なぜ私たちは勉強しなければいけないのか? 「東大合格請負人」はこう考える

なぜ私たちは勉強しなければいけないのか? 「東大合格請負人」はこう考える

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/05/04
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東大合格請負人・桜木建二が贈る、1冊10分でインプットの超効率ブックガイド『ドラゴン桜 超バカ読書』(徳間書店)が誕生!その中から「学ぶ目的を考えるための3冊」を特別公開!

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およそ10年前のことだ。オレは縁あって偏差値30の龍山高校の再建を託された。

乗り込んですぐに東大受験クラスをつくり、希望してきた生徒をスパルタ式で徹底的に鍛えた。

それで、1年で東大合格者を出した。

学校は軌道に乗り、順調に合格者を増やしていった。オレは安心して学校の現場を離れた。本業は弁護士だからな。そっちの仕事も忙しいんだ。

ところが……。言わんこっちゃない。

ここへきて、龍山高校の東大合格者がゼロになってしまった。

まったく困ったもんだ。それじゃウチの弁護士事務所の評判にもかかわる。オレはもう一度、生徒たちに直接コミットすることにした。

それでさっそく全校集会の場で、生徒と教員に活を入れてやった。

「オレが帰ってきた目的はただ1つ。君たちを東大へ合格させるためだ! ツベコベ言わず、東大へ行けっ!」

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©︎Norifusa Mita/Cork

だが、反応は薄い。いまや中堅校となった龍山高校には、平均的な家庭で育った素直でいい子ばかりが集まっている。

まあそれは織り込み済みだ。オレはかまわず説いてやった。

「グダグダ言ってんじゃない! 考えるな、動け! 行動するヤツだけが勝つんだ!」

大半の者には響かなかったようだが、それでいい。いつの時代も、行動に移そうとする人間は、集団の中でごくわずかしかいないものだ。

案の定、わずかながらだが、新設した東大専門コースの門を叩く者はいた。

早瀬菜緒と、天野晃一郎。

ふたりいれば上々だ。それぞれ「頑張れる人になりたい」「考えずに動いてみたい」というのが、足を運んだ理由だという。

いい動機だ。いや、内側から湧いた動機なら、理由はなんだっていいのだ。

とにもかくにも、自分で動き出す勇気こそ重要なんだ。天野と早瀬のように、思い立ったらすぐ具体的な行動に移せ。

学ぶ目的や目標設定のしかたがわかり、きっと行動につなげられる本を以下に挙げておく。

『動的平衡』福岡伸一 木楽舎

生命の持つ柔らかさ、可変性、そして全体としてのバランスを保つ機能──それを、私は「動的な平衡状態」と呼びたいのである。

私たちの知的な欲求や好奇心はいろんな方面へ伸びていくが、煎じ詰めればこうまとめられるんじゃないか。

「我々はどこから来たのか。何者なのか。どこへ行くのか」

私とは何か、この世界とはどんな存在かということをこそ、知りたいのだ。

これは大きな問いゆえ、そう簡単に答えは見つからない。ここにひとつの「解」を示してくれるのが、生物学者・福岡伸一だ。

彼が本書をはじめとする著書で説くところでは、私たちを含む生命とは、「動的な平衡状態にあるシステムである」。どういうことか。

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生体を構成している分子は、物質として固定されているように見えるが、そうじゃない。絶えず高速で分解され、食物として摂取する分 子と置き換えられていく。

身体のあらゆる組織や細胞の中身は、常に作り替えられ、更新され続けているのだ。

つまり私たちの身体は、いつも変わらずそこにあるものではない。分子的な実体としては、数ヶ月前の自分とまったく別物になっている。

私が私と思っている実体など、じつはどこにもない。あるのは分子の「流れ」だけ。せいぜい一時的に「淀み」ができるくらいは確認できて、それが生命の正体ということ。

こうした生命のありようを最初に提唱したのは、20世紀の生化学者シェーンハイマーだった。彼はこの生命の特異なありようを「動的な平衡」と呼んだ。

福岡はシェーンハイマーのこの生命観を、20世紀最大の科学的発見と位置付ける。

ここでさらなる疑問が湧く。なぜ私たちをはじめとする生命は、みずからの成分を絶えず入れ替え、作り替えるという面倒ごとをしているのか。

それこそが、この宇宙で生命体が「在り続ける」ための生存戦略なのだと、福岡は説明する。

宇宙をかたちづくる大前提には、エントロピー増大の法則というものがある。この宇宙ではすべてが秩序から乱雑さへと不可避的に進む。

時が経てばどんなものも壊れるし、放っておけば何事もとっ散らかっていくのはそのせいだ。

自律的なシステムとして存在しようとする生命は、エントロピー増大の法則に抗う方策として、時を先回りしてみずからを壊し、再構築し、動的平衡を生み出すことにした。

この自転車操業的なあり方が通用するあいだ、生命は維持される。

それでも時を経るごとに、すこしずつ綻びは出てしまう。やがて秩序が保てない時がやってきて、個体は死を迎える。

ただ生命の側も、手は打ってある。ある個体が死を迎えるころには、生命は次の世代へバトンを渡している。世代交代という自転車操業を続けながら、生命は地球上に38億年にわたり連綿と存在してきたのだ。

研究者の日常から語り始めて、いつしか生命観を刷新させられる内容まで行き着く展開はスリリング。かけがえない自分の「生」をどう燃やすべきか、考える糸口として最適な1冊だ。

自分が何者なのか、どんな理屈でこの世に存在できているのか。それを知れば、あなたなりの生きる目的、学ぶ目的がわかるだろう。

『君たちはどう生きるか』吉野源三郎 岩波文庫

人間て、まあ、水の分子みたいなものだねえ。

編集者、児童文学者、ジャーナリストとして昭和初期に活躍した著者による1編は、タイトルの通り「君たちはどう生きるか」という大きな問いを物語の中に含んでいる。

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中学生の本田潤一は、家によく遊びにくる叔父さんから「コペル君」 とのニックネームを授かる。これは地動説を唱えた16世紀の天文学者コペルニクスにちなんだもの。潤一が自分の頭でものを考え、世界の見方を転換させる経験をしたからだ。

それは銀座のデパートメントストアの屋上へ出かけたときのこと。眼下に広がる無数の建物や活動する人々を見て、潤一は気づいた。この世には無数の人が生きていること、自分もそのうちのひとりである こと、どんな人間も水の分子みたいなものだということに。

ここでコペル君は、自我を捨ててものごとを客観視することにみご と成功している。社会科学的な視点を持った、と言ってもいい。

叔父さんはコペル君に、これからも常に自分の体験から出発して、正直に考えてゆくようにと説いた。

コペル君は家庭ごとの貧富の差を目の当たりにしたり、級友を裏切ってしまい落ち込んだりしながらも、ひとつひとつの経験を糧にして「自分はどう生きるか」を模索していく。

漫画化され大ヒットしたことも記憶に新しいが、もとの作品は1937年に発表されたもの。日本が戦争へと突き進んでいた時期だ。そう考えると、この物語の意味合いがよりいっそうくっきりしてくるな。
書名にある「どう生きるか」との問いかけは、時代に抗して生死を賭して、懸命に投げかけられたものなのだ。恵まれた時代に生まれた者として、問いをしっかり受け止め考えてみろ。

『論語』 金谷治(訳注) 岩波文庫

吾れ十有五(じゅうゆうご)にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(みみした)がう。七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず。

前6〜5世紀に生きた中国の思想家・孔子は本名を孔丘という。

彼の言行録が『論語』だ。

道を説く士にして、ときに政治にも携わった孔子は立派な先生だったようだ。後進の信も篤かった。孫弟子や曾孫弟子たちが、手元に残る断片記録を持ち寄って『論語』の原型を編集した。

会話の覚え書きなどからまとめたので、体系立ってはおらず断片的。

しかしそれゆえ解釈の幅があり、時代や立場を超えて胸に刺さる言葉を拾い出せるはずだ。凡百の啓蒙書を手に取るより、『論語』一本に絞って読み込んだほうがずっと効果的だろう。

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名言の宝庫であることも間違いない。たとえば、

「子の曰わく、故きを温めて新しきを知る、以て師と為るべし」(昔のことを研究すれば、今に通ずる新しい発見を得られるはず。そういうことができてこそ先生と呼ばれるにふさわしい)

そう、温故知新のことわざはここからきている。

「子の曰わく、朝に道を聞きては、夕べに死すとも可なり」(朝に真理に気づけば、その日のうちに死んでも思い残すことはない)

と、道理や真理を知ることこそ人生の目的であると説いたり、

「己れの欲せざる所は人に施すこと勿かれ」(自分が嫌なことは人にもしないことだ)

と、処世の態度も示してくれる。

『論語』全編の最後は、次の文章で締めくくられる。

「孔子の曰わく、命めいを知らざれば、以て君子たること無きなり。礼を知らざれば、以て立つこと無きなり。言を知らざれば、以て人を知ること無きなり」

使命を知らなければ立派な人にはなれない、「礼」の何たるかを知らねば自立した人間とはなれない、言葉の深淵を知らないかぎり人間を理解することはできない、と孔子は言ったというのだ。

その人物が死んでなお残るもの、それは言葉だけだ。言葉が何より強いのだ。相手の胸に残る、強い言葉を発するよう意識せよ。
孔子の言葉は格言とともに、弟子の心配をしたり、当時の政治のありようを嘆いてみたり。なかなか人間くさいところもあって、そこがまた語り継がれるべき魅力になっている。「学ぶことは生きること」と見定め、厳しくも愉しく研鑽に励んだ孔子とその弟子たちに対して、憧れの気持ちが湧いてくる。

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