山寺宏一、ポケモンと歩んだ20年「声優の幅を広げてくれた」

山寺宏一、ポケモンと歩んだ20年「声優の幅を広げてくれた」

  • シネマトゥデイ
  • 更新日:2019/07/13
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ミュウ役に「この役だけは譲れなかったのでホッとした……」と語る山寺宏一

ポケモン映画シリーズの記念すべき第1作『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』(1998)でミュウの声を担当して以来、毎年異なるキャラクターに声を吹き込んできた声優・山寺宏一。あれから約20年、第1作をフル3DCG映像で新しく描く最新作『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』で再びミュウを演じた山寺が、初めてポケモンと出会ったときの思い出、そして声優としての意識の変化について語った。

再びのミュウ役に「嬉しさが2倍」

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(C) Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C) Pokemon (C) 2019 ピカチュウプロジェクト

1998年の年間興行収入ランキングで1位に輝き、全米で公開された日本映画興収歴代1位の記録を持つ、不朽の名作として今も語り継がれる第1作をフル3DCGで新たに描く本作。幻のポケモン・ミュウの遺伝子から生み出され、最強兵器として実験を繰り返されてきた伝説のポケモン・ミュウツーが、自分を生み出した人間の“エゴ”に復讐心を燃やすさまが描かれる。ボイスキャストは松本梨香大谷育江林原めぐみらおなじみのメンバーに加え、ミュウツーの声を担当した俳優の市村正親、ボイジャー役の小林幸子が再び参加する。

今回のオファーが届いたときは「ついにやるのか!」という高揚感と、「この役だけは譲れなかったのでホッとした……」という安堵感が交錯し、嬉しさが2倍にもこみ上げてきたという山寺。「あのころ観ていた小学生も今は立派な大人。深いメッセージが込められている作品なので、また新たな世代に向けてやるべきではないかと、スタッフも思い立ったのでしょうね」と感慨深げ。

振り返れば1997年。あるプロデューサーから「山寺さん、ポケモンが今、子どもたちにすごく人気なんですよ! ぜひ一緒に番組をやりましょう」と声をかけられ、ポケモン情報が満載のバラエティー番組「おはスタ」(テレビ東京系)がスタート。「とにかく度肝を抜かれたのは、第1作目の記者発表。番組MCを始めたばかりの僕が司会をすることになって、満員の観客、そしてものすごい数の取材陣に圧倒された。『こんなにすごい人気なのか!』と気づいたときには、もうドキドキが止まらなかった」と告白する。

ポケモンがもたらした変化

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そんなポケモンのパワーは、本業である声優業にも変化をもたらしていた。「ミュウの声をやってみませんか?」と、ある日打診を受けた山寺は「正直、可愛い声の声優がごまんといるのに『なぜ僕が?』と思いました。ミュウにとっては言葉でも、僕にとってはただの鳴き声ですから。それでも『ぜひ山寺さんに!』と言われたのでトライしてみましたが、これが予想以上に大変で。今回も『もっとピュアな感じで』など、いろいろ言われて、かなり苦労しましたね」と苦笑い。

同時に「ただ、たとえ鳴き声であっても、監督やスタッフさんも伝えたいことはきちん伝えなければいけない、という使命感は同じ。そういった意味では、改めて『声優という仕事は難しい』と思い知らされた役でもありますね」と振り返る。ポケモン人気も相まって注目を高めた「おはスタ」で初めてのMCを務め、そしてミュウの声では鳴き声だけで見事に感情を表現してみせた山寺は、一気に売れっ子声優として走り出すことに。

「『おはスタ』ではいろいろな経験をさせていただきましたが、今思えば、自分の専門外のことをやることも、声優という仕事の糧になっているような気がします。すごく幅を広げてくれました」

俳優の声優挑戦に思うこと

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(C) Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C) Pokemon (C) 2019 ピカチュウプロジェクト

俳優としての活躍も光る山寺。現在、俳優が声優を務める機会も多いが、ここには持論があるという。「いつだって賛否両論の声がありますが、問題は、最終的に役に合っているか、合っていないか、ということだけ。自分も先日、俳優として連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)に出させていただきましたが、これも同じことだと思うんです。違うジャンルに挑戦すること自体は、とてもよいこと。逆に俳優のみなさんから刺激を受けることも多いですから」と笑顔を見せる。

その最たる例が、ミュウツーの声を担当した市村の名演だ。「先日、アフレコを間近で拝見させていただきましたが、圧倒されました。ミュウツーは哲学的なセリフが多くてとても難しいと思うのですが、まるで演劇を観ているような体験に鳥肌が立ちました。市村さんの舞台やドラマも拝見させていただいていますが、『役者とはこうあるべきだ』と思うくらい、一言一言に対する重みが違う。これはさまざまな経験が投影された市村さんにしか出せない深み。俳優か声優か、というカテゴリーは関係ない」と称賛する。

山寺にとってポケモン映画は、もはやライフワークの一つだが、意識せざるをえないのが「世代交代」だとしみじみ語る。「どの業界も、これは世の常として必ずあるわけですから。もうすでに追い越されているかもしれませんが(笑)、まだまだ負けるわけにはいかないので、精進していきたいですね」。山寺の優しい笑顔の裏に、強い覚悟が垣間見えた。(取材・文:坂田正樹)

映画『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は公開中

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