久保建英が参考にする中村俊輔のFK。中西哲生がつないだファンタジスタの縁

久保建英が参考にする中村俊輔のFK。中西哲生がつないだファンタジスタの縁

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  • 更新日:2017/08/12
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久保建英(左)と中村俊輔(右)のフリーキックのフォームはよく似ている【写真:Getty Images】

「この年齢になって久保建英みたいな若い選手とやるなんて…」

バルセロナの下部組織に在籍した経験を持ち、15歳にしてU-20W杯にも出場した久保建英。そんな将来を嘱望される超逸材は、世界屈指のキック精度を武器に活躍を続ける中村俊輔のフリーキックを参考にしているという。この2人の縁をつないだのはスポーツジャーナリストやサッカー解説者として活動しながら、選手のパーソナルコーチも務める中西哲生氏だった。一見すると不思議な関係はいかにして生まれたのか。『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版)の中で著者の河治良幸氏が、中西氏が取り組んできたチャレンジの深層を紐解いている。(取材・文:河治良幸)

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――スポーツジャーナリストとしての活動は、今年で17年目ですよね。常に研究して、アップデートしている感じが、中西さんからは伝わってきます。

中西「僕は今、選手のパーソナルコーチの仕事もしていますが、絶えず進化していかなければ、選手を指導することなどできません。選手とトレーニングする時には、何か新しいことを伝えたいと思っています。パーソナルコーチの仕事は、選手から相談を受けて、それに応じる形でスタートしたのですが、なぜ僕がこの仕事をやっているかというと、すべてが解説にフィードバックされるからなんです。常に新しいプレーがないかとアンテナを張り、アップデートしています」

――もちろん、中西さんほどのレベルでサッカーを研究して、発信している人はなかなかいません。でも、現役時代に決してエリートではなかった中西さんが発言してくれることで、僕らジャーナリストやファンが意見を言いやすくなっている、という状況はあると思います。

中西「それは面白い見方だと思いますが、そんなふうに言ってもらえるとありがたいですね。僕はそんなにすごい選手ではありませんでしたし、誰も行かない道を歩いているだけですから。『スポーツジャーナリスト』という立場であれば、『サッカー解説者』とはまた違うことができると思った。誰も行ったことのない道ですから、当然間違えることもありますよ。でもリスクを冒してチャレンジする気持ちを失ったら、自分は終わりだと思っています」

――どんどん切り込んで行ってもらいたいと思います。

中西「実際、昔言っていたことと今言っていることでは、まったく違っていることもありますよ。だからこそ、選手のパーソナルコーチをやりながら、解説をやるというスタイルに辿り着いたのだと思います。自分が成長していかなければ、選手に指導なんてできません。でも、それが解説に返ってきますからね。本当は、こんなつもりじゃなかったですよ。この年齢になって、現役の選手と一緒にトレーニングするなんて。しかも、(久保)建英選手みたいな若い選手とやるなんて、思ってもみませんでした」

久保建英との縁をつないだ中村俊輔との交流

日本代表の長友佑都や、なでしこジャパンのエース永里優季ら海外で活躍する選手をはじめ、札幌で活躍するストライカー、都倉賢などを個人的に指導してきた中西氏。だが、指導の対象はトップの選手に限定しているわけではない。教えを求められれば、アマチュアやユースの選手を指導することも厭わない。

中西氏がジュニア年代から指導を続けているのが久保建英だ。小学校時代には川崎Fのジュニアチームに在籍していた久保は、2011年から2015年までバルセロナの下部組織に所属。当時から“久保くん”の愛称でサッカーファンの期待を集めたが、クラブの事情で帰国した後もFC東京で順調に成長を続け、15歳でU-20ワールドカップのピッチに立つまでに成長した。

日本中の話題を集めた久保をパーソナルコーチとして支えてきた中西氏は、常に研究や分析を重ねながら得た最新の情報と論を久保に伝えることにより、自身の解説にも役立てているという。そのサイクルに大きな影響を与えていたのが、中村俊輔との交流の中で得た生の情報だ。

――久保建英選手を指導するに至った経緯には、中村俊輔選手との交流が1つの起点になっているそうですね。

中西「自分がアーセナルでの研修で肌身に感じたことをどう生かすべきかと考えて、編集したプレー映像を中村俊輔選手に渡すようになったのがきっかけですね。『哲生さんは色んな試合を観ているから、もし俺ができていないキックとか、新しく取り入れられそうな技術があったら教えてください』と中村俊輔選手に頼まれて、彼にDVDを渡していたんです。そこから選手の1つひとつプレーが気になり始めて、ずっと選手のプレーに着目して観るようになりました。そうした作業を継続的に続ける中で、選手に個人指導をするようになり、現在の久保建英選手のパーソナルコーチに行きついたわけです」

「どこから蹴っても入るように」。中西哲生が久保建英に伝えたメッセージ

2017年4月、『Get Sports』(テレビ朝日)で2回に分けて放送された「特別企画! 中村俊輔が“徹底解説”フリーキックの極意」で中西氏は、中村俊輔を取材した。これまでに中村俊輔が決めたスーパーなフリーキック(以下、「FK」)を本人が解説するもので、中西氏ならではのマニアックな切り口の質問に中村俊輔がゴールを決めた本人しかわからない狙いを解説するというものだ。

――その中で中西さんは、シュートのフォームについて強調されていました。

中西「ゴルフには『絶対に曲がらないフォーム』というものがあるのですが、サッカーにもあるはずなんですよ、『絶対に決まるフォーム』というものが。それを地で行っているのが中村俊輔選手なんです」

――なるほど。

中西「特にFKに関しては、突き詰め方がすごい。実際に多くのゴールを決めていますが、突き詰めているレベルも日本で一番でしょうね。番組ではFKを特集しましたが、放送の中で中村選手が言っていた『どこから蹴っても入るようにする』ということは、僕が久保建英選手に言っていることでもあります。FKは、壁の状況がどうであろうとキーパーと1対1の感覚で蹴ればいい、と。それから実際、映像を渡しているので、久保選手と中村選手のFKのフォームは似ていますよね」

『解説者のコトバを聴けば サッカーの観かたが解る』(内外出版)より一部抜粋

(取材・文:河治良幸)

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