたのは、私が離婚してシングルマザーになったことがきっかけ。区役所に子ども関係の手続きをしに行ったときに、シングルマザーの置かれている厳しい環境や子どもたちの生活を知り、帰り道に「自分に何かできないかな」と考えていたんです。

もともと私は友達を呼んでご飯を作ったり振る舞ったりするのが好きなタイプ。こども食堂自体には行ったことがなかったけれど、存在はなんとなく知っていました。そこから自分にできることを考えたときに、「だったら私がご飯を食べさせるよ」という気持ちから「こども食堂レインボー」を始めることにしました。

見切り発車な部分もありましたが、スタイリストの仕事の現場で「私こども食堂始めるんだよね」と話したり、周りにやり方の相談をしたりして、まずは自分でできる範囲のことだけをやろうと決意。ただ、準備していくうちに思っていたよりも賛同してくれる方が多く集まってくれたこともあり、法人化や給料制度などのシステムなど運営しながら整えていきましたね。

――「こども食堂」を始めるうえで、特に注力した点を教えてください。

意識しているのは、全部がフェアであること。最初は「困っている人に届けたい」という想いで始めましたが、そうしていると間口がどんどん狭くなってしまって初日は全然人が入らなかったんです。

そのときに、ここで必要なのは「何かをしてあげる」というギブ&テイクではないんだと感じました。楽しくてどんな状況の人でも来られる場所を作らないと、広い意味でいろんな人を救えないし、フェアな状態でないと長く続けられない。今はとにかく楽しく明るい食堂を心掛けています。

地域に密着して人々にちゃんと認知されたり、イベント感覚ではなく、「あそこに行けば大丈夫」という場所になれば、子どもを守ることにも繋がると思っています。今は月に二回の開催ですが、知らない子同士が友達になったり、子どもたちから次の開催日を聞かれたりと、地域に根付いてきたような実感もあります。

――子どもたちから学んだことはありましたか?

私の娘やその友達も含めて、スタッフとして関わっている子どもたちがいるのですが、自分と子どもとの関係性が変わりましたね。今までは“母と娘”という関係でしたが、チームメイトとして「これやっておくね」と言ってくれたり、シャイな子だったのにお客さんにどんどん話しかけて「嫌いなものはありますか?」と聞いていたり。そんな姿を見ると、自分の子どもも成長してるなと思います。

娘の親友とも最初は“友達のお母さん”という関係だったけれど、チームとして仲良くなったので、子どもたちとの関係もフェアになれたと思います。みんなとてもしっかりしているので、子どもスタッフがいないときは本当に大変ですね。

人とのつながりを大切に

――スタイリスト業と両立するなかで、どうやってバランスをとっていますか?

そもそも「両立している」と考えていないかもしれません。スタイリストの仕事もこども食堂も両方好きでやっているので、自分のやりたいことを楽しんでいるという感覚です。

一見全く違う内容に思えるけれど、スタイリストの考え方が子ども食堂でも活かされることはあります。たとえば、洋服のコーディネートを考えるように、こども食堂では、いただいた野菜から組み合わせを考えてメニューを決めたり。同じような頭の使い方をしているなと思うときもありますね。

ほかにも、スタイリストの仕事で関わっているフォトグラファーの中川真人さんが来てくれたり、料理家の栗原友さんからお魚をいただいたりと、現場からのつながりでサポートしてくれている方がたくさんいます。こども食堂のスタッフにも、アパレルのプレスやランジェリーデザイナーなど、さまざまな人がいるんですよ。

――“ハッピーの連鎖”を大切にされている木津さんですが、ご自身のポジティブさの源はどんなところにあると思いますか?

楽しいことや面白いことが好きなので、常にそういう状態に自分を向けるようにしているんだと思います。ただ楽しく生きていきたいから、無理はせず、なるべく自分が笑っていられるように過ごしています。

もちろん、もやもやすることもありますが、最終的に自分が笑えるように「嫌なものは嫌」と言うようにしています。我慢しなきゃいけないことがあっても、最終的に自分で自分を一番可愛がってあげないといけない。親になると自分のことが後回しになることが多いですが、自分を大事にできないと相手のことも大事にできないし、子どもには自分を大事にする人になってほしいと思っています。自分にも相手にも正直でありたいですね。

楽しい場を提供し続けるために

――木津さんが考える「こども食堂を長く続けること」の大切さを教えてください。

運営に関するお金の問題などをクリアにして、さまざまな場所にこども食堂が長く根付けば、子どもを守ることにも繋がると思います。全国のどんな人でもこども食堂を始められて、それが仕事として成り立つシステムを作れば、お給料をもらいながら子どもと一緒に働けるし、子どもが犯罪などに巻き込まれることも少なくなるんじゃないかなと。

一般的なこども食堂では、ボランティアの方がいるからこそ成り立っている場合が多いですが、私は長く続けるためにはお金を生み出して、まわすことが大切だと考えています。運営に携わる人の時間を使うものだし、仕事に対してお金を払うのは当然のこと。お金が生まれるとお互いへのリスペクトにもつながると思うので、運営の部分でもフェアな状態を作ることが重要だと思います。

――今後、「こども食堂レインボー」をどんな場にしていきたいですか?

今こども食堂に来てくれている小学生の子たちが二十歳になっても顔を出してくれるような、とにかく楽しい場所を長く続けていきたいです。みんなの成長を見るのがとにかく楽しみですね。

個人の目標としては、こども食堂を誰でも始められる基盤を作りたいです。「私もやってみたい」という相談を受けることもあるので、たとえば企業とタッグを組んで運営するシステムを構築したり、お金をまわしやすくなるような方法を考えたり、本当にやりたい人が続けられるように整えていけたらと思っています。

こども食堂「レインボー」

・日時
月2回土曜日
昼12〜14時 30食、夜17〜19時 30食

・場所
洋光台北団地1街区11号棟ラウンジ
(横浜市磯子区洋光台2丁目1-11 1階)
JR京浜東北・根岸線 洋光台駅から徒歩11分

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