1兆円規模の損害や20年単位の影響も。「森喜朗元会長」こそが東京五輪最大のリスク

1兆円規模の損害や20年単位の影響も。「森喜朗元会長」こそが東京五輪最大のリスク

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2021/02/22
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首相官邸HPより(CC BY 4.0)

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の辞任にあたり、武藤敏郎事務総長は会見で、森会長の発言は不適切であるとしたうえで、大会準備やスポーツ界への貢献があったことについて触れた。

◆森元会長の「目的」と「貢献」の構図

国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長も、辞任の決断を尊重したうえで、「数年間にわたり多大な貢献をしてきたことに感謝したい」とコメントしている。

この問題は、「目的」と「貢献」に分解して考えるとわかりやすい。

東京開催の実現、準備における「貢献」はあったが、オリンピック憲章で明確に示される男女平等という「目的」に明らかに反しているという構図だ。

さらに、これを数字で捉えるとイメージがわきやすい。大事なことは厳密で正確な数値を算出することではなく、だいたいでよいので大括りでボリュームの大小を捉えることだ。

◆20年近い影響や1兆円規模の損失リスクも

森会長の女性差別発言に関しては、IOCは森会長の謝罪会見直後は、謝罪によってこの問題は解決したというスタンスをとっていた。

しかし、IOCにとって最大のスポンサーである米国放送会社NBCが、森会長の辞任を要求する記事を掲載したことから態度を一変し、発言を問題視し始めた。

IOC収益の8割を占めているという五輪開催による放映権料の大半をNBCが担っている。NBCとの契約は、2014年冬季大会から2032年夏季大会まで1兆3000億円にのぼるという。

森会長の女性差別発言は、それ自体がオリンピック憲章に示された目的に逆行する深刻な問題だ。ただ、それだけではなく、IOCを支えるスポンサーの意向に反し、ひいては東京大会のみならず20年近くにわたるIOC運営に影響を及ぼす、1兆円単位の規模でリスクをもたらす問題だと言える。

いっぽう、森会長の貢献としては、2015年時点で東京都が負担する施設設備費4584億円を2567億円へ削減したという貢献が挙げられている。また、IOC委員などの宿泊ホテルのランクを下げたり、宿泊機関の短縮、パーティの縮小などを実現したことにも触れられている。

これらは、たしかに貢献していることなのだが、数値のボリュームで捉えると2000億円規模に過ぎない。貢献はあったとしても、目的を損なうリスクのほうが、圧倒的に大きいと言わざるを得ないだろう。

◆ザックリと目的と貢献から分析しよう

目的と貢献の観点から、スポンサー契約と施設設備費の削減を取り上げたが、これらは一例で、いろいろな捉え方があるだろう。しかし、取り上げる項目はどれがよいか、どの金額が正確かどうかなどと、ああでもない、こうでもないと考えあぐねていては話は進まない。

繰り返すが、大括りで、ボリュームの大小を捉えることが大事で、そこに大きな差異がなければ、また別の捉え方を試みればよいだけだ。この方式は、企業におけるさまざま意思決定に使えて、効果のあるとても簡単な方法だ。

そして、企業における意思決定だけではなく、ひとりひとりのアクションプランの優先順位づけにも有効だ。

◆大中小にわけて貢献度をチェック

質問:貢献度とは何か

重要度、緊急度に加えて、貢献度をふまえて優先順位をつけるという考え方がよくわかりません。貢献度とは、いったいどういうものなのでしょうか?

回答:売上貢献度で貢献度を峻別する

たとえば営業担当者であれば、大きい売上高に貢献するアクションであれば貢献度が大、中くらいの売上高に貢献するアクションであれば貢献度が中、小さい売上高に貢献するアクションであれば貢献度が小というように、ビジネス貢献度に応じて大・中・小で峻別します。

それらは、1000万円と300万円と50万円で大・中・小なのか、100万円と50万円と10万円で大・中・小なのか、職務によって異なります。

管理部門の担当者であれば、そのアクションが後工程を経ることによって、ひいては自社の大きなビジネスに役立つか、中くらいのビジネスに役立つか、小さいビジネスに役立つかというように、ビジネス貢献度を捉えます。

<貢献度:基準の例>

大:売上高1000万円に貢献

中:売上高300万円に貢献

小:売上高50万円に貢献

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第229回】

<取材・文/山口博>

【山口博】

(やまぐち・ひろし)モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある

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