「もっと売れたかった」って言って死ぬと思う──M-1決勝2年連続進出のオズワルドが目指す、「これまでと違うチャンピオン」とは

「もっと売れたかった」って言って死ぬと思う──M-1決勝2年連続進出のオズワルドが目指す、「これまでと違うチャンピオン」とは

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  • 更新日:2021/04/19
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『M-1グランプリ』2年連続出場のオズワルド。「決勝に出ても売れない」と自虐するふたりだが、さまざまなテレビ番組への出演やTBSラジオでのレギュラースタートと、活動の場を広げつつある。1年の延期を余儀なくされた単独ライブ『あたらしいとうきょう』を間近に控え、ふたりが今立っている場所について、そしてこれからについて聞いたインタビューの後編。

去年のほうがよかったと思ったことは一度もない

──昨年のM-1では、おふたりの漫才について審査員の意見が分かれましたが……。

伊藤 100%聞かれると思ってました。そこに関しては先日『松本家の休日』(朝日放送)で松本(人志)さんと改めてお会いしたときに、もっと噛み砕いたアドバイスをいただいて、楽になりました。

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伊藤俊介(いとう・しゅんすけ)1989年8月8日生まれ、千葉県出身。ツッコミ担当

畠中 すごく納得いく意見だったので。

伊藤 方向性も見えてきたんで。

畠中 単独ライブをやるにあたって、そのあたりも意識しながらネタを作りたいなと。

伊藤 ただ一番伝えたいのは、お客さんにそういう目で見てほしくないってことですね。でかい声を出したら「あ、でかい声を出したな」っていうふうに見ないでほしい。

畠中 松本さんの意見無視するんだ、ってね。逆に一度もでかい声出さなかったら「巨人師匠の意見汲み取らないんだ」とか。

伊藤 どっちとかじゃないですから。そのへんを、お客さんには何も考えないで見てほしいですね。

──ちょうど、昨年中止になったルミネtheよしもと初単独ライブ『あたらしいとうきょう』が控えていますね。どんなものになりそうですか?

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畠中悠(はたなか・ゆう)1987年12月7日生まれ、北海道出身。ボケ担当

畠中 去年やろうと思ってたネタはこの1年で全部使っちゃってるんで、今ちょうど新しく作ってる最中で。単独って、自分らがおもしろいと思ってるやりたいことを全部詰め込める場所だと思っているので、すごく楽しみだし、いいものを作りたいなと思います。

伊藤 勝負ネタ作る場所でもあるので、そこは一切手を抜かず。

畠中 ここでできたネタを、M-1決勝でやりたいなって。結果的にやっぱダメだったってなる可能性もゼロではないですが。

伊藤 単独で「今年のM-1はこういう感じでいこう」というのが掴めたら、それを見ていただけたらと思います。

──オズワルドの漫才の独特なスタイルを保ちながら「賞レースで勝てる要素」を入れ込むのは、難易度の高いことではないですか?

伊藤 自分らで2019年のM-1を観ていて、こいつらが優勝するとは思わないですもんね。でも、これまで「去年のほうがよかったな」と思ったことは1回もないんですよ。2020年のM-1は完全に優勝するつもりでしたし、振り返ってもちゃんと毎年勝ちに近づいていってる感覚はあります。

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畠中 走り高跳びでたとえると……え、今は背面跳びが主流なんですかね?

伊藤 そんな確認しなきゃいけないようなことでたとえるな!

畠中 世界記録がもし背面跳びだとしたら……。

伊藤 お前が知ってることでたとえろよ。

畠中 僕らはベリーロールで優勝したいと思います。

伊藤 いやわかんないんだよ、ベリーロールとか言われても。お前自身もたぶんピンときてねえし。

畠中 全然無理じゃないと思います。ベリーロールを極めればいいだけなんで。

伊藤 確かにね。もしそれで優勝したら、今までとは違うチャンピオンになれるじゃないですか。

畠中 まあ、去年も特殊なネタをやったマヂカルラブリーさんが王者になってますけど。

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伊藤の眼鏡はマヂカルラブリー村上から譲り受けたもの。「チャンピオンの眼鏡ですよ、すごく縁起がいいと思いませんか?」(伊藤)

伊藤 僕ら昨年、東京吉本初の優勝を狙ってたんですけど、マヂラブさんにその座を獲られてしまったので……。トレンディエンジェルさんも東京吉本で優勝していますけど、おふたりはちょっと違うじゃないですか、東/西というより、東/西/ハゲというか(笑)。

畠中 マヂラブさんは本当すごいです。ずっと自分らのスタイルを貫いて、結局優勝した。

伊藤 M-1で掴めなかった東京吉本初優勝は、今年ラストイヤーの『ABCお笑いグランプリ』で達成したいと思います。

新しさを求めるM-1、おもしろさを求める寄席

──NGK(なんばグランド花月)だけでなく、最近は東京のルミネtheよしもとにもよく出演されていますね。大きな劇場の寄席公演に出演される場合は、漫才の内容は変わるものですか?

伊藤 全然変えますね。川瀬(名人)さんに一昨年ごろ言われた「寄席が増えると、そっちの感覚だけに引っ張られるようになる」という話が、最近ようやくわかってきました。

畠中 寄席で求められるものは、賞レースの漫才とはやっぱり別モノなので。

伊藤 今一番やりたいネタのことを忘れないようにしないとなって。「もうそろそろウケるんじゃないかな」と思ってM-1でかけるようなネタを寄席でやってみても、やっぱりウケないですもんね。

──そういうものですか。

伊藤 いや本当に。「想像の子供を育ててる」みたいなことを畠中が言った日にゃあですよ。「は!?」「何!?」っていう(笑)。

畠中 でも前よりはましじゃない? 前は笑いゼロだったから……。僕らの知名度にもよるのかなとは思います。

伊藤 もちろん、寄席のネタは寄席のネタで、やっていて楽しいですし。

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畠中 寄席には一生出たいですし、M-1で優勝したらそういうネタをどんどんやれるんじゃないかって楽しみはあります。やっぱり賞レースのネタってガチガチなので。

伊藤 余白がないからね。

畠中 4分間にどんだけ起承転結つけて盛り上げてボケたくさん入れるか、っていう。寄席でウケるのは、余裕を持った草野球のような楽しさのある漫才なんですよ。

伊藤 寄席っておもしろければいい。新しさはいらない。そもそも、新しいものが一番いいかと言われたらそんなことはない、おもしろいものが一番いいと思うので。優勝したらそれが存分にできるわけですよね。もう優勝……したい。

畠中 優勝するまでは永遠に目標なんで。

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今後の野望は「テレビに憧れはあまりない。単独ライブを毎年やって、おもしろいネタを一生作りつづけること」という畠中と、「漫才はもちろん、テレビに出まくりたい。全部やりたい」という伊藤

──「初出場で優勝するのが一番楽」という話もありますが、おふたりはどう受け止めていますか。

伊藤 そうなんです、統計的には初出場で優勝する人が一番多いんです。3度目の出場で優勝したのはフットボールアワーさんとチュートリアルさん、銀シャリさんの3組。それを逃したら、9回目で優勝の笑い飯さんまで待たなきゃいけない。だから絶対今年優勝したい。もちろん、万一今年優勝できなかったら「そんな統計覆してやんよ」って気持ちに切り替えますけど。

──最初に「売れない」という話をされましたが、「売れる」の定義ってどういうものですか?

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この春からレギュラー番組『ほら!ここがオズワルドさんち!』(TBSラジオ)がスタート。「うれしいです。ただ、できれば真空ジェシカもつづいてほしかった」(伊藤)「ずっと一緒にライブをやってきた同期ですから」(畠中)

伊藤 わかんないです。結局、もしすごく売れても僕は「なんでもっと〜」ってガタガタ抜かすと思うんですよ。僕らが売れたときには、今売れてる人がもっと上に行ってる可能性もありますし。

畠中 ニューヨークさんとか、近しい人がどんどん活躍してるのも大きいですね。

伊藤 身近にああいう人たちがいると、「このへんでいいか」とは思えないですよね。たぶん死ぬまで思えないっす。「もっと上に行きたかった」って言って死ぬと思います。

釣木文恵

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