現在より圧倒的に高かった明治時代の「離婚率」

現在より圧倒的に高かった明治時代の「離婚率」

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  • 更新日:2020/09/14
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今も昔も変わらない「女性が結婚相手に望むこと」

かつて、日本人は早婚だった。そんな印象がありますが、実際はどうだったのでしょうか。
12歳や13歳での結婚、ということも珍しくはなかったようですが、それは明治時代初期までのこと。1898年(明治31年)に施行された民法で15歳未満の女子の結婚を禁じられて以降は、そのような早婚は基本的には許されませんでした(※男子は17歳以上、女子は15歳以上)。
やがて時代は進み、戦中の1940年(昭和15年)になると、男性は28歳、女性は24歳が初婚の平均年齢となります。
戦前の日本が、現在と比較して著しく早婚だったわけではないことがわかります。

結婚する際には、多くの人が見合い結婚で一緒になったようです。
1898年(明治31年)に定められた旧民法の家族法以降、結婚するには戸主の同意が必要となりました。
そのため、当事者同士の勝手な結婚は許されませんでした。
とはいえ、戦前の女性が全員、親のいいなりになって結婚相手を決めていたかというとそういうわけではなかったようで、1933年(昭和8年)に発行された女性向け雑誌「婦人之友 1月号」には、「婦人の結婚難を解消する方法」と題した次のような記事が掲載されています。

結婚難は、年と共に深刻化していくようですが(中略)これにはいろいろの原因もありましょうが、配偶者選択の範囲が著しく広くなってきたことも一つの原因であります。
昔は、同じ村の人とか、親類知人の範囲内で配偶者を選んだのですが、今日では交通や通信の便が開け、新聞雑誌で世間を知る眼も開けてきましたので、そんな狭い範囲の選択だけでは満足できなくなりました。つまり、言えば理想が高くなったのです。
(中略)
この頃のお嬢様方に結婚の理想を訊ねてみますと、なによりもまず生活の安定が第一の条件になっています。
たとえば、月収100円以下では困るとか、多少の財産がなくてはいけないとか、贅沢をしたいとは思わないが、たまには芝居を観たり温泉に行ったりするくらいの余裕が欲しいとか、そんな事がかなり重要な条件に挙げられております。

この「婦人之友」は、戦前には100万部近くの部数を誇った人気雑誌。決して、特別裕福な家庭でしか読まれなかったものではありません。
その点を考えると、この記事はいわゆる一般的な女性を対象にしたものと考えられ、当時の一般女性の感覚が書かれていると考えても良いでしょう。
「月収100円以下では困る」「芝居を観たり温泉に行ったりはしたい」といった、夫に経済的能力を期待する風潮は、現在でも根強く残っているもので、戦前と現在とでの女性の結婚に対する考え方が、それほど大きく違ってはいないことがわかります。

平成よりも明治の方が遥かに高い離婚率

離婚についてはどうでしょうか。
意外にも、戦前の日本の離婚率は非常に高いものがあります。
1883年(明治16年)の離婚率はなんと3.39%。これは離婚が急増したと騒がれた、2002年(平成14年)の2.30%よりも高い数値です。
明治時代の離婚率はその後も高く、明治30年で2.87%ありました。
しかし、その後は急激に低下し、昭和10年には0.70%まで下がります。

なぜ急激に離婚率が低下したのか。
理由は、明治31年に施行された民法にありました。
明治初期、そもそもなぜ離婚が多かったのか。
当時、結婚は夫婦が生活をともにするというよりも、家に嫁または婿が入ることの意味合いが強くありました。
家に入る嫁や婿は法的に守られることが少なく、家のものに気に入られなければ簡単に追い出されてしまいました。
特に、姑が嫁を追い出すケースは跡を絶たず、ある家では姑が嫁を何度も取り替えることもあったようです。

そのため、旧民法では「25歳未満の者が離婚するときは、結婚を承認した者の許可が必要」と改められました。
この結婚を承認した者は原則的には親。つまり、双方の親が同意して初めて離婚ができるという制度です。
これによって、ある程度「雑な離婚」は減っていくのですが、それでも姑が嫁を追い出すことがなくなったかというとさにあらず。盲点を突いて旧弊は残ります。

「試し婚」や「足入れ婚」と呼ばれるのがそれで、嫁や婿をもらっても一定期間婚姻届を役所に出さずに生活をともにする風習です。
入籍はしていないものの、結婚生活と同じ日々を暮らし、姑が気に入れば入籍、気に入らなければ追い出すということが行われました。
1920年(大正9年)に行われた調査では、当時の夫婦全体の17%がこの「試し婚」の状態だったとのことです。

これらを考えると、統計上の離婚率は下がっていても、実質的な離婚率はかなり高かったのではないかと推測されます。
現在、企業では「試用期間」と称して採用した社員を働かせる風習が残っていますが、これと同じことが家庭で行われていたわけです。
このような悪習は、現在ではほぼ根絶されているようです。

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