「ゲームするのが恥ずかしくない」10年代に大人も社会も激変した

「ゲームするのが恥ずかしくない」10年代に大人も社会も激変した

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/11/23
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皆さんは、何歳の頃からゲームを遊んできましたか?

ここでいうゲームとは、テレビゲーム、ビデオゲーム、コンピュータゲームと呼ばれるようなゲームのことです。

私の場合、3歳の頃に『スペースインベーダー』を触ってみたのが最初でした。小学生時代はファミコンに夢中になり、大学生時代は『プレイステーション』や『セガサターン』を遊びました。ゲームの発展と、自分の人生をダブらせ続けてきた私は、精神科医になった今でもゲームを遊び続けています。

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Photo by iStock

一方、現在の小学生はというと、ゲームそのものだけでなく、ゲームの実況動画をも楽しみにしています。ソーシャルゲームへの高額課金問題が取り沙汰されるのをよそに、たくさんのスマホユーザーがゲームをインストールしているのを見るにつけても、ゲームが日本人の生活の一部となっている感があります。

ゲームというと、昔から非難がましい目が向けられてきましたし、実際、ゲームばかりやっているうちに受験に失敗した・オンラインゲーム依存になってしまったという人は絶えません。

ただ、ゲームという文化も、ゲームと社会との関係も、ファミコンがブームになった頃と現在とではだいぶ変わりました。かつて、ゲームの遊び過ぎを心配されて育った世代が子どものゲームの遊び過ぎを心配するようになるまでの間に、ゲームが変わって、社会も変わりました。そのあたりについて書いてみます。

大人がゲームで遊ぶようになった

かつて、ゲームは「子どものもの」でした。

ここで言う「子どものもの」とは、ファミコンブームを支えたのが当時の子ども達だった、という意味だけではありません。ゲームセンターといえば不良が行くところで、ゲームにのめり込んでいる青少年がゲームオタクと揶揄されたように、ゲームは、マトモな大人の趣味とみなされていませんでした。

もちろん、すべてのゲームが一律に揶揄や子ども扱いの対象となっていたわけではありません。

最初の火付け役となった『スペースインベーダー』や、1980年代の文化人に話題を提供した『ゼビウス』のように、年上の世代を巻き込んだゲームもありました。国民的人気を博した『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』シリーズなども、世間の風当たりはそれほど強くなかったように記憶しています。

しかし、ファミコンゲームの大半は子ども向けで、パソコンやゲームセンターのゲームの大半はオタク向けでした。

ファミコンで子ども向けゲームを遊ぶか、高価なパソコンのマニアックなゲームを遊ぶか、不良のたむろするゲームセンターに行くのか――なんにせよ、「ゲームは大人が遊んでもおかしくない遊び」という認識は存在しませんでした。

ところが2010年代に入ると、通勤電車でも、待ち合わせ場所でも、老若男女がスマホやタブレットを使ってゲームを遊んでいるのを見かけるようになりました。

『パズドラ』や『ディズニーツムツム』を遊ぶ人々のなかには、15年前だったら絶対にゲームを遊んでいたとは思えないような人々――それこそ、紳士淑女と言っても差し支えないような――までもが含まれていて、驚かされます。

『ポケモンGO』もそうですね。ゲーム内で「ジム」になっている駅前のモニュメントや少し大きめの公園に行くと、小学生から高齢者まで、ありとあらゆるプレイヤーが集まっているのがみてとれます。

『ファミ通ゲーム白書2017』によれば、近年は、オンラインプラットフォームのゲームが大きく伸びています(グラフ)。こうした、スマホやタブレット上で、あるいはブラウザ上で遊べるゲームが普及したことも、「ゲームはみんなのもの」に拍車をかけたことが窺われます。

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『ファミ通ゲーム白書2017』より

ファミコンが発売されてから三十余年が経って、ゲームで遊ぶことに抵抗の無い人、ゲームが楽しいことを知っている人のボリュームゾーンは広がりました。

そんな折に、仕事が忙しい人でも簡便に遊べるスマホやブラウザのゲームが普及したことによって、現在の、「ゲームはみんなのもの」にふさわしい風景ができあがったのでしょう。

今、「ゲームは子どものもの」と思っているのは、一部の高齢者ぐらいではないでしょうか。

ゲームは「見る」コンテンツに

ゲームを遊ぶ人が増えただけでなく、ゲームの楽しまれ方にも幅が広がるようになりました。

その最たるものが「ゲーム実況」です。

ゲーム実況について、我が家の子どもに訊いてみると、「自分でゲームを遊ぶのも楽しいけれど、ゲーム実況も楽しい、どっちも好きだ」とのことでした。こういう感覚は珍しいものではないらしく、マックスむらい、ヒカキン、しゅーやといった有名Youtuberのチャンネルは、多くの小学生に視聴されています。

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Youtuberヒカキン氏 Photo by GettyImages

そうしたYoutuberのゲーム実況を子どもと一緒に見ていると、私は「これはこれで、ひとつのコンテンツだなぁ」と感じます。

ゲーム実況は、ただゲームを紹介するようなコンテンツではありません。実況者のお喋りや、演出も込みで楽しむように作られています。

実況者のお喋りは、簡単に真似できそうで真似できないもので、テレビの芸人の巧さとも少し違ったもののように感じられます。少なくとも、激しい競争を勝ち抜いてきたYouTuberに関しては、彼らなりの才能を感じずにいられません。

編集もしっかり入っていて、視聴者がダレない気配りが感じられます。見逃せないシーンを確実に見せてくれますし、自分でプレイしたら莫大なルーティンワークを要するようなシーンは上手に飛ばして見せてくれます。

それらとは別に、最高峰の腕利きプレイヤーによるゲーム実況も見逃せません。全国レベル、あるいは世界レベルのプレイヤーが魅せる、最高水準のゲームプレイを、いつでもどこでも見られるようになりました。これもこれで見応えがあります。

「ゲームを見る」という習慣自体は、昔からあったものです。

ファミコン時代も、友人宅に集まってゲームをみんなで「見る」ことはありましたし、ゲームセンターでは上手なプレイヤーに人だかりができたものです。しかし、「ゲームを見る」が、コンテンツとして流通するためには、それにふさわしいメディアの登場を待たなければなりませんでした。

90年代には、プレイ録画のビデオテープが細々と流通していました。アーケードゲーム専門誌『ゲーメスト』が作ったプレイ録画や、全国級プレイヤーが自作したプレイ録画は、ごく一部のマニアのためのものでした。90年代後半にはネットの動画配信が始まりましたが、これも、一握りのプレイヤーが研究目的で観ていたものです。

本当の意味でゲーム実況が始まったのは、ニコニコ動画がスタートした2007年以降だと、私は考えています。

当初、ニコニコ動画で人気を集めたのは、難易度の高いゲームのプレイ動画や、ゲームを改造して作ったプレイ動画でした。とりわけ、『スーパーマリオブラザーズ』を改造した動画は任天堂の知るところとなり、後に、この改造マリオを発展させた『スーパーマリオメーカー』が発売されます。

ちなみに任天堂は、ゲーム実況にまつわる収入や著作権についての取り決め(Nintendo Creators Program)を2015年にスタートさせ、ゲーム実況の勃興に素早く対応しました。

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スーパーマリオメーカー Photo by GettyImages

2000年代は「プレイ動画」が人気でしたが、2010年代になると、現在主流となっているようなゲーム実況が優勢になっていきます。

単にゲームを鑑賞するコンテンツではなく、実況者のお喋りや演出、編集も含めたコンテンツが人気を集めるようになるにつれて、ゲーム実況の主戦場はニコニコ動画からYouTubeへと変わっていき、現在に至ります。

私のような古い人間の感覚では、ゲームとは、自分でやってのけてナンボの遊びで、ゲームを見て楽しむ、ましてやプロの実況者のお喋りや演出をも楽しむというのは、本流から外れているように思えてしまいます――時間をかけてゲームをやり込むのが、ゲームの本懐ではないのか、と。

しかし、ゲーム以外のジャンルに目を向ければ、普段は野球をやらなくてもプロ野球は毎日見ている人、自分で将棋を指す以上にプロ棋士の対戦を楽しみにしている人がたくさんいます。だとしたら、ゲームもまた、そのように楽しまれるジャンルに成長した、ということなのでしょう。

また、ゲーム実況のなかには、視聴者同士が意見や感想を交換できるものや、視聴者と実況者がコミュニケーションできる体裁のものもあります。

そのようなゲーム実況コンテンツを見ていると、もはやゲームが主なコンテンツではなく、実況者というパーソナリティが視聴者というリスナーに語りかける、ラジオ番組に近い性質のコンテンツのようにもみえます。

いずれにせよ、ゲームの楽しみ方やゲームコンテンツの消費のされ方は、20世紀とは大きく変わりました。Youtubeでゲーム実況を観ながら育つ子ども達が大人になる頃には、現在以上に、プロの実況者やプロゲーマーの存在感が大きくなっているかもしれません。

そしてゲームは「教養」に

これだけ長い間、たくさんの人に愛され続けた結果として、ゲームならではの表現や考え方も、世の中に拡散していきました。

20世紀のテレビ番組には、ゲームのBGMや効果音がこっそりと用いられていることこそあれ、ゲーム的な概念――ヒットポイントやライフ、レベルといったような――が登場することはあまりありませんでした。

しかし、21世紀になると、民放のクイズ番組はもとより、Eテレの教育番組でも、ゲーム的な概念が頻繁に用いられるようになりました。

ゲーム的な概念が子どもだけが知っているものではなく、みんなが知っているものと認知されたからこそ、テレビ番組で当たり前のように使われるようになったのでしょう。

漫画やアニメ、ライトノベルといった、ゲームとの親和性が高いサブカルチャーのジャンルでは、より早い段階からゲーム的な概念や表現の導入がみられました。なかでも極端なのは、最近になって急速に存在感を増してきた、web小説のジャンルです。

web小説の人気作品のかなりの割合は、ゲームについての知識や教養、ゲームに登場する概念やルールを知っておかなければ楽しみにくいもので占められています。

たとえば皆さんは、「あの敵は隠密系のスキルが高いから厄介」「物理が効きにくいから電撃で」「マナが足りない」「素材を収集して合成」といった言い回しの意味がわかりますか?

これらの言い回しは、日頃からゲームに親しんでいる人にはわかりやすく、筆者の言わんとすることを素早く理解するためのショートカットになり得るものです。しかしゲームに親しんでいない人には、こうした言い回しが何を意味していて、筆者が何を表現したいのか、よくわからないでしょう。

それでも、そうした作品群が人気上位にランクインしているということは、読者がゲームについての知識や教養を持っていることを前提につくられ、それらに頼って作品を成立させているコンテンツにも小さくない需要があるのでしょう。

もちろん、「読者が一定の知識や教養を持っていることを前提につくられたコンテンツ」はweb小説に限ったものではありません。たとえばライトノベルや一部のアニメ作品も当てはまりますし、言いようによっては、『枕草子』や『源氏物語』もそうだと言えるかもしれません。

しかし、こと、ゲームについての知識や教養を求める度合いや、ゲームに登場する概念やルールを利用している度合い、さらに、物語の筋書き自体がゲーム的であるという点では、web小説が頭一つ抜けている感があります。

そうしたなかには、『ソードアート・オンライン』のようなロールプレイングゲーム風の作品だけでなく、遅れた技術水準の異世界に、現代社会のテクノロジーや知識をもたらした主人公が活躍する、いわゆる“内政モノ”と呼ばれる作品群も含みます。

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「テクノロジーや知識のギャップを利用して大活躍する」というと、1979年の映画『戦国自衛隊』や、史実のコンキスタドールを連想する人もいらっしゃるかもしれませんが、“内政モノ”のモチーフとしておそらく近いのは『シヴィライゼーション』などの内政系シミュレーションゲームでしょう。

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そうしたシミュレーションゲームの概念やルールは、2000年代前半まではマイナーなものでしたが、ゲーム実況を通して少しずつ知られるようになり、web小説の読み手と書き手にインスピレーションを与え続けています。

ゲームと私たちの社会

このように、ゲームはより多くの人に楽しまれるようになり、ゲーム実況のような新しい楽しみが広がり、隣接ジャンルにも大きな影響を与えるようになりました。

サブカルチャーのなかでも子どもじみた、それかオタクや不良のやるものと位置づけられていたゲームが、今では他のサブカルチャーと肩を並べる、社会と密接に繋がった文化のひとつになったのですから、一人の愛好家としては嬉しい限りです。

ゲームの社会的地位がほとんど最低だった頃からゲームと向き合ってきた人達も、そのような感慨を抱くのではないでしょうか。

ただし、そこまで浸透したからこそ、ゲームのポジティブな面だけでなく、ネガティブな面も論議されるでしょうし、また、されるべきでしょう。

かつて、『ゲーム脳の恐怖』という科学的根拠の欠如した本がベストセラーになり、識者の批判を集めたことがありました。今日では、科学的根拠に基づいた学術研究のなかで、ゲームによる弊害、とりわけ依存の問題が取り沙汰されています。

精神医学の世界では、今後の国際診断基準に、“ゲーム障害”(Gaming Disorder)を盛り込むべきかどうかが、真剣に検討されています。

子ども時代からこのかた、ゲームばかり遊び続けてきた私個人としては、“ゲーム障害”という響きに怖さを感じなくもありません。しかし、これほどまでにゲームが社会に定着した以上、上手くゲームと付き合えない人への対策が、喫緊の課題だというのはわかる話です。

ゲームとは本来、人生に豊かさや彩りを与えるものであるべきで、人生を蝕むものや壊すものであってはならないはずです。これからも、良いほうへの発展を期待しましょう。

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