3年前にnoteで出会い、何度も1200キロメートルの距離の越えて会いにきてくれる人がいる。それは、千葉県の画家の育色工房のいくちゃんだ。
https://instagram.com/ikuirosun?igshid=NTc4MTIwNjQ2YQ==
いくちゃんは、私たちが四年前からつくっている学校に何度も足を運んでくれて、こどもたちと一緒に絵を描いてくれた。

そして今回は、約3週間こちらに滞在して、学校に大きな絵を描きにきてくれることに。なんと千葉県から九州まで三日かけて車で来てくれた、いくちゃん。
そのお供は……

17歳のバリスタ少年「まちゃと」だ。とってもキュートな、まちゃとは高校に行く選択をせず、いくちゃんと一緒にギャラリーで働いている。まちゃとの淹れる美味しいコーヒーは、いくちゃんギャラリーに来る人々の心を癒している。

豆を挽くところから始まり、水、温度、時間など、少しの変化で味を変化させている。初めてまちゃとのコーヒーを飲んだとき、
「……何この透き通るコーヒー!!」
と思わず叫んだ。身体にスーッと透明なコーヒーが染みわたるイメージのコーヒーだった。こんなの初めてだ。ウキウキしながら、自分のコーヒーグッズを箱にしまう様子から、まちゃとの「好き」が溢れていた。

この日は、隣の宮崎県に行っていくちゃんのお友達と会う予定だったけど、お友達の予定が合わず、急遽フリーになった。
とりあえず、近くのパン屋さんで朝食でも買おうかと三人で出かけた。すると、そのパン屋さん。コーヒーにとってもこだわりがあったらしく、まちゃとの目がきらり。サイフォンで淹れるコーヒーの美しさにうっとりした。

三重町のヒバリパン🍞


そんなまちゃとの様子を見て思い出した、近くにあるコーヒー豆屋さん。
(確か、質の良いお豆をかなり良心的な値段で売っていたような……)
そんなふわふわした記憶で、二人をそのお店に連れて行った。すると、まちゃともいくちゃんも大興奮。お店を営んでいるご夫婦も嬉しそうに二人と一緒にコーヒー談義をしていて、それを側から見ている私も嬉しかった。

三重町の「へつぎ珈琲」

家に帰り、まちゃとの淹れたコーヒーとパンを頬張り、「この後どうする?」という話になった。もうお昼過ぎだ。
そのときふと、二人が「ラーメンが好き」という話になった。「じゃあ、海の町へラーメンを食べにいこう!」今日の目的地が決まった。

早速、海の町へ車を走らせる。車で片道1時間くらいの町に、美味しいラーメン屋さんがある。そして、実はその海の町は、私たち夫婦が12年前に二年間住んでいた町。二人に紹介したいお店がいくつもあった。

佐伯市「カフェ・ド・ランブル」
まずは、ここ。「カフェ・ド・ランブル」。シュークリームとコーヒーが美味しくて、お店のレトロさが素敵な喫茶店だ。12年前、私はふらりと一人でこのお店に来ていた。

まちゃとといくちゃんが「ランブル」という名前にピンと来て、マスターに
「もしかして、東京の銀座のランブルと関係がありますか?」
と聞いた。するとマスターが驚いた様子で
「そこは私のコーヒーの師匠のお店です」
と言った。二人は東京でもコーヒーの勉強のために、そのお店に行ったことがあるらしく、びっくり!まさかこんなところで繋がるなんて……。
小さな海の町の住宅街にポツンと現れる、小さな蔵。予定にもなかったこの場所にこの日二人を連れて来れたのは、何かに引き寄せられたような感じがした。

その後、私たち夫婦がとっても大好きなお寿司屋さんへ。
地元の海で採れた新鮮な魚のお寿司が並ぶこのお店は、一皿一皿に職人さんのこだわりが見える。一皿の値段は決して安くは無いけれど、それ以上の魅力がある。職人さんたちが直接目の前で握って、食べ方も説明してくれるのもほっこり。

佐伯市「まるまん」
「お、お、美味しいよぉおおぉ……」
4人でオロオロと感動しながらお店を後にした。
さあ、最後はメインディッシュの「ラーメン」だ!!
お寿司でパンパンのお腹を無視して、ラーメン屋にいざ出陣!
私は流石にいっぱいは食べられず、夫からのお裾分けで。
魚介ベースで豚骨のスープはあっさりしてて美味しい。ラーメンの上にほうれん草と海苔が乗っていて、麺と一緒に食べると味のバランスが絶妙に取れていた。

満腹になった私たちは、最後の締めに「海の温泉」へ。
海の横にある温泉は、少し海水が混じっている温泉だ。美しい景色を見ながらの温泉は最高だった。


佐伯市「塩湯」
帰り道、車の中でいくちゃんと話した
「今日の午前中まで宮崎旅行に行くつもりだったけど、午後から何か流れに乗ったみたいに、海の町で最高のコースで半日楽しめたよね。とても半日とは思えない充実感。何も計画していなかったのに……いや、むしろ計画してなかったからこそ、最高のプランで動けたんじゃないかな」
いくちゃんとそんな話をしながら、思った。これって、人生と似ているんじゃないかなと。
旅をするとき、今回のように無計画に、流れに身を任せて動く時が私は一番楽しい。身体に力も入っていないし、タイミングもなぜかばっちりになるし、生まれた余白から思いがけない出会いや繋がりが生まれるからだ。
何より時間に追われず、「今自分が心地いいこと」に集中できる。そしてそれが結局は、その旅の満足感にも繋がっていく。
この「旅」を「人生」と置き換えても同じことなのではないだろうか。
ついつい人は、「人生で何を成し遂げたいか」「人生のゴールはこうだ」「私の夢は◯◯だ」と未来のことを決めたくなる。それは、そうした方が自分が安心するし、わかりやすいから。
そして、そのために「だからこうして、ああして… …」と計画を立てる。そして、タスクを決めて、タスクをこなすことに追われる。タスクは、クリアしてもクリアしても増えていく。永遠になくならない。
そうしていくうちに、「自分が心地よく過ごせること」は後回しになる。だって目の前には、「ゴールに行くために必要なタスク」が常に並んでいるのだから。
小学校の先生でもなくなり、
「学校をつくっている人」でもなくなりつつある今、
私はきっと「何者か」になって安心したいんだと思う。
だから、ゴールや自分の役割を決めようと焦っている。
だけど、大事なのは過去でも未来でもない。
「今ここ」が楽しくて幸せであること。
それがきっと、自分の未来をつくっていくから。
流れに乗っていこうと思う。
今、私のまわりには優しくて心地よい風が吹いている。

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花

家族4人。田舎でのんびり暮らしています。やさしい世界をつくりたい。
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