眠り始めの〝黄金の90分〟が良質な睡眠のカギ!

眠り始めの〝黄金の90分〟が良質な睡眠のカギ!

  • @DIME
  • 更新日:2018/08/09
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忙しい現代では十分な睡眠時間を確保するのはなかなか難しい。そこで推奨したいのが、スタンフォード大学 睡眠生体リズム研究所 所長・西野精治氏の提唱する、最高の睡眠のカギを握る「黄金の90分」での良質な眠りだ!

90分の黄金法則で最高の睡眠を

睡眠の質を高める話の前に、睡眠には「スリープサイクル」があることを理解してほしいと西野氏。

「最初に深い睡眠、これはノンレム睡眠と呼ばれるもので、約90分続きます。その後に浅い眠りのレム睡眠、これは眼球がぐるぐる動いたりするんですが、ノンレムとレムで1周期になります。それが4〜5回繰り返して、明け方になると睡眠が浅くなり、レム睡眠の時間が長くなります。体がだんだん活動を始めて、起きてすぐに動けるよう準備をするんですね」

本来はこのパターンで6時間以上眠ることが最適なのだが、その時間が取れない人は、最初の90分のノンレム睡眠の質を高める「90分の黄金法則」を意識しよう。

「睡眠のどこの部分が大事かというと……まぁ、本当はどこも大事なんですが(笑)、いろんなことを総合すると、最初の深い睡眠なんですね。この時間には個人差があって、だいたい90~120分くらいの幅があります。この黄金の90分の睡眠が深ければ深いほど、眠りたいという欲求である『睡眠圧』が放出され、自律神経とホルモンのバランスが整えられます」

最初のノンレム睡眠の質を高めることで時間の不足を補うわけだが、逆にこの90分の質が悪いと、何時間寝たところで、疲れもとれなければ睡眠圧も放出できないということになってしまう。

「頭痛やストレス、疲労感、肩こりなど、何となく調子が悪いことは自律神経の乱れがある場合が多いんです。また最初のノンレム睡眠では特に成長ホルモンが分泌され、皮膚や骨、筋肉など体に必要な要素が作られます。いわゆる新陳代謝ですね。成長ホルモンというと成長期の子供や若者しか出ないと思われがちですが、大人も、そして老人も出ているんです」

また睡眠の質を高めると脳のコンディションが良くなる。

「まだ脳と眠りの関係ははっきりしないことが多いのですが、うつ病や統合失調症の患者は最初のノンレム睡眠が不十分なまま、すぐにレム睡眠が出現することがわかっています。こうしたことからも、最初のノンレム睡眠が整うことは非常に重要なのではないかと考えられています。また最初の90分が整うことで、その後のレム睡眠も整い、全体のスリープサイクルも整っていくんです。それから『睡眠時間は90分単位がいい』とよく言われています。90分の倍数、6時間とか7時間半ということですね。しかしこれは今ご説明したスリープサイクルが根拠になったもので、この周期も90〜120分と個人差があるもの。なので、そこまで〝90分〟にとらわれる必要はありませんよ」

■スリープサイクル中に脳と体に起きていること

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就寝中は深いノンレム睡眠と浅いレム睡眠を繰り返す。明け方になるに従ってレム睡眠の時間が長く、眠りが浅くなって起床に至る。

病気のリスクが高い時こそ適切な睡眠が必要

最初のノンレム睡眠90分間の「眠りの質」を高めることで、睡眠による様々なメリットを享受できることはわかった。では極端に短い睡眠時間で仕事をバリバリこなす、ビジネスパーソン憧れの「ショートスリーパー」には誰でもなれるのだろうか?

「ショートスリーパーは全体の1%未満くらいではないか、と言われています。実はショートスリーパーは遺伝的なバックグラウンドが強いと言われていて、親兄弟もそうである傾向があります。ですので、周りの人から『あの人、睡眠時間短いよね』と言われる人が本物ですね。自分でショートスリーパーだと言う人は違う可能性が高いです(笑)。なので誰もがなれるわけではないし、無理をすると、どちらかといえば健康被害のほうが多いでしょう」

また、がんとなり得る異型細胞はある一定の確率で出てくるものだが、正常な状態であれば除去されて増えることはない。しかし適切な睡眠をとれないと、完全に除去できずにがん化してしまうそうだ。

「昔は年をとるとあまり寝なくてもいいなどと言われていましたが、実際はいろんな病気のリスクが高くなった時こそ、適切な睡眠が必要になってくるんです。病気は睡眠も含めて、様々な生活習慣の影響を受けています。なので予防もできる可能性があるんです。また仮眠に関してですが、1時間未満の仮眠であれば、その後のパフォーマンスは上がりますし、疾患のリスクも下がります。仮眠時でも、最初に深い睡眠が出るからです。しかし帰宅時の電車で居眠りなどをすると、夜の睡眠に影響を及ぼす可能性がある。ただ、どこで良質な睡眠を取るかは個人差があり、分散して睡眠をとるようにしている人もいますので、自分の体と相談して決めてください」

■徹夜した人は判断力が鈍化

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タブレット画面にランダムに出る図形に反応する時間を計測した実験。夜勤明けの医師は約90回中3〜4回、数秒間反応しなかった。

寝ながら人が行なっている【5つの睡眠ミッション】

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[1]脳と体を「休息」

体温維持や心臓を動かす自律神経。昼は交感神経が活発で、食後やノンレム睡眠では副交感神経が優位となり、脳と体を休ませている。

[2]「記憶」を整理して定着

入眠直後のノンレム睡眠時に、短期記憶とその記憶の重要性を判断する海馬から大脳皮質へと情報が移動。長期記憶として保存される。

[3]「ホルモンバランス」を調整

睡眠中は多くのホルモンが働いてバランスを取り、代謝を正常化させる。食欲を抑制するレプチンは肥満や生活習慣病を予防している。

[4]「免疫力」を向上

ホルモンバランスが崩れると免疫が正常に働かず、風邪などを引きやすくなる。また自己免疫疾患やアレルギーを悪化させる危険性も。

[5]脳の「老廃物」を除去

脳を満たす脳脊髄液は、古い脳脊髄液を排出する際、一緒に脳内の老廃物を除去する。日中も行なわれるが、睡眠中は4~10倍活発化する。

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成長ホルモンは成長期だけでなく一生分泌される。筋肉や骨を強化し、代謝を正常化させる。

〈DIMEの分析〉

寝てすぐに現われる深い眠り「ノンレム睡眠」が続く90分は、脳と体にとって大事な時間。その質を高める、寝る前の「コンディション作り」が重要だ。

スタンフォード大学 医学部精神科 教授
同大、睡眠生体リズム研究所 所長
西野精治氏

1955年、大阪生まれ。医師、医学博士。睡眠と覚醒を研究。過眠症「ナルコレプシー」の原因究明を専門とし、一般社団法人良質睡眠研究機構の代表理事も務める。寝具『エアウィーヴ』の開発研究にも携わる。

取材・文/成田 全(ナリタタモツ)

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