志村けんコロナ感染で再確認。緊急時の「ペットの世話」の用意

志村けんコロナ感染で再確認。緊急時の「ペットの世話」の用意

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/03/30
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志村けんさんが新型コロナに感染し、入院していることがわかった。一日も早く元気になることを祈りたい。志村さんのみならず、新型コロナ感染拡大の渦が収まることを願いつつ、新型コロナ感染拡大は治まっていない事実を突きつけられて、我々もひとりひとりが緊張感を持たなければならないことも改めて感じた人も多かったはずだ。

新型コロナウイルスの場合、軽症の場合は自宅療養という選択もあるが、重症化すれば志村さんのように緊急入院ということもある。また、家族も重症化すれば入院、隔離ということもありえないことではないのだ。そして入院する際、志村さんの言葉として報じられたのが、家政婦の方に「犬の世話を頼む」と伝えていたということ。

もしも感染したとき、ペットと暮らしていたら……。志村さんのように犬のケアを頼める家政婦やスタッフがいればいいが、一人暮らしで感染してしまったら、家族全員が感染してしまったら、そのときペットのケアはどうするべきなのか!? かつて自身が、緊急の手術入院で、飼い猫2匹の世話を頼むのに苦心したフリー編集者の伊藤まなびさんの記事を再編成し、新しい情報を加えて改めて考えてみたいと思う。

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ロックダウン中のパリ。犬の散歩中での外出は許可されている。ペットのとの生活にも不自由は多い。photo/Getty images

すでにあった「感染したら」の問い合わせ

動物保護シェルターと併設し、動物病院とペットホテルも運営している特定非営利活動法人『ランコントレ・ミグノン』の友森玲子さん。保護動物に関するさまざまな問題や情報を本サイトでもたびたび配信している。

その友森さんのところにも「新型コロナウイルスに感染したら猫を預かってくれるのか?」というペットホテルの問い合わせがすでに入ったという。

「うちのペットホテルや動物病院を利用されている方ではなかったので詳しいことはわからなかったのですが、ペットホテルで預かるには、犬や猫に必要なワクチンを接種していることが最低条件となります。そのあたりの説明をしましたが、その後ご連絡がないので、感染した方ではなく、感染が心配な方の問い合わせだったのかもしれませんね。

ただ、今回の新型コロナウイルスに限らず、突然の病気や事故は誰にでもあることです。もしも意識不明になったときなど、ペットをどうするのか緊急時の備えは必要ですね」(友森さん)

実際に、「犬の飼育放棄問題に関する調査から考察した飼育放棄の背景と対策」(NPO法人 人と動物の共生センター理事長奥田順之氏ほかによる動物臨床医学会発表資料)によると、飼育放棄の理由1位は、飼い主の死亡・病気・入院(26.3%)だったという。

突然告げられた入院と手術。え!? 猫どうする!

私自身、緊急の手術入院で、その間飼い猫2匹のケアを頼める人を探すのに右往左往してしまった経験があった。新型コロナウイルスの話からちょっと離れるが、「急な入院」というシチュエーションは似ている。ひとつの例として少しお話したいと思う。

昨年6月頭、婦人科検診を受けると「悪性腫瘍の疑いが強いため、とにかく早めの手術を勧めます」と告げられた。頭が整理できぬまま、2週間後の入院がその場で決まった。入院期間は、10~15日。仕事は休むにしても、問題は同居している2匹の猫。一人暮らしのため、そこまで長期不在となると、誰かに預けるしかない。

しかし、保護猫出身の2匹は、人見知りが強く、長期間ペットホテルに宿泊した経験もなかった。選択としては、以前「困ったときは」と話していた猫好きの友人に頼み預かってもらうしかないと、急いで連絡を入れてみることにした。

ところが、猫好きの友人たちは、「それは大変!」ととても心配してくれたが2匹の猫を預かれる状況になかったのだ。ひとりは要介護の親と同居を始め、ひとりは飼い猫が老猫になり要介護状態になってた。そして、もうひとりは1か月前に子猫を保護し飼い始めたばかりで余裕がないという。みな「通いでなら餌をあげに行けるが、預かるのは難しい」という。

しかし、1日1回のご飯で2週間では、猫たちの体調も心配だ。特に、キジ白の猫は小分けに食事を上げないと吐いてしまうタイプだったりもする……。どうしたものか、これは困った……。

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2匹とも外泊はしたことがなく、人見知りしがち。長期留守は難しい。写真/伊藤学

体調の悪さも伴い、物事がスムーズ進まない

その後もいろんな人に声をかけるが、なかなか猫の預かり先は決まらない。一応、定期的に通っている動物病院で預かってくれることは確認し、万が一誰も現れなかったときのためにお願いをしておくことにした。さらに、ケージではなく部屋貸しで預かってくれるというペットホテルの空きも確認し、仮予約を入れたが、2週間預かりで15万以上の経費がかかってしまう。もちろん、経費がうんぬんという場合ではないが、これから自分の治療でどれだけ出費があるかわからない状況での即決は、正直ためらいがあった。

これでは、病気→入院→ペットを手放す人の典型的なパターンではないか。もちろん手放すつもりは毛頭ないが、経路としては同じ図式を追ってしまっている……。しかも当時は体調も気力も万全でなく、なかなか物事がスムーズに進まない。飼い始めた当初は一人暮らしではなかったのに……。でも、さまざまな理由で一人暮らしになってしまうこともある。緊急や最悪な事態を考えて、なぜシュミレーションしておかかったのか、と悔いと焦りばかりが募る毎日だった。しかし、この時点で入院は1週間後に迫っていた。

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猫たちにストレスをかけない選択は何か。突然のことだと選ぶのは難しい。写真/伊藤学

ギリギリで現れた救世主。そしてヘルプリスト作り

入院まで1週間を切ったとき、どうにもならず、前に連絡した猫好きの友人に再度「本当に誰かいたら教えてほしい。助けてほしい」とLINEを送った。すでに見つかったものと思っていた友人も慌て、再度急いで各所にあたってくれることとなった。

すると、愛犬と愛猫を立て続けに亡くしたばかりの動物好きの知り合いがいると連絡が入った。都心の一軒家に住んでいるご御夫婦なのだという。藁をも掴む気持ちで、連絡し事情を説明すると、「少しでも助けになれば。うちで大丈夫か家も見ていただいたほうがいいと思うので、一度、いらっしゃいませんか?」と、すぐにお返事をいただいたのだ。情けないことに本当に途方にくれていたので、さすがにこのときには涙が止まらなかった。

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預かってくださった御夫婦から入院中に届いた写真。お宅がすっかり気に入ってくつろぐ2匹。

結局、退院後の回復期間も入れ、御夫婦にはなんと1ヵ月近くも猫がお世話になってしまった。入院中は猫たちの様子を動画やメッセージでマメに送ってくれ、どんなに励まされたことか。本当にどんなに感謝しても言い尽くせないほどだ。こんな素敵な御夫婦を紹介してくれた友人にも一生足を向けて眠れないと思っている。

私自身も術後の病理検査で悪性の疑いも晴れた。しかし、今回の出来事は私の中で、さまざまな教訓になった。

最終的に面倒を見てくださった御夫婦と知り合えたことは本当に幸せなことだったが、これは「たまたまだった」と言えるだろう。友達や知り合い同士の口頭だけでの「いざとなったら、猫の面倒はみるから」といった約束は現実になったとき、難しいことが今回よくわかった。しかも、人生は何が起こるかわからない。最初は夫婦や家族で「みんなで面倒をみるから」と動物と暮らし始めても、離婚や子供の巣立ちなどで、一人になってしまうこともある。そういう予測も踏まえて、動物の飼育を考えるべきだと今回しみじみ感じた。

また、折原みとさんもペットロスの記事で書かれていたが、『ペットのための意思表示カード』を持参しておくも大事だろう。さらに、緊急時に備え、具体的に家族・友達などが何を担当できるかのヘルプリストを作っておいたほうがいいと実感した。

例えば、私のヘルプリストは……

・現在飼育中の動物:猫2頭(ハナ・ざらめ)雑種/メス ともに7歳
・猫たちの気質:2匹とも少し臆病だが、徐々に慣れる
・預かってもらう場合:訪問でも預かりでも可能
・預かれる動物:猫(家に1日1~2回ケアに行くことも可能)
・預かれる頭数:2頭まで
・動物の運搬:可能(車あり、運転可)
・家の形態:賃貸(ペット飼育可能住宅)2LDK
・家族形態:一人暮らし
・備考:在宅勤務なので基本長めにも預かれます。ケージ大きめ1台、簡易ケージ1台あり。猫トイレ3つあり、キャリーバッグ4つあり
・フード:指定のキャットフード(満腹感サポート)

こういったリストを猫を飼育している仲間同士で共有しておく。しかし、このリストも生活環境や飼育動物の状況で変化する可能性もあるので、変化したら条件を更新するなどリニューアルさせていくことも必要だろう。家族や親類、友人たちで、こういったリストを作っておけば、誰かが何かあったときに、この人は預かり、この人は運搬、と役割分担ももっと明快になるはずだ。

冷静に準備は万全に、が自分も動物も守ることに

さらに、友森さんはこうアドバイスする。

「普段から積極的にご近所つき合いをしておくことも役立つと思います。何日も顔を見ない、人の気配がないと思ったら連絡をしてもらうとか、近所の人にもヘルプリストを共有してもらうと、動物が置き去りで飢えないための対策が取れ、安心です。これは今回の新型コロナウイルスだけでなく、色々な災害で役立つポイントだと思います。

また、犬でも猫でも緊急時にすぐに受け入れてもらえる、かかりつけ医やかかりつけのペットホテルなどを作っておけば、大抵は無理を聞いてもらえると思います。私もペットホテルを経営していますが、“親が倒れたから今から飛行機で実家に帰る”など、顧客から緊急の連絡が来ると、満杯でも時間外でも無理をして預かることがたびたびあります。普段から信頼関係を築いておくことも必要ですね」(友森さん)

まずは、現在のかかりつけにしている動物病院やペットホテルに状況を聞いてみるのもいいかもしれない。特に、今回の新型コロナウイルスは、感染症のため預かりなどのケアが個々異なる可能性もある。ちょうど犬の場合は、狂犬病ワクチンのシーズンでもあるから動物病院に行ったついでに、万が一の際はどうしたらいいかなどかかりつけ医に相談してみるのもいいだろう。

また、3月9日に日本獣医師会から、香港で人間から犬に低レベルの感染があったという報道に関しての見解が発表された。「犬や猫にも感染してしまう!」といった声や「犬や猫のコロナウイルスが感染する」といったデマも一部流れた。確かに犬コロナウイルス、猫コロナウイルスはあるが、これらは犬猫の特有ウイルスなので人間に感染することはなく、今回問題になっている新型コロナウイルスとはまったく関係ないものだ、ということは忘れずにいたい。

さらに友森さんは獣医ら専門家とのディスカッションなどから、顧客にはこんなふうにアドバイスしているという。

「動物への感染例はレアケースで、本来はウィルスの種特異性があるため、人から動物、動物から人への感染はとても困難で、動物を飼っているから感染しやすいということはないと思われます。物理的なリスクとしては、動きの活発な幼児がいる家庭と同程度と考えられると思います。

動物の毛にウイルスが付着する危険性についても、これは動物の毛じゃなくても、ホコリやほかの物質でも起こりうるので、マメに掃除や洗濯、除菌を心がければ防げることだと考えられます。また、動物の毛は心配であればシャンプーすれば大丈夫だと思います。

感染した人が飼っている動物を預かるときには、シャンプーをしてから、念のため2週間隔離し他の動物と接触させない、ケアするときに注意する、ということを心かければ心配なく預かれるだろうと想定しています。

私は今回の騒動は東日本大震災の時にとても似ていると感じています。福島の警戒区域から出た人や動物から被曝するのでは、と最初は恐れられていましたが、体表に付着しているものを洗い流して移動をすれば問題ありませんでした。放射能とウィルスは違いますが、動物の毛は自然に汚れをはじく性質があるせいか、地表の線量よりも体表の線量の方が全体に低かったのです」(友森さん)

慌てずに、冷静に情報を入手しつづ、ヘルプリストを作っておく。愛する動物たちといっしょにこの困難を乗り切るためにも改めて考えていただければと思っている。

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冷静に危機対策をして、人にとってもペットにとっても幸せを保ちたいものだ。photo/Getty images

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