発表された「ネーションズリーグ」概要 思ったより小規模な大会のようだが、その将来は?

  • J SPORTS
  • 更新日:2017/10/13

ヨーロッパ・サッカー連盟(UEFA)は、加盟各国のナショナルチームによる新たな大会となる「ネーションズリーグ」の概要を発表した。それによると、加盟各国はリーグAからリーグDまで4つのカテゴリーに分けられ、それぞれのカテゴリーはさらに4つのグループに分けられる(各グループ3?4チーム)。そして、各グループでホーム&アウェーの総当り戦を行い、各グループ首位は上位リーグに昇格、最下位は下位リーグに降格となる。そして、最上位リーグAの各グループ首位の4チームが準決勝、決勝(および3位決定戦)を行って、チャンピオンを決めるという。

第1回大会は2018年秋に開幕し、決勝大会は2019年の6月に開かれる。55もの国と地域が加盟するUEFAは、現在でも日程が過密だ。クラブの大会としてチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグがあり、ナショナルチームの大会としては大陸選手権であるEUROがあり、そのEUROの予選とワールドカップ予選が常に行われている。ワールドカップが終了するとすぐにEURO予選が始まり、EURO本大会が終わるとすぐに次のワールドカップ予選が始まる。こうして、UEFA加盟各国はつねに切磋琢磨を続けて強化している。羨ましい限りの環境だ。

こうした過密日程の中で新しい大会「ネーションズリーグ」が始まると聞いた時、「これ以上新しい日程をどうやって挿入するのだろうか?」と疑問にも思えた。発表された「ネーションズリーグ」の概要を見ると、少なくとも当面はそれほど大規模な大会ではないようで、日程にも無理はなさそうだ。

例えば、最強の12チームが集まったリーグAでは、各グループは3チームずつの構成となる。したがって、グループリーグでは各チームは4試合を戦うだけだ。準決勝、決勝を含めても、6試合戦えば優勝できることになる。リーグC、リーグDはほとんどのグループが4チームずつだが、それでも試合数は各6試合である。

つまり、これまで予選大会の合間にあった数試合の「親善試合」が「ネーションズリーグ」に変わるだけである。このことは、実際にUEFAの発表の中にも明記されている。つまり、「親善試合」では注目度を上げることが難しいのに対して、「ネーションズリーグ」というタイトルを付けることで注目度、観客動員力が上がるだろうというのだ。カテゴリー分けをしたことで、「ネーションズリーグ」は同程度の実力の相手と戦うわけだから、試合内容としても面白いはずだ。

つまり、各代表チームの負担をそれほど増やさないで、各国協会の収入を上げられるというわけである。そんな発表文を読んでいて思い出したのは、19世紀後半にイングランドで世界で初のサッカーリーグ(ザ・フットボール・リーグ=FL)が発足した当時のことだった。1863年にロンドンのフットボール・クラブの代表が集まって協会(ザ・フットボール・アソシエーション=FA)を結成。これが、サッカー(=アソシエーション式フットボール)の始まりだった。

FA創設メンバーとなったロンドンのクラブは、上流階級のジェントルマンたちのアマチュア・クラブだった。彼らは趣味としてプレーしていたので、クラブの収入は彼らの会費だけで十分だった。だが、北部工業地帯の労働者たちの間でもサッカー人気が高まると、労働者たちのクラブも生まれる。労働者でもある選手たちは、試合や練習のために仕事を休むと収入が減ってしまう。そこで、クラブが給料を補填するために「プロフェッショナル」の選手が誕生したのだ。ロンドンのFAは最初はプロ選手を排除しようとしたが、最後はしぶしぶながらプロ選手、プロ・クラブの存在を承認した。1885年のことだ。

プロ・クラブは選手の給料を払うための収入が必要となる。だが、当時はタイトルマッチはカップ戦(FAカップ)しかなかったから、1回戦で敗退してしまうと試合がなくなってしまい、入場料収入が減ってしまう。親善試合をしてみても、やはり観客は集まらない……。そこで、1888年に発足したのがFLだったのだ。リーグ戦なら、毎シーズン決まった数のホームゲームを開催出来て、収入も安定する。

つまり、親善試合として興行していた試合の看板を「リーグ戦」と懸け替えることによって収入を増やそうという発想だった。だから、今回の「ネーションズリーグ」発足もよく似ていると思ったのだ。人間の考えることは、130年経ってもあまり変わらないものだ。発足したFLの人気は次第に高まり、北部工業地帯以外にもプロ・クラブが発足してFL人気は次第にFAカップの人気を凌ぐようになっていく。また、「ホーム&アウェーで戦い、勝点や得失点差で順位を決める」というリーグ戦の方式は世界中の国で採用されていく。

クラブ・チーム同士の国際大会として1956年にヨーロッパ・チャンピオンズカップが発足。各国チャンピオンがノックアウト方式で戦う「カップ戦」だったが、1990年にはグループリーグ方式を採用して「チャンピオンズリーグ」と名称を変更した。せっかく人気のある大会なのだから、試合数を増やして収入(入場料+放映権料)の拡大をしようというのがUEFAの狙いだった。

「ネーションズリーグ」の第1回大会は、試合数も少ない小規模の大会として2018年に始まる。だが、FLやチャンピオンズカップの例を思い出すと、この新しい大会も人気が高まったら、そのうち「試合数を増やそう」という動きが出てくることになるかもしれない。発表された概要では、「ネーションズリーグ」の各グループ首位チームには、もしEURO予選で敗退しても敗者復活的なプレーオフ出場の権利が与えられるらしい。

だが、将来、「ネーションズリーグ」を拡大しようとしたら、EUROやワールドカップの予選を全面的に兼ねることも考えられる。南米のワールドカップ予選は、加盟10協会が総当りリーグ戦で行っている。まさにこれこそ「ネーションズリーグ」そのものではないか!「ネーションズリーグ」が将来、どのように発展拡大していくのか注目したい。そういえば、現在のEURO、かつての「ヨーロッパ選手権」も、発足当初の大会名は「ネーションズカップ」だった。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

海外サッカーカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
本田2試合連続フル出場、無回転ミドルが得点に繋がるも...パチューカは3戦未勝利
バイエルンがセルティックに3発快勝!72歳のハインケス新監督は“3冠”以来のCL復帰
元スポーツ選手の国会議員はこれだけ国会に送り込まれている
こんなのあり!? 数的不利に陥ってから2得点...バルサがCL開幕3連勝!!
バルサ、ピケ退場と政治の影響の中で3連勝 ユーベも2位浮上
  • このエントリーをはてなブックマークに追加