出版不況を象徴する衝撃タイトル『マンガに、編集って必要ですか?』を読んで気がついたら泣いていた件

出版不況を象徴する衝撃タイトル『マンガに、編集って必要ですか?』を読んで気がついたら泣いていた件

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2019/06/12
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今回ご紹介するのは、タイトルがかなり衝撃的な『マンガに、編集って必要ですか?』という作品。なんだなんだ、出版業界に対してモノ申す系の作品か!? 漫画家と編集担当といえば、二人三脚のイメージが太古の昔からあったじゃないですか! 出版不況をこじらせすぎて、その蜜月関係がいま崩壊しようとしているってことなんでしょうか……?

作品名から漂うなんとも言えないダークネスなワクワク感を抑えきれずに読み始めてみた読み始めてみたものの、気がついたら目のあたりからこぼれ落ちる謎の水滴。何これ、もしかして……涙!? ていう感じになる作品でした。一体どういうことなのか、ご紹介しましょう。

『マンガに、編集って必要ですか?』の作者は青木U平先生。不倫のテクニックを描いた代表作『フリンジマン』が実写ドラマ化されたことも記憶に新しいです。『フリンジマン』以来、青木先生の描く女性キャラが全員「愛人」ぽく見えてしまう症候群に陥ってるのですが、どうやら本作ではそれはなさそうです。

舞台はとある喫茶店、中年漫画家・佐木小次郎(45)と新米女性編集者・坂本涼(24)の打ち合わせのシーンから始まります。キャリア8年目、ヒット作が出ない焦りから、不毛な打ち合わせを切り上げて早く漫画を描きたい漫画家・佐木。一方、空気を読まずにケーキセットなんかを頼んじゃって、のんびりまったりと雑談をする編集担当・坂本。SかMかが判定できる心理テストを始めたりして、佐木のイライラが募っていきます。やべえ……オープニングからいきなり「編集いらない」感がムンムン漂ってる。

その後も、かみ合わない打ち合わせは続きます。それもそのはず、坂本はファッション誌「Veve」から異動してきたばかりのキラキラ女子。マンガの編集者としては素人同然なのです。

佐木が現在連載しているマンガは『男の四十路メシ』なる、ガッツリ井之頭五郎フォロワー的な作品ですが、坂本はマンガの舞台として「ナイトプール」を勧めてきたりします。「”映え”すると思うんですよー」……なんて脳みそがタピオカでできてるんじゃないかと思えるような緩めのトーク。そして、ついには……

徹夜して海外ドラマを観ていたため、打ち合わせ中に居眠りしてしまう坂本。ちょっ、おま……ナメてんのか!? やっぱり編集はいらない! もう、タピオカ飲んで帰れ!!

とまあ、そんな一向に作家のテンションが上がらない月イチ打ち合わせを惰性で繰り返している中、唐突に「その時」が来てしまいました。

「佐木先生の『男の四十路メシ』なんですけど……あと3回で打ち切りです」

いきなりの死亡宣告。

「単行本が売れてないから…?」「そう…ですね」

まったくオブラートに包まず、スーパードライに返答。そこはもっとなんか……柔らかい言い方ないの?

ショックを隠しきれない佐木に対して、あっけらかんと返す坂本。

「考えてきたんです、新企画をいくつか」「佐木先生の新作、早く読みたくて」

「考えられるかそんなもん」

今さっき打ち切り宣告されたばかりですから、そりゃそうですよね。空気読めないにもホドがあります。恐るべしタピオカ世代。

……ここまで見てきて漫画家かわいそうすぎる、マジで編集絶滅しろと思った人が多数かもしれません。しかし、このへんから作品の流れが変わっていきます。

突然ポロポロと涙を流し始める坂本。そう、彼女も担当作品が打ち切りになることを人一倍悲しんでいたのです。涙を見せまいと平静を装っていたのですが、ついにこらえきれずに泣きだしてしまいました。

あれ、もしかしてこの娘……いいヤツなんじゃ?

実は彼女が持ってきた新作の企画書、相当に佐木のマンガを読み込んだ上で、今どきのトレンドも取り込んだ、しっかり作り込まれた企画書だったのです。その素晴らしさに、佐木もさすがに見直します。

それもそのはず、坂本は女性誌出身のキラキラ女子編集者を装っていただけで、もともとは重度の引きこもり漫画オタク。高校時代から、面白い漫画を漫画家と一緒に作り上げるマンガ編集の仕事に就くことを熱望していたものの、入社した出版社では女性誌の編集部に配属、その後、やっと念願かなってマンガ編集部に転属となったのでした。まったくそんなそぶりを見せない、ただのタピオカ女子だと思っていましたが、この意外な不意打ちに、ついホロっときてしまったわけですよ。オイどんは。

この企画書ならイケる! ようやっと坂本の能力を認め、新作で出直しを図ろうとした佐木でしたが、その矢先に……坂本が失踪。ズコー、なんという展開でしょう。

そして、坂本が失踪して2年の時が流れ……その後もほかの編集担当と組むも鳴かず飛ばずだった佐木の前に、再び坂本が姿を現すのです。なぜ彼女は失踪したのか、失踪している間、何をやっていたのか、そして2人は再びパートナーになることができるのか……? 現在も新潮社「くらげバンチ」WEB上で絶賛連載中の作品です。

今のところ、結局マンガに編集がいるのかいらないのか……その結論は出ていないわけですが、今後どんなストーリーになっていくのか予想がつかなすぎて楽しみな作品です。なお、誤解のないように言っておきますが、本作にタピオカは出てきません。

(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん <http://ablackleaf.com/>)

◆「ザオリク的マンガ読み」過去記事はこちらから

●くらげバンチ(毎週金曜更新)

https://kuragebunch.com/episode/10834108156636852847

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