虹波とは 写真の感光剤を合成した薬剤、370人以上に投与で9人死亡

虹波とは 写真の感光剤を合成した薬剤、370人以上に投与で9人死亡

  • 京都新聞
  • 更新日:2023/11/21
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菊池恵楓園で行われた虹波の人体投与実験を収録した映像のフィルム缶(熊本県合志市・同園)

【虹波とは】 兵器の開発研究に当たっていた第7陸軍技術研究所の機密軍事研究の一つ。虹波は写真の感光剤を合成した薬剤で、防衛研究所戦史研究センター(東京都)所蔵の旧陸軍資料によると、虹波の研究目的は「戦闘に必要なる人体諸機能の増進」「極寒地作戦における耐寒機能向上」など。人体実験は国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(熊本県合志市)の入所者に対し行われ、7研の研究嘱託だった宮崎松記園長が記録を残している。

1943年10月10日作成の「効果試験報告(概要)第1報」によると、42年12月から6歳から67歳の同園入所者370人以上に投与され、死亡9人。病原菌に作用しないと明記され、全快例はない。また37歳の男性患者が注射約10時間後に「全身の血管に針の差入した様な」痛みや頭痛を訴え、けいれんを起こした末に意識が混濁し死亡した文書や、「有効数は2%で副作用発現率は22%」とした記録、逃亡患者2人との記録もあった。

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