
ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。
愛くるしいタンタンですが、実は現在25歳。人間で言うと70歳代という高齢パンダ。そして今年、中国への返還が決まっています。神戸で最後の時間を過ごす、お嬢様の様子を、動物園の休園日である水曜日にお届けします。

カメラ目線で圧をかけます 提供:神戸市立王子動物園
無言の圧タン
なにか言いたげな表情のタンタン。おりの中から無言の圧を感じますね。この行為、公式ツイッターでは「圧タン」と呼ばれています。
飼育員の梅元良次さんに、圧タンについてうかがいました。「僕が担当になったときには、もう普通にやっていましたね」と、タンタンからの圧にも慣れたものです。

これが「圧タン」 神戸市立王子動物園ツイッターより
賢いタンタンは、部屋の中に入ると新しいごはんがもらえることを覚えているため、ごはんが待ち遠しくて前のめりに。これが自然と圧をかけるような形になっているようです。

モフモフの毛が食い込んでいますよ 提供:神戸市立王子動物園

目があっちゃいましたね 提供:神戸市立王子動物園
パンダの得意技?
「コウコウも、エサの時間くらいになると『ごはんまだですか?』というような感じで、こちらを見ていましたね」と梅元さん。かつて同園にいた、オスの2代目コウコウも、遠慮がちながら圧をかけていたようです。この圧はパンダの得意技なのでしょうか。

部屋に入れての圧。壁ドンですね

中の様子をうかがっています
「僕はすぐ、圧に負けるんです。タンタンのタイミングにあわせて、食べたいときに食べさせてあげるようにしています」(梅元さん)食いしん坊のタンタン。竹が気に入らない時は、お庭の雑草をムシャムシャ食べることもあります。

この竹じゃない 提供:神戸市立王子動物園

気に入る竹をくれないと、雑草食べちゃうぞ
タンタンのごはんタイムは、基本1日6回。これは来園時から変わっていません。しっかりとパンダに食べさせることが、飼育の第一目標。エサの回数が増えるのは、悪いことではないのだとか。
「食べたあと、満足して寝る……というのが、いいルーティンですね」と梅元さん。掃除でおりに入れたときも「早く出してくれ」という圧を感じるそうですよ。

満足そうです

おなかいっぱい。至福の時ですね
気まぐれタンタン
圧タンによってごはんをゲットしても、気に入らなければ食べません。タンタンの好みは、竹の種類ではなく、その時々、竹を刈ってくる場所なども影響するようです。
前回たくさん食べた種類の竹を多めに頼んでも、次は全然食べないということもよくあるのだとか。
「外にいて雨が降ってきたから食べなくなる……なんてこともありますね。そんなときはタンタンを室内にいれて、同じ竹を洗って置いてあげると食べたりもします」(梅元さん)
お嬢様は気まぐれなのです。

取材時のお気に入りは、メダケ(女竹)でした
「タンタンは僕が担当しはじめた頃から変わらず、本当にむずかしい子です」と梅元さん。今は亡き2代目コウコウは、何の文句もなく、タンタンが残した竹もバリバリおいしそうに食べていたのだとか。
竹の匠に『妥協は一切なし』なのですね。

真剣に竹を吟味する(?)タンタン
ちなみにタンタンの好物、ニンジンの切り方は、飼育員さんの気分によって違うのだそう。エサなどを子どもに見立ててしまう偽育児の期間は、抱っこしないように、小さめに切るなどの工夫をされているそうですよ。

握りやすいように、大きめにカットされたニンジン
過ごしやすい春の一日
取材日は寒の戻り。神戸の最高気温は15度。日差しは暖かいのですが、冷たい風が吹く一日でした。午前11時頃に目を覚ましたタンタンは、飼育員さんにごはんの催促。
いつも通りに圧をかけ、新しい竹とニンジンとペレットをゲット。エサの交換が済むとニンジンに向かってまっしぐら。石をテーブル代わりにして、上品に座っていただきます。

ニンジンにまっしぐら!

テーブルにちょうどいい石
そのあとは寝台の上で竹を……と思いきや、ウロウロと何か探しています。寝台の端辺りにタケノコが置いてあることがあるのを、タンタンは知っているのです。今回はないみたいですよ。

タケノコがない……
最近は、なかなか気に入る竹がないそうで、多いときは5、6割くらい食べる夜間の竹も、2、3割しか食べていないのだとか。おなかがすいて、早めに目が覚めてしまうのだそうです。
それでも、竹をきびしく吟味して、おいしいものだけいただきます。

後ろ足を使って、器用に竹を持ち上げています

これはいい竹
宝探しへGO!
30分ほどのお食事した後は、寝台から降りて少しお散歩。さらに、石にもたれてウトウトし始めました。

お昼寝ですか?

目が覚めてしまいました
日光がまぶしかったのでしょうか。すぐに目覚めてお散歩へ。観覧通路との間にあるモート(堀)に、宝探しに出かけていました。

モートへ降りてみました

モートにも青々と草が茂っています
本日(4月7日)は、本来ならば休園日ですが、市内の小中学校の春休みに合わせて臨時開園しています。桜はだいぶ散ってしまいましたが、緑がうつくしい季節。
きっとたくさんの人が、タンタンに会いに来てくれていますね。

しあわせな時間です
NEXT:次回は4月14日(水)にお届け予定です!
<動物園の基本情報>
神戸市立王子動物園
〒657-0838 兵庫県神戸市灘区王子町3-1
TEL : 078-861-5624(代表)
公式ホームページ:http://www.kobe-ojizoo.jp
公式Twitter(@kobeojizoo):https://twitter.com/kobeojizoo
※土日祝のジャイアントパンダの観覧は、公式ホームページから事前申し込みが必要(平日は自由)
















