トヨタ・ハイブリッドはソニー・ベータになる? ハイブリッドカーの未来

トヨタ・ハイブリッドはソニー・ベータになる? ハイブリッドカーの未来

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2020/10/18

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

写真は、ヤリスとヤリスクロスの兄弟車。クルマに興味がない人からすれば、同じクルマの色違いに見えるかもしれませんね! どちらもガソリンだけじゃなく、ハイブリッドも選べるトヨタの世界戦略車です。しかし現在、世界の潮流はEV(電気自動車)一直線! トヨタがあまりにも独走してしまった結果、ハイブリッドカーの未来が危ぶまれています。

No image

ヤリス(右)とヤリスクロス(左)

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi

池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

◆世界に誇るトヨタのハイブリッドカーは、ソニー・ベータの二の舞いになるのか?

このところ、日本初の革新技術商品は、出足は派手だが尻すぼみが続いている。液晶は死に体、パソコンは降参、iモードは絶滅。ウォークマンもゲームもスマホに吸収された。涙が出ます。

自動車業界も同様で、ハイブリッド車もEV(電気自動車)も燃料電池車もすべて日本発なのに、EVはテスラに大逆転され、燃料電池車はサッパリ。ハイブリッド車も、一時北米ではかなり売れたが、現在は日本のガラパゴス商品に逆戻り中だ。米欧中ともハイブリッドは「つなぎの技術」と切り捨てて、その先のEV化を目指して全力疾走している。

No image

見た目が、ちょっとウルトラマンのような宇宙人系のヤリスクロスはガソリンモデルが179万8000円~、ハイブリッドモデルが228万4000円~。ガソリンモデルはリッター20.2㎞、ハイブリッドモデルはリッター30.8㎞を達成(いずれもWLTCモード)。2WDも4WDも選べます

多くの日本人はハイブリッド車に大満足し、EV化が世界の潮流なんて言われても実感ゼロだが、なぜ世界の大勢はEVへ向かおうとしているのか?

わかりやすく言えば、ハイブリッドに関しては、世界中見渡してもトヨタに誰もかなわないから……ではないか。追っかけても手も足も出ない。だからルールを変え、「ハイブリッドはエコカーじゃない」ってことにしてしまったのだ!

いや、本気で頑張れば、欧米もトヨタにかなり追いつけたとは思いますよ。実際、ホンダや日産は必死に食らいついて、いいところまで迫った。

◆トヨタは世界の離れ小島に…

でもそれは「日本市場ではハイブリッドがマスト」だったからで、日本市場の重みが耳クソ程度でしかない欧米メーカーにしてみれば、あえてハイブリッドで頑張るよりゲームチェンジしたほうが簡単だった。トヨタはあまりにもリードしたがゆえに、世界の離れ小島になってしまった……。

トヨタも危機感を抱いたのか、昨年4月、ハイブリッドの特許を無償公開したが、いまさらそれを使ってハイブリッド車を開発しようというメーカーはないだろう。トヨタの技術でトヨタもどきを作ったって、トヨタに勝てっこないんだから!

マツダは7年前、プリウスのハイブリッドシステムの供与を受け、アクセラに搭載して発売したが、案に相違してサッパリ売れなかった。足回りなどはプリウスよりアクセラのほうが断然よかったんだけど、やっぱりみんな、ハイブリッドなら本家のプリウスを買うんですね……。そういうもんだよね!

◆進化を続けるトヨタハイブリッドシステムはEVよりエコ!

世界をブッちぎったトヨタハイブリッドシステムは、唯我独尊でさらに進化を続け、ヤリスハイブリッドにいたって、ついにWLTCモード燃費でリッター36㎞にまで到達。フツーに走ってリッター30㎞とか、信じられないような燃費が出る。つまりEVよりエコ! 日本人がEVに見向きもしないのも当然!

ただヤリスは室内が狭く、荷物もあまり載らない。

No image

ヤリスクロスの後席は4:2:4に3分割して倒せるため、スキーやスノーボードなどの長物を社内に積むときは、真ん中だけ倒せばOK。大人4人で道具を積んでウインタースポーツを楽しむことができます。それにしても、今でも荷室にゴルフバッグを横積みできるか否かは重要なんですね~

そこで、もうちょっと広いクルマが欲しいという人のためにトヨタが用意したのが、SUVのヤリスクロスです。こっちなら4WDもあるので雪国でも大丈夫だ。

ヤリスクロスは、ヤリスと同じハイブリッドシステムを積むが(ガソリン車もアリ)、車重が100㎏重いので、燃費は約2割落ちる。EVとのエコ勝負は微妙になるが、ヤリスに比べると居住性に余裕があり、ラゲージは断然広い。このクラスでゴルフバッグが真横に載せられるのはスゲエ! 私のBMW3シリーズはギリギリ入りません……。後席も4:2:4に3分割で倒せるので、使い勝手が大変イイ。

値段も手ごろで、ヤリスのプラス28万円ってところ。ホンダ・ヴェゼルや日産キックスなどの他メーカーのライバルを完全にブッちぎっている。誰もついてこれない……。

ただね、ヤリスと首都高で乗り比べたら、走りは断然ヤリスが楽しかった。なにせヤリスは軽いから加速がイイし曲がるのも得意! ポルシェにも負ける気がしない! 燃費はもちろん世界一! ヤリスクロスもSUVの燃費世界一! ヤリスとヤリスクロスのタッグは世界をブッちぎっている! まさに世界の離れ小島! 日本発の世界スタンダードがまた一歩遠のいた……。

No image

世界の潮流はEVだとか、そんなのカンケーねーっ! 作るほうはともかく、買うほうは日本でしか乗らないんだから、この国の道路と使用状況にマッチしているかどうかが重要であります

◆【結論!】

かつてソニーはベータで離れ小島になったが、トヨタはハイブリッドで離れ小島になった。しかしクルマにはビデオテープみたいな互換性は必要ないので、日本人は当面ヤリスやヤリスクロスに乗っていれば大丈夫です。

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

【清水草一】

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加