「世界一の金融都市」の座はロンドンが維持、Brexitの影響はないのか?

「世界一の金融都市」の座はロンドンが維持、Brexitの影響はないのか?

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  • 更新日:2017/09/16

ロンドンが最新の「世界金融センター指数」 でも首位を死守――。英国のシンクタンクZenが中国開発機構(CDI)と共同で実施した調査で、全主要評価項目で1位となったロンドンを含め、トップ5の順位(2位ニューヨーク、3位香港、4位シンガポール、5位東京)は昨年から変動なしだった。

しかしEU離脱決定の1年前から集計したデータなども評価基準としているため、「Brexitが決まってなおロンドンは影響力を保持しつづけている」とはいい難いだろう。

フランクフルトやダブリンなどほかの主要都市へ金融都市としての機能の分散は避けられないだろう。

■事業環境の競争力では「Brexitによる不透明性」が最大の懸念

世界銀行やOECD(経済協力開発機構)などのデータに基づいて、世界92都市の金融セクターとしての力量を測定している。主要評価項目となるのは、事業環境・人的資本・インフラ・金融セクター開発・評判だ。

トップ5の順位は変わらなかったものの、ロンドンと香港、シンガポールのスコアは、過去数年徐々に下がっている 。

ニューヨークのスコアが24ポイント減、Brexitの影響が懸念されるロンドンのスコアはわずか2ポイント減だったが、前述の要素もあり、「ロンドンの金融都市としての強さ」を評価する声も聞こえる。

■政府内部でも方向性が割れる「今後の英国」

国民投票から1年以上が経過した現在も、離脱交渉は依然として進まず、何一つ明確化されていないという印象はぬぐえない。

ロンドンが世界屈指の金融都市を維持できるかどうかは、今後の交渉の行方も含め、どれだけ自由な事業環境を実現可能かにかかっているはずだ。

最近になって「無制限の移民受け入れを継続する代わりに、単一市場へのアクセスを維持する」といった方向転換案が労働党を中心に生まれているが、「離脱に票を投じた過半数の国民の意思に背く」として、英国政府内部でも大きく意見が割れている。

現状としてはロンドンに集結する金融機関や企業が、「憶測や仮説に基づく今後の動き」を決めかねている状態だ。時計の針は着々と動いているにも関わらず、「この1年間を無駄にした」との批判も多い。

ロンドンにとっての希望材料は、代用の難しさだろう。ロンドンに代わる世界の金融都市として、フランクフルトやダブリン、パリなどが候補に挙がっているが、「長い年月をかけてロンドンが築き上げたのと同等の金融都市力を得ることができるのか」という点では、今も悲観的な見方が強い。例え他都市がそれだけの力を得たとしても、相当な年月と労力、コストが必須となることは一目瞭然である。

そんな中、既にほかのEU都市への移動を決めた大手金融機関も少なくはない。バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースはダブリン へ、モルガン・スタンレーはフランクフルトへの一部事業や従業員の移転を発表 したほか、それに続く動きがほかの金融機関でも見られる。

今後離脱交渉の全貌が明らかになるにつれ、英国の主要産業である金融・関連サービス業は、さらにほかのEU都市へと分散していくと予想される。ロンドンは金融主要都市の一つとしての存在を維持するだろうが、これまでにような独占力がいつまで続くかは不確かだ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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