【新しい働き方はどのように生まれた?・海外編】第21回:観光と留学産業を支える「世界で一番住みやすい都市」とは?

【新しい働き方はどのように生まれた?・海外編】第21回:観光と留学産業を支える「世界で一番住みやすい都市」とは?

  • 政治山
  • 更新日:2018/02/14

オーストラリアではグローバル化の影響で製造業が衰退していく中、製造業に代わって発達してきた産業があります。前回ご紹介した福利厚生関係の産業がその一つですが、その他にも観光と留学分野の伸びが最近とみに目立っています。オーストラリアが観光客や留学生を引き付けるのはなぜなのか、その背景を探ってみたいと思います。

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復活した観光・留学産業

前回の記事では「消えゆく産業、伸びる産業」ということで10年前と1年前との間で各産業の労働人口がどのように増減したのかを比較しましたが、「ビジネスインサイダー」によると、最近では、観光業と留学産業の伸びも著しいとの報告がされています。

前回の記事で取り扱ったデータに観光業と留学の分野が上がってこなかったのは、観光と留学は10年前にはすでに伸びていた産業だったのですが、2009年のリーマンショックにより2010年~2013年の間にかなり落ち込んでしまいました。ところが再び2014年あたりから徐々に伸び初め、2016年には10年前のレベルに戻ってきているためです。

つまり言い換えれば、観光と留学産業は10年前と比べてもそれほど伸びていないといことになりますが、グローバル化でもともと伸びるはずだった産業にも関わらず、リーマンショックにより一時的に落ち込んでしまっていたということになるのではないでしょうか。そして、この2つの産業分野は今後も伸びていくことが予想されています。

観光・留学産業が伸びる背景は?

オーストラリアで観光と留学産業が伸びているその背景には、オーストラリアがテロの影響をあまり受けていないことやオーストラリアの国語が英語であることがメリットになっていますが、さらに、オーストラリアが住みやすい国であることも大きな理由の一つになっているようです。それを裏付けるのが毎年行われている「世界で一番住みやすい都市」評価の結果です。

「『世界で一番住みやすい都市』に7年連続1位」。いったいこれってどこの都市だと思いますか。実はこれは、オーストラリアのメルボルンなのです。ひいき目で言うのではないのですが「7年連続1位」というのは、そんなに簡単に達成できることではないように思われます。ただ、正確に言うと、「世界で一番住みやすい都市」の評価には3種類あります。

イギリスの経済雑誌エコノミストの研究母体であるEIU(Economist Intelligence Unit)による評価: メルボルンが1位

イギリスでライフスタイルの記事を主に取り扱っている「モノクル」による評価 :東京が1位

アメリカの人事&金融会社である「メーサー」が行った評価 : ウィーンが1位

「世界で一番住みやすい都市」評価の評価基準

それぞれ評価の基準が違うためこのような異なる結果になっているのですが、かいつまんで言えば、エコノミストの評価はその都市に生活するために住んだ場合の暮らしやすさを、モノクルの評価はビジネスや旅行などで一時的に住んだ場合の暮らしやすさを、そしてメーサーの評価では企業が事務所を構えるのに適した場所としての暮らしやすさを評価していると言えます。

「それだったら評価基準が違うのだから比較しても意味がないのでは」と思うかもしれませんが、話をメルボルンに戻すと、メルボルンはモノクルの評価でも5位、メーサーの評価でもスコアが104.8(ニューヨークを100としている)で15位と健闘していることが特記できます。しかも、エコノミストの評価では、オーストラリアのアデレードが5位、パースが7位そしてシドニーが11位と主要都市が上位に入っているのです。

オーストラリアの都市はつまらない?

ところが、実際のところは、オーストラリアの都市はつまらない都市だと言う人も少なくありません。東京やニューヨークのような華やかさもなければ、京都やヨーロッパの都市のような1000年以上の長い歴史的遺物もないからです。では、いったいオーストラリアの都市の何が特に評価されたのでしょうか。

エコノミストの評価には「安全」「医療」「文化・環境」「教育」「インフラ」の5つの大きなカテゴリーがあります。このうちメルボルンは安全と文化環境で95点を取っていて、さらに、医療、教育、インフラでは100点満点を獲得しているのです。つまり、メルボルンは、安全で文化、環境も悪くなく、住宅問題や通勤などの問題が少なく、病気になっても心配がなく、しかも高いレベルの教育を受けられるということになります。

次代の流れを的確につかんで対応

このように評価された暮らしやすさが高く買われて、最近では中国や近隣の東南アジア諸国から数多い観光客や留学生がオーストラリアに来ています。実際、2014年のユネスコの調査によると、オーストラリアに留学した人の数は、アメリカ、イギリス、フランスに次いで世界で4番目と高くなっているのです。

この観光と留学における世界的な需要に応えようと、特に留学面では、オーストラリアの各州政府が教育内容をさらに充実させ、キャンパスを拡張したり学生用の住宅を増築するなどして対応しています。

結局、オーストラリアでは製造業はグローバル競争では生き残ることができず、そのため、2017年までに主要な製造業者が工場を閉鎖してしまいました。これに対し、政府は製造業に見切りをつけ、その代りとなる産業にいち早く移行して対応していると言えるのではないでしょうか。

記事制作/setsukotruong

提供:nomad journal

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