順風満帆ではない来季のDeNA。三浦大輔監督の斬新なアイデアに期待

順風満帆ではない来季のDeNA。三浦大輔監督の斬新なアイデアに期待

  • Sportiva
  • 更新日:2020/11/20

久しぶりのチーム生え抜きの監督だ。

11月18日、横浜の街並みが一望できるホテルの高層階で横浜DeNAベイスターズの監督に就任した三浦大輔の記者会見が行なわれた。そこは4年前に三浦監督が引退の会見をしたのと同じ場所だった。あの日と同様にビシッと決まったトレードマークのリーゼント。"ハマの番長"が監督として横浜スタジアムに帰ってくる。

華やかに踊るベイスターズの美女チアリーダーたち

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横浜DeNAベイスターズの新監督に就任した三浦大輔氏

「喜びとともに責任を受け止め、しっかり前を向いてやっていきたいと思っています。感動を与えるというより、ファンの方と一緒に戦って、一緒に感動をして、一緒に喜びたい。皆さんの力を貸してください。お願いします」

現役時代、誰よりもファンを大切にしてきた三浦監督らしい言葉。チーム生え抜きの監督は2003〜2004年の山下大輔氏以来であり、またDeNA体制になって来季で10年目、ピッチャー出身の監督による采配は初となる。

前任のアレックス・ラミレス監督時代は5年間でAクラスを3回、2017年には19年ぶりとなる日本シリーズに進出し、もはやかつての弱小球団の面影はない。はたして三浦監督がどのようにタクトを振るのか注目が集まっている。

優勝を逃したことでラミレス前監督は退任となったが、三浦監督の就任は既定路線だったと言っていい。

2016年の引退後、2年間アドバイザーとして球団に関わり、2019年は一軍ピッチングコーチ、そして今年は二軍監督を務めてきた。こう見ると球団が意図的に三浦氏を将来の一軍監督へと育ててきたように感じられる。とくに今年は二軍監督経験者である万永貴司と大村巌をコーチとして配置し、万全の体制で経験を積ませている。

昨年末の二軍監督就任の際、三原一晃球団代表に、三浦を一軍監督にするために経験を積ませているのかと尋ねたことがあった。すると三原代表は監督についての明言は避けたが、次のように答えている。

「三浦さんに関しては、いろいろなことを経験してもらいたいと思っていますし、ベイスターズファンに最も愛されている人物。だから、もう一度ユニフォームを着るという話をした時は、いろいろな経験をしてもらうよといった話はしました」

一軍コーチ1年、二軍監督1年、時期尚早という声も聞こえてきたが、本人は「早いというけど『じゃあ、ちょうどいい時期っていつ?』って思ってしまうんです」と語っていた。

また今季終盤、ラミレス監督の去就に注目が集まっていた頃に大物監督を招聘するという記事がいくつか出たが、それはあり得ない話だった。

そもそもDeNAは発足時より、編成はフロントが担当し、監督は与えられた選手で戦うというスタンスだ。近年は球団のデータ分析部が戦略をアドバイスすることもあるが、基本的にフロントは一軍監督の戦い方にはノータッチである。つまり、編成にまで口を出す全権監督タイプはDeNAでは通用しない。その点、三浦監督は球団のシステムや基本方針を熟知しており、齟齬は生まれない。

ただひとつ興味深いのは、三浦監督が二軍監督時代、フロントやスカウトが集まり、育成をメインにしたミーティングに参加していたことだ。これらはDeNAになってから一軍監督を務めた中畑清氏やラミレス氏にはなかったことであり、どんな効果をもたらすのか注目したい。

監督という立場は求められなければなれない職務ではあるが、受け身でやるようではチーム内に求心力は生まれない。そこで三浦監督に「以前から監督をやりたい、このチームを率いたいという気持ちはあったのか」と尋ねてみた。すると、目線を逸らすことなく次のような答えが返ってきた。

「監督というのは指導者として魅力がありました。そのためにはいろいろと学ばなければいけないと思っていました。幸い、引退してから球団にはいろいろと学ぶ機会を与えてもらい、今度はそれを監督という立場で発揮できるようにしていきたい」

また、チームとして優勝を目指すために大事なことは「結束」だと力強く語った。その言葉を聞いて、球団アドバイザー時代に話していたことを思い出した。

「DeNAになってもなかなか勝てず低迷した時代、これじゃダメだ、優勝するためにはチーム全体が強くならないといけない、レベルアップしなくちゃいけないと思い、2014年から兼任コーチをやらせてもらったんです。

僕は2005年に初めてタイトル(最優秀防御率、最多奪三振)を獲ることができたんですけど、それよりも1998年の日本一のほうが何倍もうれしかった。選手ばかりでなく、ファンもスタッフも裏方も家族もみんなで喜べる。やっぱりそこだと思うんです。そのためにはひとつになること。まずはそう思う気持ちが大切」

ただ前途は決して順風満帆ではない。先発陣はエースの今永昇太が左肩手術の影響で開幕からスタートできるのか不明であり、トミー・ジョン手術をした東克樹も間に合わない。また、今季不振を極めた守護神・山﨑康晃の起用法も懸念材料だ。

さらに打者でも、主力のネフタリ・ソトやFA資格を持つ梶谷隆幸の去就も不透明な部分が多い。まずは戦力が確定し、どのようなコーチングスタッフで臨むのか。話はそこからだろう。

◆華やかに踊るベイスターズの美女チアリーダーたち

就任会見の際、三浦監督はチームが巻き返すにあたって必要なことは「得点力」と答えた。今シーズンDeNAは、チーム打率1位、本塁打数1位タイと、打撃スタッツの強さは見せたが、接戦に弱く、次の1点を取れずに敗れることが多かった。

通常、投手出身の監督は守り勝つ野球を標榜することが多いのだが、そこは現役時代に好投しつつも味方の援護なく悔しい思いを多くしてきた三浦監督の思いが伝わってくる。

今季、二軍監督としてチームを率い、盗塁数、犠打数がトップだったこともあり、各メディアは長打に頼りがちだったラミレス前監督を反面教師に"機動力"というキーワードを引き出そうとしたが、三浦監督は「必要に応じてやっていきたい。あまり決めつけず、固辞することなく柔軟な姿勢で......」と淡々と答えている。

投手陣においても、三浦監督が現役時代は先発完投型だったことから、同じような働きを先発ピッチャーに求めるのかという質問においても「適材適所、臨機応変にやっていきたい」と冷静に反応し、フレキシブルな姿勢を見せていた。

はたして三浦大輔はどんな監督を目指すのか。

「監督だからこうあるべき、というのは外していきたい。"三浦大輔らしさ"を出していけばいい。腹をくくってやるしかない。前に向かって」

球団の公式動画のなかでそう語っていたが、どこか1998年の日本一監督である権藤博氏の顔が浮かんだ。権藤氏は監督について、かつてこう語っていた。

「ダメならやめなければいけないけど、その代わり自分の思ったとおりの野球ができるのが監督ですよ」

三浦監督は人当たりのよさと誠実さから"堅実タイプ"と言われているが、はたして本当にそうなのだろうか。

現役時代、ピッチャーとして恵まれていない体格であること、また才能がないことを自負しており、二段モーションなどほかの投手にはない自分だけのオリジナルを見つけマウンドに立ち続けた。その根っこにあるのは、独創的なアイデアを有した頭脳である。

もちろん選手と監督とでは立場は違うが、三浦監督にしかできない発想、戦い方はあるはずだ。ファンが待ち望んだ三浦監督率いる船は、ファンの希望を乗せ、ついに出港した----。

石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

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