リバーサイドをつなぐサイクリングツアー

リバーサイドをつなぐサイクリングツアー

  • Perfecta Navi
  • 更新日:2022/01/16
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茨城県の守谷のイタリアンレストラン「さくら坂VIVACE」をスタート・ゴールに、利根川・鬼怒川・小貝川とリバーサイドを楽しむサイクリングツアーが昨年11月末に開催された。秋の景観をサイクリングし、渡し舟にも乗り、ゴール後はイタリアンランチが付くという魅力いっぱいのツアーである。

スタートは「さくら坂VIVACE」という地元で人気のイタリアンレストランの駐車場。まず集まった参加者は、検温と体調チェックを行う。レンタサイクルを希望する方は、操作方法の確認と、サドル高の調整を受ける。この日は、「G Tec Lab Toshi」代表の高橋利明さんが走行ガイドとして先頭を走り、2名のスタッフが随行、さらにサポートカーが付くという編成で走るという。

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レンタサイクルの調整を受け、走行方法などのアドバイスをもらう参加者

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説明を聞く参加者たち

スタッフの自己紹介があり、「止まれ」や右左折などの手信号の説明を受けた後、一行は出発。この日の走行距離は40km程度とのことだ。

サイクリングのテーマである3つの川は、スタート地点である守谷市を囲むように流れている。正確には、小貝川は北東側に隣接するつくばみらい市内を流れているが、利根川を挟んで守谷市は柏市と隣接しており、鬼怒川と利根川の合流点は守谷市内に存在している。守谷市を中心に走ると、ルートの組み方によっては、3つの川を取り巻く環境を存分に楽しむことができるのだ。堤防上の道は、クルマ通りが制限され、走りやすい道であることが多いが、ナビなどに対応しないケースも多く、地元以外の人間がいきなり訪れても、うまく走るのは難しい。今回は高橋さんを中心に作り上げた、川沿いを独自のルートでつなぐオリジナルコースを走るそうだ。

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いよいよライドへスタート!期待いっぱいの参加者とサポートスタッフの皆さん

ルート内には6km程度のダート(砂利などの未舗装区間)が含まれるということで、一般的なロードレーサーではなく、クロスバイクなどを推奨するという前情報があった。自分の自転車で走る参加者は、太めのタイヤのクロスバイクや、MTBを選び、持ち込んでいたようだ。この日のレンタサイクルにはクロスバイクが用意されていた。

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堤防の上や抜け道のような道など、安全に走行できるルートをつないで走行

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11月下旬とあっても、黄緑色の草がしげり、まるで春のような景観が楽しめる場所も多かった

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生茂る背の高い草の間を抜ける。この先には何があるのだろう?冒険みたいだ!

まずは、利根川沿いを抜けながら、取手方面に向かう。この日は好天に恵まれ、11月下旬にしてはかなり暖かく、過ごしやすい陽気だった。川沿いの景観も、まだ緑が多く、春めいた雰囲気を感じるほど。川沿いの道は、車も来ず、時折すれ違うランナーへの配慮が必要な程度で、ビギナーでも安心して走ることができる。開放感いっぱいの道を、一行はゆったりと進んでいく。

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ドリンクのふるまいを受け取る参加者

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休憩先の公園にて。後ろには、芸大の学生たちが手掛けたオブジェが飾られていた

取手市内の公園で一休み。ここではスポーツドリンクなどがふるまわれた。のんびりと休憩し、話に花を咲かせる参加者たち。ここには東京芸大の学生さんが手がけたオブジェなどが飾られていた。記念撮影をし、次のスポットに向け、再出発した。

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堤防上を気持ちよく走る参加者たち

新大利根橋を渡り、県境を越えて柏市に渡る。ここからは千葉県だ。ルートは変わらず、のんびりと走れる自然の中の道を抜けていくのだが、次々と行政区分が変わっていく。なんとも不思議な気分だ。
細くて、背の高い植物の間に伸びる冒険のような道を抜けていくと、ダート区間が始まった。ここから数キロは砂利道を行くそうだ。サスペンションの効いたMTBで参加されたご夫妻などは特に、オフロードのライドを満喫されたようだった。

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数キロ続くダート区間。近所を走り回っていた子供時代に戻ったよう

※渡し船に乗って、対岸へ渡ることに!続きは2ページ目→

砂利区間を抜け、ゆったりと流れる川を望むエリアにたどり着いた。ここは渡船場で「小堀(おおほり)の渡し」なる渡船を利用し、対岸に渡るという。かつて利根川は大きく蛇行して流れていたが、水害が絶えず、改修工事を行い、現在の姿になった。この船着場の南側に三日月形の沼があるのだが、これはかつて蛇行していた利根川の名残なのだとか。この河川改修のために、利根川で分断されてしまった小堀地区の住民の交通のために、この渡船が誕生した。「小堀の渡し」の運航は1914年から始まっており、100年以上の歴史を持つ渡船ということになる。

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船着場の上の丘で、ツアースタッフから渡船の歴史など説明を受ける参加者たち

ただし、現在の船は令和2年3月に就航した新しいもので、東京藝術大学美術学部長の日比野克彦氏が、市の鳥「かわせみ」にちなみ「カラフル」で、「水面に映ったときの輝き」をイメージして彩色したもの。現在は住民の足に加え、観光船としての役割も担うようになっている。この日はこのツアーのためだけに、特別に運航してくれることになっていた。

船の時間まで、このゆったりと時が流れる美しい場所で休憩をすることになった。一同におやつとして、つきたての串団子と、甘納豆と漬物の盛り合わせが配られた。早朝出発だったこともあり、甘いもののふるまいは嬉しかった。串団子は驚くほどやわらかく、とろけてしまいそう!甘納豆は大粒で、食べるのが惜しくなるほど。ひとつひとつが丁寧に仕込まれていて、塩気のある漬物が、甘納豆の風味を引き立てる。一同はしばし黙って、じっくりとひとつひとつの味わいを楽しんだのだった。

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地元のおだんごが振る舞われた

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栗や豆の甘納豆や漬物の盛り合わせ。甘さと塩気の組み合わせが絶妙!

美しい水辺で、記念撮影を楽しむ参加者も。それぞれがこの場で過ごす時間を楽しみ、渡船の到着を待つ。

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水辺で記念撮影する参加者たち

ツアーのための特別船がやってきた。スタッフの方にいただいたチケットを渡し、自転車を押して、船に載せる。自転車は片側にまとめて置くスタイルのようで、係員とツアースタッフの皆さんが手早く自転車をまとめ、置いてくれた。いざ、出航!

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船が到着し、船着場に自転車を押し歩く

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ツアースタッフも手伝い、自転車を手際良く積み込んでいく

皆、思い思いの場所で乗船を楽しむ。2階に上がり、展望と風を楽しむもよし、室内に入り、ゆったり過ごしてもよし。キラキラ輝く川面は美しく、流れていく景色も新鮮だった。100年前は、どんな景観を眺めていたのだろう? 写真を撮りあうなどして、10分あまりの乗船時間は、あっという間に終わった。リフレッシュした笑顔で、自転車を受け取り、降りていく参加者たち。100年以上前から続く渡船の乗船を、新鮮な気持ちで楽しむことができた。

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デッキに上り、乗船を楽しむ参加者たち

ここからはライドに戻ろう。取手市内を抜け、守谷方面に向かう。自然いっぱいの道を抜け、ゆったりと走る。時に視界が植物などに遮られた細い道もあり、この道はこの先、どこにつながっているのだろうかと、童心に返ったようにワクワクしながらルートを抜けて行く。この日のルートは川沿いのサイクリングコースや抜け道、住宅街などで繋がれており、一貫して、クルマ通りの少ない道で構成されていて、信号で止まることはほぼなかった。いったいどうやってこのルートを作り上げたのだろう? 神業とも言えるプロのルートだ。

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また冒険の始まりだ!

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「どうやって見つけたのか」と首を傾げてしまうようなルートが紡がれていく。この先に見える景色は?ワクワクが止まらない

一行は、次のスポットに到着! 到着した施設には「みずき野ひろば」と描かれていたが、ここで「ちばらき珈琲」なるこだわりのコーヒーが飲めるのだという。ハンドドリップで丁寧に淹れる種類のコーヒーで、ツアーのスタッフが先行し、先にコーヒーの準備を始めてくれていたそうだ。至れり尽くせりだ!

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「みずき野ひろば」なる場所に到着。おいしいコーヒーが待っているらしい

外の広場に待機していると、男性がコーヒーを持って現れた。参加者は一人ずつ、温かいコーヒーを受け取る。「ちばらき珈琲」はラオスのコーヒーを知って欲しいという思いから、大学生が始めたコーヒー豆店とのこと。「ラオスのひとたちを幸せにしたい」という思いから始まり、フェアトレードのコーヒーなどを扱っているそうだ。

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「ちばらき珈琲」を手に記念撮影

名前の由来は、主宰の男性が、キッチンカーで千葉と茨城を行き来しながらコーヒーを販売していたことからと言う。「まさに今日のライドと一緒ですね」と、ガイドの高橋さんが笑った。こだわりのコーヒーは、さっぱりとして飲みやすく、参加者たちは、マスターの思いを受け、カップを大切に抱え、丁寧に味わっていた。心を込めて生産されたものを、おいしく、ありがたくいただくことが、まさに持続可能な国際協力なのかもしれない。

「中に地域の特産品などもありますので、ぜひご覧ください」とスタッフの方からお声かけがあり、店内をのぞいてみると、野菜や加工品、スイーツやランチボックスなど、魅力的なものがそろっていた。お野菜は新鮮で、とても味が良いのだとか。地元の豊かな食生活が垣間見えたような気がした。

※サイクリングはお楽しみの最後の行程へ!続きは3ページ目→

続いての目的地は農園だという。ただの農園ではなく、とてもすてきなスポットなのだそうだ。近隣の閑静な住宅地を抜け、ゆるゆると走る。ほどなく、住宅地から離れ、緑地に入った。丘の周りを回るように進む。道は次第に細くなっていく。この先にどんな農園があるのだろうか。未舗装道路のエリアに入る。もう目的地は近いらしい。

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自然いっぱいの中に伸びる道をたどっていく。この向こうに農園が?

コーナーを回り込むと、パッと視界が広がった。空が広い! 行き先には畑が広がっているようで、作業されている方々の姿が見えた。たどり着いたのは「こころファーム」。堆肥と腐葉土のみを使い、オーガニックの野菜の生産と販売を行っているそうだ。目の前に広がる土地には、畑のみではなく、椅子などのセットも置かれていた。訪れた人たちがここで時間を過ごすこともできるのだろう。山側のエリアには、ハンモックやターザンロープ、ブランコも! まるで絵本の中のようだ。

オーナーの方の話によると、野菜の美味しさを、子供たちや皆に知ってもらいたい思いから、この農法で、妊婦や赤ちゃんでも安心できる栄養たっぷりの野菜を育てているそうだ。野菜へのこだわりに加え、皆が環境を楽しめるようにと、訪れる人のために、こういった仕掛けを用意しているとのこと。ドックランスペースもあり、ペットと一緒に訪れることもできる。お願いすれば、畑からそのまま新鮮な野菜を購入することもできるそうで、この日も白菜やいくつかの葉物野菜が対応可能とのことだった。
何人かの参加者が、話を聞いたあと、ブランコやハンモックに挑戦し、豊かな自然環境の中で、揺れに身を任せながら、流れる時間を楽しんでいた。

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ブランコを楽しむ参加者

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農園には、畑や、くつろぎのスペースが広がる

しばし散策を楽しんだ後、サイクリングの最後の行程に向け、再出発した。本日のラストパートは小貝川サイクリングロード。利根川や鬼怒川と比べると、ローカルな印象のある川だが、全長は111.8kmあり、利根川支流の中でも、2位の長さを誇る。

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終盤は小貝川サイクリングロードを中心に走る

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住宅街を行くのも楽しい

ここからも、走りやすい道をつないだルートでゴールへと向かう。ゴールには、おいしいイタリアンランチが待っているのだ!
あっという間に、ゴールの「さくら坂VIVACE」へと到着。朝の集合はこのレストランの第2駐車場だったが、今回は店舗にゴールする。店舗といっても、敷地丸ごと演出された小さなテーマパークのような魅力的なスポットだった。

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「さくら坂VIVACE」敷地内に自転車とともに入る。まるで異国に来たようだ

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美しい景観が望める中庭でゴールの記念撮影。皆さん、がんばりました! あとはごほうびを残すのみ!

この日は特別に敷地内に自転車の持ち込みが許され、中庭スペースへと自転車を押して入って行った。「古民家レストラン」と聞いていたのだが、想像していたような和のテイストでななく、レンガ造りの門や、土壁のようにも見える白壁など、まるでイタリアの郊外レストランのよう。丘の上に位置しているため、中庭からの眺めも最高!斜面を生かし、敷地内にもイタリア風の階段などもしつらえられており、本当にイタリアを訪れているような不思議な感覚に包まれた。

つくばエクスプレスの守谷駅からアクセスできる街中のスポットからスタートしたのにも関わらず、サイクリングパートは市街地から離れ、自然の中の道を冒険のように走り抜け、渡船にも乗り、最後は日本であることすら忘れてしまうような特別な空間に入り込んだ。グループで、どこか異世界に旅をしたような、魔法にかかったような1日だった。

シェフが用意してくれたのは、採れたての無農薬野菜をふんだんに使ったサイクリスト向けのオリジナルメニューとのこと。朝からの走行で、気持ちよく腹ぺこな参加者たちは、運ばれてくる彩りのよいメニューに舌鼓を打ちながら、楽しかった1日を振り返った。食後、希望者は敷地内の散策や、ハーブ摘み体験なども楽しんだ。

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無農薬野菜のサラダと自家製サルシッチャなどの盛り合わせ

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無農薬農法で栽培する農家さんと考案した、ビタミンたっぷりの秋カブにクエン酸豊富なレモンを組み合わせたクリームパスタ(画像提供:株式会社ラール・アワー)

この日のプログラムはこれにて全て終了。走行経験がほとんどないと語っていた方も、とても満足げな表情を浮かべていた。地元の方であったとしても、地域の再発見ができたツアーだっただろうと思う。

このライドの主催である「rall. hour(ラール・アワー)」は、この地域に根差し、季節に合わせ、自転車でこの地域の魅力を楽しめるようなツアーを今後も計画していくという。これから、どんな体験ができるのだろう? とても楽しみだ。

画像:編集部
株式会社rall. hour(ラール・アワー)

P-Navi編集部

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