『The four GAFA』著者が語る「マイクロソフトはなぜ、GAFAを超えたのか」

『The four GAFA』著者が語る「マイクロソフトはなぜ、GAFAを超えたのか」

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2019/04/25
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GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)が、世界を支配し、創り変えたと断言するニューヨーク大学スターン経営大学院教授スコット・ギャロウェイ氏。彼が語るマイクロソフト評とは。

──2018年11月、マイクロソフトは、時価総額で世界一の座に返り咲きました。今年1月初旬、米アマゾン・ドット・コムに首位を奪われたとはいえ、昨年は株価も大幅にアップしました。同社の復活をどう分析しますか。

アマゾンとマイクロソフトは、時価総額世界一の座をめぐり、争っている。今現在(1月末)、マイクロソフトは7900億ドルで、アマゾン7830億ドル、米アップル7390億ドルを上回っており、世界一だ(注:2月初旬、アップルが首位を奪還)。

とはいえ、マイクロソフトの復活劇は、他社の株価下落に起因するところが大きい。アップルとアマゾンは昨年、1兆ドル企業になった後、25%近く時価総額が落ち込み、マイクロソフトが首位に立つ余地が生まれた。

マイクロソフトが1兆ドル企業になるには、弊書『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』で挙げた「Tアルゴリズム」(Trillion algorithm=1兆ドル・アルゴリズム)が必要だ。アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルの「4騎士」を成功に導いた、競争力に富む8つの特徴のことである。

まず、「商品の差別化」と「ビジョンへの投資」。そして、「世界展開」と会社の「好感度」。5つ目が、消費者・ユーザー体験を「垂直統合」していること。6つ目が「人工知能(AI)」。次に、その会社での勤務が「キャリアの箔づけになる」こと。そして、一流の人材が集まる「地の利」だ。

しかし、消費者に的を絞っている4騎士と違い、マイクロソフトは企業に照準を合わせている(ため、顧客の感情的な思い入れがない)。老人として生まれ、赤ん坊として死んでいく『ベンジャミン・バトン数奇な人生』(スコット・フィッツジェラルド著)の主人公と違い、新興企業への若返りも不可能だ。

これらを鑑みると、トップであり続けるのは容易でない。アマゾンが世界3番手のメディア企業を目指し、アップルの18年第4四半期10〜12月決算が予想ほど悪くなかった点を考えると、(アマゾンやアップルによる)新たな嵐の気配を感じる。

だが、マイクロソフトの興味深い点は、クラウドや家庭用ゲーム機Xboxなど、製品の多様化と経常利益が見込めることだ。同社は「モノポリー(寡占)」企業ではない。一方、グーグルは米検索市場の91%、アマゾンは米ネット通販市場の50%を占め、アップルは、13億人に上るiOSアプリユーザーのモバイル販売を手中に収めている。

われわれがフェイスブックやアップルに抗議し続けている間に、マイクロソフトは規制当局の監視を遠ざけ、消費者の幻滅とも無縁で、成長を続けている。経常利益(クラウドサービスの「アジュール」や「マイクロソフトオフィス」が主な収入源)は、消費者が同社との長期的関係にお金を投じていることを意味する。大半の企業は、消費者が製品を買う必要に迫られて初めて、消費者との関係を再構築できる。

市場は、消費者と長期的関係を築き、(クラウドなどによる)経常的な売り上げをもたらす企業の価値を高めに評価する。マイクロソフトは、この点が、トップの座を占めるための重要な原動力になることを見いだした。

──「ディスラプション(創造的破壊)の4騎士」とマイクロソフトの違いは?

あなたは著書の中で、アジュールや、マイクロソフトが16年に買収した米ビジネス向け交流サイトのリンクトイン、ソフトウェア開発者向けプラットフォームの米ギットハブ(昨年、買収)に言及しています。そうしたサービスが成長のカギなのでしょうか。

まず、違う点だが、4騎士は、消費者向けテックや、(SNSなど)メディアのエコシステムに深く入り込んでいる。彼らにとって、他社を寄せ付けない最強の盾は拡大化だ。

一方、マイクロソフトも戦略的買収を行っている。リンクトインには手堅いB2B(企業間)広告収入があり、ギットハブは新ユーザー層を提供してくれる。また、マイクロソフトは、テック市場で最も成長が速いクラウド事業を先導している。18年第3四半期の売上高は、アマゾンウェブサービス(AWS)が66.8億ドル、アジュールは85億ドルだった。

──マイクロソフトは「第5の騎士」になれると思いますか。あなたは著書の中で、ビル・ゲイツやスティーブ・バルマー前CEOを好感度が低いと分析する一方、サティア・ナデラ現CEOは、「マイクロソフトの歴史に新たな命を吹き込んでいる」と評価しています。

すでに第5の騎士になっているという声も多いが、同社の収益の大半はB2B製品・サービスに起因し、ビジネスの理性的な側面に訴えかけるものだ。フェイスブックのニュースフィードやアマゾンの音声アシスタント「アレクサ」と違い、マイクロソフトには消費者の愛着がほとんどない。

とはいえ、テック大手は昨年、スキャンダルまみれだったが、マイクロソフトは無傷だった。年間最優秀テックCEO大賞はナデラCEOに送られるだろう。有能で責任感あるリーダーとして、会社やユーザーが面倒に巻き込まれないよう守り、指導力と知見でマイクロソフトを米国屈指の企業に変身させた。フェイスブックの指導層とは対照的に、株主だけでなく、消費者や社会の安全にも留意していることを示し、同社に対する世間の信頼を勝ち取った。

──あなたは著書の中で、GAFAが支配する勝者総取り時代を生き抜くためのキャリア戦略を指南しています。起業家や経営者へのアドバイスは?

この40年で米国の起業数は半分になったが、特に過去10年間の凋落が顕著だ。昨今、起業家の間では、「アマゾンやアップル、フェイスブック、グーグルと競うつもりはないが、いい買収話に乗りたい」という声が増している。大企業に買われれば、競わずして巨額の資金を手にできる。一方、いかなる優れたアイデアも(4騎士の前には)歯が立たない。

こうした時代に、まず起業家がすべきなのは、人前で失敗しても平気か、どれだけリスクを取れるか、宮仕えでなく、人を使うことに自信があるか、自分自身の適性を見極めることだ。

一方、経営幹部には敏しょう性が求められる。物事が行き詰まったら、潔く発想を変えることが必要だ。今や超優秀な人材は、あらゆるチャンスをものにできる時代である。従業員の履歴書に付加価値を与えられるような、エキサイティングな環境を構築できるかどうかは幹部の腕しだいだ。

スコット・ギャロウェイ◎ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。ブランド戦略とデジタルマーケティング専門。連続起業家として9社創業。ニューヨーク・タイムズなどの役員も歴任。著書に『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)。

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