野球で言えば「もう8回」。世界株高「9回裏」はいつか

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2017/11/13

ファンダメンタルズに比べて早すぎる株価の上昇

11月に入ってからも、世界の株式市場は上昇トレンドを維持している。

米国のダウ工業株30種平均株価、S&P500指数、ハイテク株の多いナスダック総合指数の主要3インデックスは史上最高値圏で推移している。

9日には、26年ぶりに日経平均株価が23,000円台を上回るなど、先行きへの楽観がリスク資産の価格上昇を支えている。

この背景にある要因を考えると、企業業績を中心に株価上昇期待を支える材料があることは確かだ。しかし、世界経済全体の回復のペースが速まっているわけではない。

言い換えれば、ファンダメンタルズ=経済の基礎的条件に比べ、株価の上昇はペースが速すぎるとも言える。

過去の米国を中心とする世界経済の回復に比べ、今回は労働市場の回復が進んでいるにもかかわらず物価が上昇せず、中央銀行が政策金利を低位に据え置いている。

この結果、世界的に”カネ余り”が発生し、長期金利が上がりづらく、より多くの利得を狙って株式などのリスク資産が買い上げられやすい環境が続いている。

2001年11月以降の米国の景気回復局面を振り返ると、足元の金利の低さがよくわかる。

2003年半ばに米国の失業率は6%台にまで上昇し、FRBは政策金利を1.00%まで引き下げた。その後、住宅バブルの膨張とともに景気が過熱し、2007年前半に失業率は4%台まで低下した。労働市場の回復に伴い、FRBは連側的に利上げを実施し、2007年8月の政策金利は5.25%だった。

米国の失業率は4.1%まで低下したが、政策金利は1.25%だ。労働参加率が低迷し、生産性も高まりづらいため、FRBは利上げに対して忍耐強く取り組むことを重視してきた。この政策スタンスは当面維持される可能性がある。

そうした見方から、残存期間の長い金利の上昇が抑えられてきた。2015年以降、米国の30年金利のピークは3.2%程度だ。

この金利の上がりづらさは、長期的な経済成長率が高まりづらいという一部の投資家の見方を反映していると考えられる。また、金利が上昇すると年金基金などが利回りを確保するために、押し目買いを進めやすい。

加えて、ユーロ圏、日本ではマイナス金利が導入されている。そのため、債券にくらべ株式などのリスク資産を選好する投資家が増えてきた。

企業業績は好調だが、先行きには不透明感も

カネ余りに加えて、好調な企業業績も株価上昇を支えている。

米国では一時は不安視されたアップルのiPhoneXへの人気が同社株を中心に相場を支え、日本でも電子部品を中心に企業業績は好調だ。

円安の恩恵を受けてトヨタの業績見通しが増益に転じるなど、企業の収益環境は良い。

そのため、市場平均(インデックス)を上回る収益を確保しようとする投資家の買いが、日米などの株式市場を押し上げている。

しかし、株価の上昇が永久に続くことはあり得ない。経験則に照らせば、今すぐではないにせよ、徐々に米国の景気はピークに近づいていくだろう。

野球でいえば、8回に入ったと考えるエコノミストもいるようだ。今後の政治、FRBの政策運営次第では株式市場が調整する可能性は残る。

また、昨年夏場以降に安定感を高めてきたアジアなどの新興国経済では、回復ペースが穏やかなものとなりつつあるようだ。中国では環境保護のために工場の操業がストップし、その結果、企業の景況感は下振れつつある。

いつまで財政出動を通した中国経済の回復が続くかも不透明だ。中国以外のアジアの新興国にも、幾分、弱めの動きが出ている。

こうした状況を踏まえると、向こう1年程度は世界経済が安定感を維持し、株価が堅調に推移する可能性はあるだろう。

ただ、冷静に米中の景気動向を考えると、今後も企業業績が拡大基調を維持するとは言いづらい部分もある。

そうした不透明感が、114円台を上回るドル/円の上昇を抑えているのだろう。足元の株価上昇は先行きへの期待や楽観に支えられた部分が多いと考えられ、追加的なリスクテイクには慎重になることも必要だ。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

経済カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
セブン、店舗をシェア自転車の拠点に ソフトバンクと共同で
ソニー、出井伸之路線失敗の象徴「AIBO」復活の意味
【ユニクロ】ホコリがつかない&美脚効果抜群の黒スキニー
「社長の出身大学」調査で急上昇中の意外な大学とは?
【東芝危機】増資決定で米WDとの和解協議が前進も 月内合意はなお見通せず
  • このエントリーをはてなブックマークに追加