女より怖い嫉妬心"メラメラ男上司"の生態

女より怖い嫉妬心"メラメラ男上司"の生態

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2017/11/13
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一見するとフレンドリーで懐の深い「いい上司」。しかし実は、ライバルとおぼしき存在に嫉妬し、たびたび攻撃をしかける「メラメラ上司」であるケースは少なくない。「有能な部下は早めに潰す」「激励や祝福の言葉を送りながら、敵意や怒りも同時に抱く」「前任者をディスって、優位性を誇示」……。周囲を混乱させ、身動きを封じる男性上司の複雑怪奇な振る舞いを、精神科医の片田珠美氏が分析する――。

「会議では自由に発言して」を真に受けてはいけない

男同士のいがみ合いは、どんな会社にもある。ただ、それを表沙汰にすると、「協調性がない」「空気が読めない」などと非難されかねない。ときには「職場不適応」の烙印を押されかねない。だから、ほとんどの会社員は、いがみ合いなどないかのように装いつつ、できるだけ波風を立てないようにする。

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たとえば、20代の会社員の男性Aさんは、初めて出席した企画会議で、50代の男性部長から「自由に発言しなさい。自由闊達な議論こそが会社の発展につながる」と言われ、これを真に受けて、仕事の分担に対する不満やプロジェクトの古くささなどを率直に述べた。すると、部長の機嫌が悪くなり、それ以降きつく当たられるようになったという。

後でAさんが先輩に理由を尋ねたところ、この部長は、やたらと会議を開きたがり、終了時間を気にせず自分の感覚でダラダラとしゃべるうえ、自分の提案に対して部下が少しでも批判したり、反対意見を述べたりすると、とたんに機嫌が悪くなることがわかった。そのうえ感情的になって攻撃するため、部下は賛成するしかないらしい。結局、会議は部長の提案や意見を追認するだけの場になっていて、いわばセレモニーにすぎないわけである。

▼自分の存在を脅かす存在には徹底的に攻撃する

もっとも、賛成した場合でも困ったことになるようだ。部長の提案を実行して、うまくいかなかったら、部長は担当役員に「会議で、○○という部下が強引に推し進めたんです。部下の戦略ミスです。私は『大丈夫か?』と疑問を投げかけたんですが……」などと言い訳して、部下に責任転嫁するからだ。

先輩も責任を押しつけられたことがあり、「部長が提案したんじゃないですか。僕らは賛成するしかなかったから、そうしただけなのに、こっちの責任にされたら困ります」と言い返したかったが、形だけにせよ、賛成したのは事実なので、何も言えなかったという。

この部長が部下に責任転嫁するのは、もちろん自己保身のためだろう。現在の地位や収入を失いたくないからこそ、部下に平気で責任を押しつけるのだ。

うがった見方をすれば、部長は部下に共同責任を負わせるために、全員が賛成するように仕向けるのだともいえる。そのために、批判や反対意見に過剰反応し、あえて感情的になって攻撃するのかもしれない。

「頑張ってくれたまえ。期待しているよ」はもちろん建前

厄介なのは、口では「自由に発言しなさい」と言って自由闊達な議論を促すふりをしながら、実際に批判や反対意見が出ると反撃して封じ込めようとすることだ。

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このように相矛盾するメッセージを送って、部下を混乱させ、身動きできなくする上司はどこにでもいる。要は、言語レベルと非言語レベルのメッセージが180度異なるわけで、精神医学では「ダブルバインド」と呼ばれている。Aさんは、この上司がダブルバインドであることを知らず、上司の言葉を真に受けたからこそ、地雷を踏んでしまった。

ダブルバインドの上司に振り回されたのは、30代の営業社員の男性Bさんも同様である。直属の上司である40代の男性課長から、「頑張ってくれたまえ。君には期待しているよ」と励まされたので、頑張り、営業成績が社内でトップになった。課長も喜んでくれるはずと思ったのだが、予想に反して、機嫌が悪くなり、目も合わせてくれなくなったという。

▼精神医学用語でいう「ダブルバインド」の上司の嫉妬心

また、別の会社の20代の営業社員の男性Cさんも同様の経験をした。30代の男性係長から「頑張れ」と励まされていたのに、いざCさんが営業成績を伸ばして表彰されると、この係長はCさんを露骨に避けるようになったのだとか。

ここで取り上げた課長も係長も、「頑張れ」という言語メッセージを送りながら、それとは裏腹な態度を示している。こうしたダブルバインドの言動には、しばしば嫉妬がからんでいる。

というのも、後輩や部下に自分のポストを奪われるのではないかと危惧する会社員が少なくないからだ。その背景には、バブル崩壊後、多くの会社で年功序列が崩れ、成果主義が採用されるようになった影響があると考えられる。

激励や祝福の言葉を送りながら、敵意や怒りも同時に

自分のポストを失うのではないかという喪失不安が強いと、後輩や部下の活躍に対する嫉妬を抑えられない。そのため、激励や祝福の言葉を送りながらも、それと矛盾するメッセージを非言語レベルでは出さずにはいられない。

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こういう人は、嫉妬、そしてそれに由来する敵意や怒りなどのネガティブな感情を言語レベルでは抑圧しようとすることが多い。このような嫌な感情が自分の心の中にあるという事実を認めたくないからだ。

もっとも、抑圧しようとすればするほど、「抑圧されたものは回帰する」というフロイトの言葉通り、ネガティブな感情が非言語レベルで出てしまう。ちょっと漏れるどころか、“ダダ漏れ”になることもある。

困ったことに、自分が相矛盾するメッセージを送っている自覚がない上司が少なくない。そのため、ダブルバインドの言動に歯止めがかからず、部下を混乱させ、職場をかき乱すのだ。

▼前任者のやり方を全否定せずにはいられない上司

男の嫉妬は、さまざまな形で表れるが、とくに厄介なのは、ケチをつけて、他人の価値を否定する言動だ。

たとえば、業績がよく、できる人材が集まった部署に異動してきた40代の男性部長は、前任者のやり方を全て否定しなければ気がすまないタイプで、部下の多くが閉口しているらしい。

この部長は、パイプ役として調整する能力はあるものの、仕事のスキル自体はそんなに高くないようだ。それでも、プライドが高いため、とにかく前任者のやり方にケチをつけ、ひたすら部下にダメ出しすることで威厳を保とうとする。

しかも、メディアで新たな手法が脚光を浴びるたびに、すぐに導入したがり、その研修に参加するように部下に命じる。そのため、「これまでのやり方で、うまくいっていたし、業績もよかったのに、なぜ変えるんだ」という不満があちこちで出ているのだが、そういう不満に部長は耳を傾けようとしない。それどころか、「どうだ。新しいやり方のほうが、うまくいくだろう」と同意を求めるので、部下は答えに窮するという。

上司の心はライバルへの嫉妬と自分への不安でいっぱい

この部長が前任者のやり方を否定するのは、主に2つの理由によると考えられる。1つは、この部署の業績をここまで伸ばした前任者への嫉妬である。もう1つは、異動してきたばかりの“新参者”である自分が果たして認められるのかという不安である。

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できる人材が集まった部署なので、部下のほうが優秀だったら、自分の立場がなくなるのではないか、という不安を抱いている可能性も考えられる。要するに、自信がなく、不安が強いからこそ、前任者のやり方を否定せずにはいられない。もっとも、その自覚はないようだ。

常識的に考えれば、前任者のやり方で業績がよかったのなら、それをそのまま継続すればよさそうなものだが、そういう理屈はこのタイプの上司には通じない。とにかく自分のほうができるのだと優位性を誇示せずにはいられず、何が得で何が損かという現実原則で判断することができない。

▼同僚や部下をディスることで優位性を誇示する

こういうタイプは、上司だけでなく同僚の中にもいる。これは他人の価値を否定すれば、自分の価値を相対的に高められると思い込んでいるからである。他人の価値の否定が実際に自分の価値の上昇をもたらすわけではないのだが、この手の思い込みを訂正するのは至難の業だ。

このように他人の価値を否定することを、最近は「ディスる」と呼ぶようだ。この言葉が盛んに用いられるのは、他人をおとしめて自分の優位性を誇示しようとする人が増えているからだろう。こういう人は、他の誰かの活躍や成功をねたんで、破壊しようとすることもある。

たとえば、「業績を伸ばしたのは、取引先の社長の弱みを握ったから」「売り上げの何割かをキャッシュバックしてもらっている」などと根も葉もないうわさを流して、ケチをつける。そのくせ、外面はよく、激励や祝福の言葉を口にするので、要注意である。

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