【ライターコラムfrom岡山】確かな“財産”残しスパイクを脱ぐ...加地亮、プロの姿勢を貫き通した20年間

【ライターコラムfrom岡山】確かな“財産”残しスパイクを脱ぐ...加地亮、プロの姿勢を貫き通した20年間

  • サッカーキング
  • 更新日:2017/12/06
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現役生活に別れを告げた加地亮 [写真]=J.LEAGUE

プロ生活20年目のシーズンを戦い終えた加地亮は11月25日に現役引退を発表してから、ファジアーノ岡山の練習拠点である政田サッカー場には連日多くのファンが詰めかけた。今年の練習最終日となった12月3日には500人を超えるファンが集まった中、加地は練習後にチームメイトから胴上げされて送り出されると、ファンの一人ひとりと丁寧に言葉を交わしていく。加地と岡山が幸せな関係にあったことを示す最後の一日だった。

2006 FIFAワールドカップ ドイツのピッチにも立った“黄金世代”の一人である加地が岡山に来る! それは岡山に関わるすべての人々にとって大きなニュースだった。元日本代表の岩政大樹も同時に加入した2015年、「テレビで見ていた選手が来た」とチームメイトも目を丸くする中、先頭に立ってチームを牽引する岩政とは違った形で加地はチームメイトに大きな影響を及ぼしていった。

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不動の右サイドバックとして日本代表でも活躍した[写真]=Getty Images

一緒に岡山へ加入して3年間を過ごした伊藤大介はこう振り返る。「加地さんはいろんな経験をされてすごいレベルの高いところで戦ってきた選手なのに、ぜんぜん驕ることなく僕たち選手と接してくれて、(岩政)大樹さんとはまた違う形で決して率先して声とかを出すわけじゃないけど、加地さんから伝わるものはすごくあった。僕はそういう姿がすごくカッコいいなと思いました」

すぐにチームメイトに慕われていつしか「あっくん」と呼ばれるようになった加地の人間性に、チームメイトは惹きつけられた。「加地さんは分かりやすく時には笑いを交えながらツボを突いたことを言ってくれる。グッと引き寄せられる力があった」(澤口雅彦)。「ちょっと悩んでいるようなときに加地さんはタイミングよく声を掛けてくれる。加地さんは僕たちの拠り所になってくれていました」(伊藤)。チームメイトにとって加地は理想の上司のような存在だった。

そして、加地は「本当のプロフェッショナル」(長澤徹監督)である。練習前の入念な準備や練習後のケアをはじめ、自己管理を徹底して選手生活を送る加地の姿が、チームメイトに刺激を与えなかったわけがない。

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プロフェッショナルな姿勢は岡山の選手にとってのお手本だった [写真]=Getty Images

クラブハウスには誰よりも早く加地が来ていた。二番目に来ることが多かった篠原弘次郎は、「毎朝真っ暗なうちに練習場に来て、風呂で加地さんに会って『おはようございます』っていうのが日課だった。それがなくなると思うと寂しい」と名残を惜しみ、「加地さんの時間の配分とかを聞いたりして自分のやり方を作っていった。僕にとってめちゃくちゃ大事な時間でした」と感謝を惜しまない。

加地もチームメイトに大切なことを伝えようと心を砕き、「いろいろ考えて言葉も探しながらやりましたけど、背中で見せた方が伝わるだろうと思った」。決して多くは語らずも態度で示し続けてくれた。

「亮がいたことがクラブにとってすごい財産になった」と語る長澤監督は、「それを消さないようにいる選手がどう受け継いでいくか。そこがこれから大事になる」と続けた。加地の背中をすぐそばで見て過ごす珠玉の時間に恵まれたチームメイトには、加地が残した財産を次世代に受け継いでいかないといけない。そうすることで岡山に加地がいた三年間の意味は大きくなっていく。

文=寺田弘幸

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