ミャンマー人に「ミャンマー風冷やしそば」を食べてもらったら

ミャンマー人に「ミャンマー風冷やしそば」を食べてもらったら

  • デイリーポータル Z
  • 更新日:2016/10/19
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クセになる味なんです

簡単な料理なら作れる。なかでも、気に入っているのは「ミャンマー風冷やしそば」だ。レシピは20年前に通っていたレゲエバーのマスターに教えてもらった。

これがまた美味しいのだが、じつは「どのへんがミャンマー風なんだろう」という疑問を頭の片隅に浮かべながら20年間食べ続けている。いわば、魚の小骨がのどに引っかかりっぱなしの状態だ。

人はいつ死ぬかわからない。今こそ、それを解明するべきではないだろうか。ミャンマー人に食べてもらって、率直な感想を聞こう。

石原たきび(いしはらたきび)ライター。たき火。俳句。酒。『酔って記憶をなくします』『ますます酔って記憶をなくします』発売中。デイリー道場担当です。押忍!

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東京で「通う」ことを覚えた初めてのバー

協力してくれたのは、東京で働くミャンマー人のチョー・ミンティさん(32歳)。ミャンマー駐在から帰ってきたばかりの知人が紹介してくれたのだ。

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「Hello〜」

ここで、20年前に話を戻す。僕は東京の武蔵境という中央線沿いの街に住んでいた。職業は塾講師。

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三鷹駅のお隣ですね

先日行ってみたところ、当時住んでいた家賃3万円、風呂なしのアパートがまだあった。

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3階の一番手前の部屋

塾講師の仕事は楽しかったが、大学卒業後に長野から上京したため、東京には友達が一人もいない。

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両脇の中学生も今頃30歳を超えているはず

週末は一人で新宿の「オートマチックス」というテクノのクラブ(今はもうない)に行き、踊ったり踊らなかったりして誰ともしゃべらずに帰る。暇な時間は黙々と俳句を作っていた。

そんな時代にふらっと入ったのが先述のレゲエバーだ。店名は思い出せないが、東京で「通う」ことを覚えた初めてのバーかもしれない。

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別の店になっていた

というわけで、そこで教えてもらった「ミャンマー風冷やしそば」という料理は、食べるたびに当時の何ともいえない閉塞感を思い出す味でもある。

ミャンマーは寺院建築が有名

さて、チョーさんだ。彼の住まいは東京・蔵前のマンション。ごく簡単な日本語しかしゃべれないので、こちらの片言英語とのぎこちないやりとりになった。

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ザ・男の一人暮らし

ちなみに、「チョー・ミンティ」という名前はミャンマー語で下のように書く。

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丸だけで構成されていてかわいい

仕事はシステムエンジニア。もともと、首都ヤンゴンの日本の通信系企業で働いていたが、7カ月前に東京に赴任してきた。「サイキン、チームリーダーニナッタンデスヨ」と嬉しそうだ。

ところで、こちらはミャンマーのことをほとんど知らない。どんな国かと聞いてみると美しい風景が自慢とのこと。ネット検索で写真を見せてもらった。

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おおお、これはたしかに美しい

ミャンマーは寺院建築が有名で、かつては「建築王朝」とも呼ばれていた時代もあったという。

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チョーさんいわく「Golden Apartmentデスネ」

いずれにせよ、ニュース映像などで知っているミャンマーのイメージとは違う。まあ、そこだけを切り取って教えてくれたせいもあるのだろうが。

どうやらいい人そうなので、独身で彼女もいないという彼に好きな女性のタイプも聞いてみた。

「ミャンマーデユウメイナジョユウハコノヒトデス。ワタシモスキ」

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エインドラー・チョーズィンさん

なるほど、日本人も好きそうなタイプですね。ところでチョーさん、その升に入ったプラスチックのチップは何ですか?

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「マクラノヌノガヤブレテ、トビデチャイマシタ」

今考えると縫ってあげればよかった。

日本暮らしで困るのは物価が高いこと

前置きが長くなった。いよいよ、調理に取りかかる。近所のスーパーで食材を買う前に、調味料などがあるか聞いてみたら「シオトカナラアリマス」。念のため冷蔵庫の中を見せてもらう。

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ミャンマーの食材だらけ

やはり郷里の味が恋しいのだ。日本ではなかなか買えないため、仕事や旅行などでこちらに来る友人に持ってきてもらうそうだ。

スーパーに着いた。「ミャンマー風冷やしそば」では生の中華麺を使う。

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あるだろうか

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あった!

その他、必要な食材を買い込んでチョーさんの部屋に戻る。ちなみに、日本暮らしで困るのは物価が高いこと。東京のスーパーで売っているトマト1個の値段で、ミャンマーなら10個以上買えるという。

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買ったのはこちら

調理を始める。

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人んちの台所はアウェイ感がある

チョーさん、休みの日には何をしてるんですか? 「ウエノヤシンジュクニ、フクヲカイニイキマス。UNIQLOヤGUバッカリ(笑)」

他の食材や調味料を加えてアレンジしてもイケる

ここからは、調理法を一気にご説明します(1人前)。

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ニンニクをサラダ油で炒める

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鮭缶の身と汁を半分ぐらい投入

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鷹の爪、ナンプラー、塩胡椒で味を整える

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作ったタレが冷めた頃に生中華麺をゆで、流水にさらし、よく水を切る

最後にタレ、麺、刻んだ三つ葉をボウルで混ぜればできあがり。

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これが「ミャンマー風冷やしそば」だ!

ちなみに、これはベースのレシピなので、他の食材や調味料を加えてアレンジしてもイケる。

「ミャンマーの麺料理で魚は使いません」

チョーさん、できましたよ。

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まず、スマホで写真を撮るのは万国共通

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「イタダキマス」

ものの5分で完食してくれた。どうでした? 「スゴクオイシカッタデス」。では、どのへんにミャンマーを感じましたか?

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苦笑いするチョーさん

以下、彼の感想をまとめてみる。

たしかに、ミャンマー料理ではナンプラーをよく使うが、麺が中華麺なのでこれは中華料理に近いのではないか。あと、ミャンマーでは鮭はあまり食べない。とくに麺料理で魚は使わない。

落胆を隠しつつ、100点満点での得点を聞いてみた。「ウーン、95テン!」。かなり気を使ってくれたようだ。

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固い握手を交わしてチョーさん宅を後にした

駅まで歩く途中で、ミャンマー風のカラオケスタジオがあった。

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看板の色使いが

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ミャンマーの国旗に似ている

しかし、よく考えればあれは「ミャンマー風冷やしそば」であって「ミャンマー冷やしそば」ではない。「オイシイ」と言ってもらえたうえに、ミャンマーのことをいろいろと知ることができただけでもよかったのかもしれない。

「ライネン3ガツニ、ミャンマーニカエリマス」

帰り際、チョーさんに「こんどいっしょに飲みましょう」と言うと「イイデスネ」。ふだんはコンビニで金麦を買ってきて家で飲んでいるらしいので、日本文化を伝えるためにもぜひ居酒屋で乾杯したい。

残念ながら、来年3月にミャンマーに帰ってしまうそうだ。それまでに店を探しておこう。

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茶葉を発酵させた「ティーリーフ」。これで作るサラダはミャンマーの国民食

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