めんどくさいパスワード入力から解放!? 「ライフスタイル認証」とは

めんどくさいパスワード入力から解放!? 「ライフスタイル認証」とは

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  • 更新日:2017/12/06
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写真=情報通信研究機構(NICT)提供

世界のビッグデータ研究は、個人向け融資の信用力審査を行うスコア・レンディングのように属性から分類することが主流だが、個人の関心や行動に合わせて最適化させる「パーソナライズ」に特化し研究する動きもある。東京大学大学院情報理工学系研究科・特任准教授の山口利恵さんが来年度のサービス化を目指すのは、パスワードの代わりに生活習慣のデータから本人を認識する「ライフスタイル認証」だ。

【写真】「ライフスタイル認証」とは

今はネットショッピングの決済をはじめ多くの場面でIDやパスワードを入力して認証する作業が必要だが、普段通りの生活をしているだけでその手間が省ける画期的なサービスなのだ。

それだけではない。万が一、パスワードを盗まれたりハッカーの被害にあったりした場合は、普段の行動パターンと違うためログインできなくなり、不正使用のリスクも軽減される。将来的には、よく通うコーヒーショップなら近づくだけで先回りしてオーダーしてくれる「御用聞き」のような対応や、行動パターンから認知症を発見するなどの応用も可能だ。

ただ、便利さの半面、ユーザーは位置情報や運動量、電波(Wi-Fi)やIPアドレスなど、自分に関係する多くのデータを提供することが必要になる。

「データ提供の合意画面を分かりやすくしたり、ユーザーが途中で嫌だと思ったら中止できるのはもちろん、データは過去にさかのぼって消去するという仕組みを、社会全体のすべてのサービスでできるようにすべきだと思っています」(山口さん)

国内では、データを提供する個人の権利について関心が薄いままだが、EUではプロファイリングに異議を唱える権利や、重要な決定がコンピューターによる自動処理のみに基づかないようにすることなどを定めた「一般データ保護規則(GDPR)」が2018年5月から施行されるなどの動きも出始めている。

そして私たちが最も注意しなければならないのはこれだ。

「ビッグデータが恣意的な解釈に使われうることです」

そう話すのは、生活保護問題対策全国会議・事務局長の小久保哲郎弁護士だ。今年7月、大阪市は大阪市立大学と共同で行った、生活保護を対象とした国内初のビッグデータ分析の結果を発表した。

この結果で注目されたのは、住民登録日から生活保護受給日までの期間が6カ月未満の人が男性では19.8%、女性では10.6%だったことだ。これを受けて吉村洋文大阪市長は「大阪市に入ってすぐの生保申請については、原因をさらに分析調査し、受給審査の専門チームを立ち上げる」「大阪市に転入してすぐ保護申請するケースが突出して多い。なんでだ?」とツイートし、市長会見でも同様の発言をした。

しかし、住民票は地元に残したまま仕事を求めて大阪市に来たが見つからず、やむを得ず申請する人が多いことや、そもそも初めての分析のため他都市との比較はできないはずだ。

「生活保護の水際作戦を強化するような政策を打ち出すなど、生活保護費削減という目的ありきでビッグデータを曲解しているように思えます。調査を担当した人もこのようなデータの使われ方に憤る人もいました」(小久保さん)

今のところこのデータに基づく生活保護行政の変化はないが、小久保さんたちは今後も注視していくという。私たちの暮らしを便利にするビッグデータ。問われているのは、それを扱う企業や行政、そしてデータの提供者である私たち一人一人のリテラシーだ。(編集部・竹下郁子)

※AERA 2017年12月11日号より抜粋

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