レクサスのフラッグシップモデル新型『LS500』に死角はあるか?

レクサスのフラッグシップモデル新型『LS500』に死角はあるか?

  • @DIME
  • 更新日:2018/02/19
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1989年、バブル絶頂期にデビューした初代レクサスLS(日本名セルシオ)は国産最高峰のサルーンとしての造り込みはもちろん、驚異的な静かさで世界を震撼(しんかん)させたレクサスのフラッグシップである。

この5代目となるLSは、レクサスのマスタードライバーでもある豊田章男社長の「初代LSの衝撃を超えるクルマを!」という号令の下開発され、攻めの姿勢と大胆さをたたえた新型としてデビュー。先代はショート、ロングの2種類のホイールベースを持っていたが、今回はレクサスLCから採用されたGA-Lプラットフォームを採用し、その中間となる3125mmのホイールベースに集約。車高を15mm、エンジンフードを30mm低め、ドライバーの着座位置を53mm後方へ移動させ、30mm低く座らせるパッケージがもたらすスタイリングは4ドアサルーンでありながら、まさにクーペのシルエット。

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新開発の3.5LV6ツインターボエンジンはエンジン本体両脇にターボを抱えるレイアウトであり、これもまた低重心化を狙ったものだという。ちなみに主要市場である北米では今でもV8神話が根付いているが(先代LSには用意されていた)、今回は潔くスルー。環境性能を重視したV6ツインターボエンジンの新採用に踏み切ったのだという。結果、422ps、61.2kg-m!ものパワー、トルクを発生しつつ、FRの標準モデルで10.2km/Lというクラストップレベルの燃費性能を実現しているのだ(AWDは9.5~9.8km/L)。

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ところで、レクサスLSの国内需要の約70%が法人である。つまり、ショーファーカーとして使われる。永田町でよく見かける黒塗りのVIP御用達車にLSが多いのは、もちろんショーファーカーとしての実力の高さにほかならない。

が、新型はLSの若返りを図った。仮想ターゲットユーザーはLSの主要市場でもある北米の場合、先代までの東海岸のセレブから、西海岸のベンチャー企業の若き社長へと変更。それが攻めに攻めた顔つき、スタイリングにも現れている。保守的な考えのままだとアグレッシブすぎるかもしれないが、アグレッシブに生きるセレブ、VIPにとってはこのぐらいの攻め、個性が必要ということだろうか。

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そして最大の開発テーマが「ドライバーズカー」への変革である。低重心化もそれを押し進めるひとつの手段であり、先代以前とは別格の走り優先のコンセプトを貫いている。そう聞くと、ショーファーカーとしての適性に問題があるのでは?という疑問も出てくるはずだが、マッサージ機能も用意される後席に着座すれば、身長172cmのテスターのドライビングポジション背後で頭上に12cmはともかく、ひざ回り空間には25cmものスペースが確保されている。いきなりドライバーズカーに変身しても、世界のFRハイエンド低全高サルーンの中でトップクラスのゆとりを依然として確保しているから心配はいらない。

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しかも全グレードともにレクサス初の乗降モード付き電子制御エアーサスペンションを採用し、乗降モードによって約4秒で車高が30mm上がり、後席の着座位置が低まっていても、乗降性は先代同等。SUVの場合はエアサスで車高を下げ、乗降しやすくするのだが、こちらは反対で、エアサスによって乗り降りしやすいヒップポイントに高めるということである。

そんなLS500を走らせれば、422psのツインターボエンジンの加速力はジェントルにして強烈だ。LSならではの高い遮音、吸音性能によって車内はフル加速中でも静かに保たれるため、気がつくととんでもないスピードが出ているタイプである。

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ステアリングはまさに意のままの応答性を示し、FRモデルならエアーサスペンションによる、ファンでありながらフラットで安定しきった操縦性、フットワークテイストを味わせてくれる。10ATの巧みな変速制御もあり、まさにスッと走り、スッと加速し気持ち良く変速し、スッと曲がり、スッと収まる妙味が印象的だ。新型LSなら、運転好きなドライバーはもちろん、ショーファーをも熱いドライバーズカーの世界へと誘ってくれるだろう。何しろ、走りのキャラクターとしては、あのレクサスのスパースポーツクーペ、LC寄りに開発されているのだから(特にF-SPORTグレード)。

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ドライブモードスイッチはエコ/ノーマル/スポーツ/スポーツ+が選択可能。スポーツ+にセットすればドライバーズカーとしてのスポーツ度はMAXに達する。乗り心地が引き締まり、エンジン、10AT制御が歴然とスポーティーに変化し、エンジンを高回転まで回せば、迫力と心地よさを伴った快音をとどろかす。パワーステアリングもシャープさを増し、グイグイと“曲がりすぎるほど曲がる”ようになる。

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逆に外側にふくらむような挙動はVDIM(アクティブステアリング総合制御)が断じて許さないのだが、特にF-SPORTグレードだと、慣れるまでは「おーっ、切りすぎた」とステアリングを戻す場面もしばしば。スポーツ+はLSにも硬派な操縦性を望むごく一部のユーザー向けかもしれない。少なくとも後席にVIPを乗せているような場面では禁じ手である!?

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ところで、新型LSのドライバーズカーに振ったコンセプトの一端を表す装備が、エクスクルーシブグレードにレクサスとして初装備した前席用のフロントリフレッシュシート(つまりマッサージ機能)。後席用よりマッサージ機能が穏やかなのは眠気を誘発させないためというが、指圧師がマッサージしてくれるようなもみ感が得られるものだ。

何しろ親指サイズの2×3cmの空気袋を座面10か所、背もたれ10か所に内蔵。芸の細かいマッサージ効果が得られ、実際に走行中に試してみたが、なかなかのリフレッシュ効果が得られた。後席だけでなく、ドライバーのためにもリフレッシュ機能を初採用した事実は、新型LSの、ドライバーズカーとしてのクルマ造りの思想の一端を反映させたものにほかならない。

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新型LSはドライバーズカーとしても大幅な進化を見せた攻めのレクサスサルーンだが、AWDモデルの走行性能は改善の余地ありだ。静粛性など多くの部分でLSらしさはあるのだが、19インチタイヤを履く乗り心地は、良路でも常にフロア、ステアリング、シートにブルブルした振動が伝わってくるもの(複数の試乗車で確認)。後席にVIP気分で乗っていてもしかりで、レクサス、LSに期待する動的質感の水準に達するには早急な改善が必要だと思えた。

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同時に3.5LV6+モーターのHVモデル、最高16.4km/Lの燃費性能を誇るLS500hにも試乗したが、あらためて静粛性、乗り心地、動力性能のバランスに感心させられた。ツインターボのLS500より高価だが、時代の先端を走るレクサス、LS感がより以上に感じられたのも事実。言い方を変えれば、先代までの価値観により近い。ツインターボのLS500はその殻を打ち破る、新型が目指すドライバーズカーとしてのキャラクターをより強く印象づける、まさしく新時代のLSである。もちろん、全グレードともに先進安全運転支援機能はトヨタ、レクサス最新。かんぺきである。

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文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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